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眩しすぎる「フォグランプ」常に点灯はNG! 無意味に前後を照らしてない? 間違って使ってる人なぜ多い?

くるまのニュース 2023年8月4日 8時10分

最近は純正で「フォグランプ」が装着されているクルマが多いのですが、正しい使い方をしていない人が多いようです。一体どのようなときに使うべきなのでしょうか。

■前後のフォグランプはいつ使うもの?

 最近は純正で「フォグランプ」が装着されているクルマが増えています。その名の通り、本来は霧などの悪天候時に使用する補助灯なのですが、通常の(点灯する必要のない)夜間走行でも常時点灯している人が意外に多いようです。
 
 同じく霧のときに後方を照らす「バックフォグランプ」もありますが、これも一般道などで無意味に点灯させている人もいて、周囲からは「迷惑」「眩し過ぎる」などと不評を買っています。

 前後のフォグランプはどのような時に使用すべきなのでしょうか。

「道路運送車両法」で定められた保安基準によると、フォグランプ自体に装着の義務はありません。つまりあくまで任意による「補助灯(「前部霧灯」とも呼ばれます)ですが、装着する場合の基準がいくつか定められています。

 「フロントフォグランプ」に関しては、色は「白」か「淡い黄色」。複数装着する場合は同色であることやヘッドライトより高い位置への装着はNGです。

 2005年12月31日以前のクルマは、光度が1万カンデラ以下&フォグランプの中心がヘッドライトのロービームの中心よりも下、2006年以降のクルマでは光度に規定はないものの、クルマの最外側からフォグランプの最外側までが400mm以内、ロービームより低い位置への配置(0.25m~0.8m以内)、点灯を知らせるインジケーターの設置、3個以上の同時点灯はNG(4つ装着されていても2つずつの点灯切り替えはOK)、左右対称に装着と規定されています。

 一方でリアフォグランプに関しては、色は「赤」、1996年までのクルマはランプの中心が地上から1m以下&ブレーキランプから100mm以上離れていること、1996年以降はランプの上縁が地上から1m以下&ブレーキランプから100mm以上離れていること。

 ランプが1つの場合は車両の中心か右寄り、2つの場合は左右対称でブレーキランプから100mm以上離れていること、同時度装着は2つまでとなっています。

 最近ではデザインバンパー採用のため、後付けされるケースはかなり減っており、純正フォグランプを使用している人が圧倒的に増えている状態です。つまり、保安基準を満たしたメーカー純正の装備ではあるけれど、その使用方法に問題があるということです。

 またスポーツカーなどに装備されている「ドライビングランプ」と呼ばれる補助灯もあります。これもフォグランプの1種として認識されることがあるのですが、実は目的や照射パターンがかなり違います。

 ドライビングランプは装着位置こそフォグランプとほぼ同じか、それよりも若干下側に装着されていたりしますが、光軸はヘッドライトの「ロービーム」とほぼ同じ広がり方をしており、「ロービーム以上、ハイビーム未満」といった照射範囲です。

 一方のフォグランプは、奥行きはないものの左右に広がった照射パターンが特徴。目の前の視界が不良な場合や近くの障害物をすぐに認識するのには有効ですが、対向車線にまで光が拡散してしまうため、「眩しい」となるわけです。

 バックフォグも同様で、あくまで霧など光が届きにくい視界不良な状態で後続車に自車の存在を知らせるための補助灯です。

 視界不良の原因となる霧などがないのに、比較的広がった光軸かつ強い赤色ということもあり、後続車から見ると非常に目障りに感じます。

 そもそもこのフォグランプの類は、イギリスなど霧の多い地域で誕生したもので、市街地で5m先が見えないほどの濃霧が発生することの少ない日本では、余程のことがない限り点灯する必要のない補助灯だといえるでしょう。

■教習所では教えてくれない! フォグランプの正しい使い方

 フォグランプの正しい使い方は、よく考えてみると教習所で習った記憶がありません。さらにはバックフォグにどのような効果があるのか、後続車はどれくらい眩しいのかといったことは誰も教えてくれません。

 それでは上手く使いこなせないのも当然ですが、なぜ教習所では教えていないのか、都内の教習所に勤務経験がある元教官I氏に話を聞いてみました。

ヘッドランプ/フォグランプのスイッチ

「これは教習所の落ち度ともいえるのですが、基本的に市街地での一般走行を念頭に置いた教習になっている結果だと思われます。限られた講習時間で運転スキルを身につけていただくカリキュラムになっており、その限られた時間内で教える項目が多く、使用頻度の少ないフォグランプは聞かれない限りお答えしていないのが現状です」

 それでは、元教官として考えるフォグランプの正しい使い方とはどのようなものなのでしょうか。

「その目的や性能を考えると、フォグランプはあくまで補助灯であり、しかも視界不良の状態で使用するものという大前提があります。さらに自車の視界を確保する目的より、むしろ視界不良の状態で自車の存在を周囲にアピールするための補助灯と考えられます」(教習所元教官 I氏)

 この「視界不良時に周囲に存在をアピールするため」が第一目的なのですから、通常はヘッドランプのロービームや周囲にクルマがいないときはハイビームで走行すべきで、フォグランプは極力使わないほうが良いとI氏はいいます。

「誰だって暗い夜間走行では明るい光で前方を照らしたいものです。ただ光が左右に拡散しやすいフォグランプは、対向車や前走車にも眩しさを与えていると利用者は考えるべきです。本当に必要なとき以外は使用しない、これが正しい使い方だと思います」(教習所元教官 I氏)

 そしてバックフォグランプは、余程の悪天候や視界不良でなければ点灯しないのが鉄則。あの目に刺さる、ブレーキランプとは違う赤色ライトの眩しさは、それだけで後続車のドライバーをイラっとさせ、それこそ「あおり運転」を助長することにもなりかねません。

「最近はゲリラ豪雨や線状降水帯の発生などで天候が急変しやすくなっていますが、そういった悪天候で自車の存在をアピールする必要がある場合は良いと思います。ただしヘッドライトと同様に常時点灯していた人は、電力を消耗しながら周囲から反感を買ってきただけですので、フォグランプはエマージェンシー用と意識改革すべきです」(教習所元教官 I氏)

※ ※ ※

 住環境や周囲の道路状況にもよりますが、霧や大雨、大雪など本当に視界不良な場合以外は、できる限りフォグランプの使用を控えたほうが良さそうです。

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