高速道路を走行する際に大切な「案内標識」に使用されている文字ですが、いつの間にか変化していました。一体どのような理由で変更されたのでしょうか。
■気づいてた?高速道路の「案内標識」が変わってた!
高速道路を走行する際に大切な「案内標識」には、インターチェンジやサービスエリアの名称、そこまでの距離など様々な情報が記載されています。
この案内標識に使用されている文字ですが、実はいつの間にか変化していたといいます。
一体いつ、どのような理由で変更されていたのでしょうか。
実は高速道路の案内標識は、13年も前の2010年からフォント(書体)と文字サイズが変更されています。
ただし、あくまでも変更点は標識の文字に限られており、標識自体のサイズやレイアウトは変更されていません。
そして確かに見やすくなっていますが、あまりにも微妙な変更なので、高速道路を頻繁に使用する人以外は案外気付いていないのかもしれません。
変更当時、NEXCO東日本から発表された資料を見ると、まず高速道路の案内標識の発祥は、1963年に名神高速道路で採用されたのが最初とのこと。
その際、標識板の文字には、高速道路用に独自にデザインされたフォントが使用されました。
これは、高速での走行時でも複雑な漢字を瞬時に判読できる必要があったためで、視認に不要な箇所を省いた特殊な「省略文字」が採用されたのです。
この文字は、道路公団が1文字ずつ手作業でデザインした手の込んだもので、「公団文字」と呼ばれ、40年以上にわたり採用されてきました。
しかし、公団文字の誕生から約50年が経過し、時代は大きく変化しました。
日本社会にかつてなく高齢ドライバーや外国人ドライバーが増えたことからもフォントへの見直しが必要となり、これまで以上に視認性の高い文字への変更が行われたということです。
■新フォントに「ヒラギノ」が選ばれた理由
見直しが行われ新しく誕生した案内標識には、印刷物やウェブサイトなどで広く使われている書体、「ヒラギノ」という名のフォントが採用されています。
NEXCO東日本によれば、変更に際して4つのフォントが用意され検討が進められたということです。
検討の結果、「遠方からの視認性」や「字の構成のつかみやすさ」などが決め手となり、ヒラギノが選ばれました。
そして富士川滑空場で実証実験が行われ、ヒラギノの視認性の高さが証明されたといいます。
これにより、2010年7月以降に設置される新しい標識は全てヒラギノフォントでデザインされています。
一方で従来の公団文字で書かれた標識は老朽化によって更新され、徐々に姿を消しています。
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公団文字で書かれた標識は今どこに残っているのかをNEXCO東日本の担当者に質問したところ、「文字の違いによる標識の管理はしていないため、旧フォントの設置個所は詳細を調べない限りは分かりません」と回答がありました。
残念ながら残存する割合や場所などは不明ですが、いずれにせよ懐かしの公団文字が急速に姿を消しているのは間違いないようです。
もし、助手席などで標識を注視できる機会があれば、希少な存在となった公団文字の標識を探してみるのも面白いかもしれません。