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後ろから速い車が来た! 速度守っているのになぜ譲らないとダメ!? 「追いつかれた車両の義務違反」とは?

くるまのニュース 2023年8月12日 6時10分

走行中に後続車が迫ってきたときに譲らないと違反になることがありますが、どういったケースなのでしょうか。

■「速度を守っているから大丈夫」はNG

 走行中に後続車が迫ってきた時、速度を守って進路を譲らないと交通違反となる場合があります。
 
 どういったケースで交通違反として取り締まりの対象となるのでしょうか。

 前方を走行中のクルマに追いついてしまった時、そのクルマが法定速度以下でゆっくり走っているからといって、必要以上に車間を詰めたり、煽り行為となるような運転をすると交通違反となることがあります。

 近年では、「あおり運転」などとして事故や事件につながったケースなどがしばしば報道されています。

 その一方で、後続車に追いつかれたにも関わらず、譲ることなくそのまま走行しているクルマも、場合によっては交通違反として取り締まりの対象となるのです。

 道路交通法第27条では「他の車両に追いつかれた車両の義務」について、「最高速度が高い車両に追いつかれたときは、その追いついた車両が当該車両の追越しを終わるまで速度を増してはならない」と定められています。

 また、車両通行帯のない道路で後続車に追いつかれた場合には、できる限り道路の左側に寄って進路を譲らなければなりません。

 これらは追いついてきたクルマの最高速度が自分のクルマと同じであっても、そのクルマよりゆっくり走りたい場合には、この規定に沿って進路を譲る必要があるということです。

 クルマが追いついてきたにも関わらず、譲らずに走行し続けると交通違反となり、違反点数1点と普通車では6000円の反則金が科されます。

 例えば、右側後方から自分より速いクルマが自分のクルマを追い越そうとしているのに、スピードを上げて追い越しできないように妨害したり、後続車が追いついているのに遅いスピードで走行し続けるなどすると、取り締まりの対象となる可能性があります。

 ちなみに、「最高速度が高い車両」「最高速度が同じ車両」とは、単に速いスピードで走っているクルマや、性能の違いによって速いスピードが出せるクルマのことではなく、法定速度が速いクルマのことです。

 例えば多くの高速道路では、特に標識などで指示がない場合の最高速度は100km/hですが、トレーラーなど大型のトラックは80km/hであるほか、一般道では、標識で50km/hと指定された道路であっても、原付バイクは30km/hというように、定められた最高速度が異なるクルマが一緒に走行しています。

 また、一部の道路では「大貨等・三輪・けん引」が80km/hなど、クルマの区分に応じて最高速度が定められているケースがあります。

 すべてのクルマが常に最高速度を維持して走行しているわけではないため、速いスピードで追いついてきたクルマが速度違反をしているとは限りません。

 そのため、違反になるかどうかに関わらず、複数の走行車線がある場合は左側を走行し、1車線の道路であっても後ろから速いクルマが追いついてきた場合などは左側の安全な場所に停止するなどして譲ってしまうほうがいいでしょう。

 特に、運転に慣れていない道などでゆっくり走行したい時は左側の走行車線を走行するほうがよさそうです。

■「追い越し車線走りっぱ」 2つの違反に該当する可能性も

 なお、走行中に後続車が迫ってくる状況では、自車が別の違反をおかしている場合があります。
 
 高速道路などで右側の追い越し車線を走行し続けることは、他の車両に追いつかれた車両の義務違反となるだけでなく、「車両通行帯違反」となる可能性があるのです。

「追い越し車線」は追い越しのため。完了したら戻りましょう(画像はイメージ)

 追い越し車線はその名称の通り追い越しのための車線であり、追い越しが終わったときはすみやかにそれ以外の車両通行帯に戻らなくてはなりません。

 後続車に追いつかれたのにそのまま走行し続けることで、速度超過になったり、車間距離が短くなったりして危険なほか、後続車からのあおり運転を誘発する恐れもあります。

 過去には「前車が追い越し車線を走り続けることに腹がたった」ことを理由として、あおり運転を行ったり、傷害事件を起こして検挙されたという事例もあります。

 これらのことから、違反になるかどうかに関わらず、初めて通る道や運転に不慣れなどの理由でゆっくり走行したい時は左の通行帯を走行し、1車線の一般道であればルームミラーを定期的に確認し、後続車がいる場合は左側の安全な場所に停止するなどして譲ることがよいでしょう。

※ ※ ※

 なお、高速道路や一般道の一部では、標識や道路標示などによって停車が禁止されている場所もあるため、こうした標識もよく確認して安全運転に努めましょう。

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