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「見た目はほぼ同じなのに…」 なぜエンブレム&車名違う? 謎の既視感の正体は? あえてOEM車を販売する理由とは

くるまのニュース 2023年7月31日 21時10分

見た目はほとんど同じなのに「メーカーのエンブレムだけ違う」というクルマを発見することがあります。なぜ同じクルマなのに、メーカーのエンブレムが違うのでしょうか。

■なんで? 同じクルマなのに「エンブレム」が違う理由

 街で見かけるクルマの中には、見た目がほとんど同じなのに「メーカーのエンブレムだけ違う」というクルマを発見することがあります。

 例えば、スズキのモデルだと思っても、「三菱」のエンブレムが付いているときも。

 なぜ同じクルマなのに、メーカーのエンブレムが違うのでしょうか。

 同じ車種に見えるのに、メーカーエンブレムだけ異なるこのようなクルマは「OEM車」と呼ばれています。

「OEM」とは「Original Equipment Manufacturing」の略で、他社の商品を別の企業が許可を得て製造したり、販売したりすることを意味します。

 OEM車の場合は、「A社が製造したクルマをB社が販売する」というもの。

 この場合は販売会社が異なるため、クルマのエンブレムはA社ではなく、B社のものが取り付けられることになります。

 例えば、三菱のハイトワゴン「デリカD:2」は、スズキ「ソリオ」のOEM車です。トヨタのコンパクトSUV「ライズ」やハイトワゴン「ルーミー」は、ダイハツ の「ロッキー」と「トール」のOEM車です。

 他にもスズキのミニバン「ランディ」は過去に日産「セレナ」から、現在ではトヨタ「ノア」からのOEM車として販売されています。

 これらはそれぞれ注意深く観察しなければOEM車だと分からないかもしれません。

 そんなOEM車をわざわざ販売する理由は、OEM供給を受けるメーカーにとっては費用をかけずにラインナップの幅を広げられるというメリットがあるからです。

 また、OEM車を供給するメーカーも、工場の稼働率向上につながるのでメリットがあるといえるでしょう。

 では、ユーザーはOEM車を選ぶことにどのようなメリットがあるのでしょうか。中古車ディーラーの販売員は、以下のように話します。

「同じ年式・同車種・同状態のモデルで、オリジナル車とOEM車の中古車を比較した場合、どちらかと言えばOEM車の方が、価格が安くなる場合があります。

 これは、OEM車よりもオリジナル車の方を好むユーザーが多いため、販売価格にも差が出てくるのです。

 例えばソリオとD:2の場合、ソリオを選ぶ人が多いため、OEM車のD:2は中古車価格が安くなる傾向にあります。

 これはあくまでも中古車での話ですが、新車でもOEM車は値引き幅が大きかったりと、安く購入できるケースが多く見られます」(中古車ディーラーの販売員)

 ただし例外もあるそうです。トヨタで販売されるOEM車は、トヨタブランドという魅力が付与されることでオリジナル車より人気が高くなることも。

 実際に、トヨタのライズとダイハツのロッキーを同じ年式・同等グレードで比較すると、OEM車であるライズの方がオリジナル車のロッキーよりも販売価格が高い場合も見られます。

 また、「オリジナル車の方を選ぶユーザーが多い」という理由から、OEM車は売却や下取り時に買い取り査定額が低くなることがあるといいます。

 もしリセールバリューを考慮するのであれば、オリジナル車を選択した方がより得するかもしれません。

 とはいえ、オリジナル車とOEM車は販売会社こそ異なるものの、中身は同じです。

 もしメーカーに大きなこだわりがないという人は、購入費用の安さを狙い、あえてOEM車を選択肢に入れてクルマを探してみるのも良いでしょう。

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