三菱の新型軽自動車「デリカミニ」は、2023年5月の正式デビューに先立ち、1月の東京オートサロン2023でお披露目されたこともあり、早くから注目されていました。ノーマルでも十分魅力的ですが、すでにさまざまなカスタムが施されるなど、熱視線が注がれています。
■早くも大ヒットとなった新型デリカミニ
2023年1月に開催された東京オートサロン2023で、三菱新型「デリカミニ」が初公開されました。
そこでの評価が高かったことや、ここ数年のアウトドアブームに加え、オフロードに強いイメージの三菱が復活の兆しを見せていることもあり、5月の発売と同時に人気が集中しています。
すでにさまざまなショップから新型デリカミニ専用パーツが発売されたり、デモカー製作が進められるなど、カスタムベースとしても熱視線が注がれているのです。
三菱によると、2023年1月の予約注文開始からから5月の発売までに「デリカミニ」は約1万6000台を受注。
軽自動車の絶対王者であるホンダ「N-BOX」が累計11万2248台と桁違いの売れ行きとなっていますが、三菱のディーラーが少ない現状や、月販販売目標台数が2500台となっている点を考慮すると、新型デリカミニはかなりのヒット作といえるでしょう。
アウトドア感を打ち出したこともあり、購入者の約6割が4WDを選択。自動的に、4WDモデルのみの装備となる専用ショックアブソーバーと大径15インチタイヤをチョイスしたことになります。
また7割以上がパワフルなターボエンジン搭載グレードを選んでおり、N-BOXやダイハツ「タント」、スズキ「スペーシア」といったスーパーハイトワゴンの人気モデルとはひと味違う、趣味性の高いモデルとして新型デリカミニが選ばれているようです。
しかしこの人気ぶりは、ここ数年の三菱の復調からある程度予想できたと、4WD専門誌の元編集者Y氏はいいます。
「アウトドアブーム再来のおかげもあって、4WDやオフロードに強い三菱のイメージが復活しているようです。
さらにオートキャンプ人気や、スズキの軽四駆『ジムニー』のヒットなどもあり、個性派軽自動車の需要が高まってきていました。
つまり実用性を犠牲にすることなくアウトドアにも適した軽自動車という現在の市場のニーズにマッチした優秀なマーケティングによる勝利ともいえます」
アウトドア志向を感じさせるタフな内外装デザインを特徴とする新型デリカミニは、メーカー純正オプションや社外パーツもかなり充実しています。どのようなカスタムが主流なのでしょうか。
「純正オプションで人気なのは、ヘッドライト下部からバンパーへと続く部分に装着する『フロントグリルガーニッシュ』です。グロスブラックとシルバーが用意され、現在の三菱のアイコンとなっているダイナミックシールドをより強調してくれるアイテムです。
また社外品ではバンパー下部に装着できる『グリルガード』なども人気と聞いています」(4WD専門誌の元編集者Y氏)
このカスタム手法は、三菱「パジェロ」などが人気を得ていた1990年代半ばのRVブームでも使われており、よりアクティブなイメージを強調したいユーザーに人気がありそうです。
「あとは定番ですが、社外品ホイールへの換装です。新型デリカミニの4WDは165/60R15サイズという軽としては大径のホイールを装着しています。最近のトレンドであるブラックホイールに履き替えるのが人気のようです」(4WD専門誌の元編集者Y氏)
実用性の高さに加えて、悪路走破性の高さが評判の「デリカ」シリーズの称号を受け継ぐだけに、やはりオフローダーのカスタムが今後も人気になっていくことが予想されるようです。
■新型デリカミニのカスタムは今後どうなる?
では、新型デリカミニのカスタムはどんな方向に向かうのでしょうか。カスタムショップのスタッフS氏に動向などを聞いてみました。
「新型デリカミニの4WDはかなり凝ったものです。一般的なビスカスカップリング方式の4WDを採用していますが、単純なFF状態になることはなく、あえて前輪と後輪の回転差を生時させ後輪にも駆動力を配分させることで常時4WD状態を保つようになっています。
またロングドライブに役立つ運転支援機能『三菱e-Assist』も搭載されるだけでなく、車間維持機能も持たせたレーダークルーズコントロール機能を含む『マイパイロット』をグレードによって装備するなど、かなり充実した走行性能を持っているのが特徴です」
そんな新型デリカミニでは、兄貴分の三菱「デリカD:5」同様に、オフローダーカスタムがすでに人気になっているといいます。
「4WD専用チューニングを施したショックアブソーバーを採用するなど、悪路走行をかなり意識した作りになっている新型デリカミニですので、これからもオフロード色強めのカスタム、および専用パーツが登場すると思われます
なかでも、オフローダーらしいワイルドさを求める『リフトアップ』用のキットなどがすでにいくつかのブランドから販売されているようです」(カスタムショップのスタッフS氏)
デリカミニの場合は4~5インチのリフトアップが人気だといいます。悪路走破性が高まるチューニングが施され、かなり本格的なカスタムが主流となりつつあるとのこと。
「軽4WDで人気のジムニーでも『リフトアップ』カスタムは人気ですが、車内の広さや車中泊のしやすさなどもあり、今後は内装の使い勝手に着目した新型デリカミニ専用パーツが登場するでしょう。
若い人だけでなく趣味を大切にされるアクティブなミドル層にウケそうな装備やカスタムが充実していくのではないでしょうか」(カスタムショップのスタッフS氏)
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使い勝手の良さと室内の広さ、経済性にも優れる軽スーパーハイトワゴンですが、やはりまだ普通車からのダウンサイジングに抵抗のあるユーザーも多いようです。
その点、新型デリカミニのような趣味性の強いモデルは乗り換える理由を見つけやすく、そのうえで自分の趣味に合ったカスタムも楽しめるモデルとして、各方面から注目されています。