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免許無い人は気になる? 助手席前の「謎の収納」何に使う? 入れるモノは? なぜ「グローブ」と呼ぶのか

くるまのニュース 2023年8月12日 14時10分

運転席から届きそうで届かない絶妙な位置にある、クルマの「グローブボックス」。いったい何のためにあるものなのでしょうか。

■ちょっと使いづらい「収納」は何のために使う場所!?

 ほとんどのクルマには、助手席の前にフタが付いた「グローブボックス」と呼ばれる収納スペースがあります。運転者がシートベルトをした運転姿勢のままでは、手が届くか届かないかの位置にあり、助手席に人が乗っている場合にも開け閉めがしづらい位置にあります。
 
 この収納は、本来何のためにあるのでしょうか。

 グローブボックスは、その名の通りグローブ(手袋)を入れておくスペースが名前の由来です。

 ただしこれには諸説あるようで、昔のクルマはよく故障するため整備用のグローブが必要で、それを入れておくための収納といった説がひとつ。

 また、木製のステアリングホイール(ハンドル)が滑りやすく、しかもパワーステアリングがない時代には、ドライビンググローブのニーズが高かったので、ドライビンググローブを収納しておくための収納という説もあります。

 いずれにしても、なにかしらの“グローブ”を入れておくためのスペースとなっています。

 しかし、最近のクルマは故障しにくく、かつ、自分でメンテナンスするユーザーも少なくなってきており、メンテナンス用のグローブを常備しているドライバーは少なくなっています。

 加えて、パワーステアリングが標準装備化されたため、ハンドルを回す大きな力も必要なくなりました。

 さらに、滑りにくく、手触りの良い本革巻きのステアリングや、ヒーター付きのステアリングなどの装備が広まってきているため、ドライビンググローブの出番も少なくなってきているのが現状です。

 そのためグローブボックスの中には、一般的には車検証と取扱説明書を入れていることが多いようです。

 最近のグローブボックスでは少数派ですが、過去には高級車にはキーでのロックができるモデルも多くありました。

 そして高級車の中には、ホテルなどでスタッフにクルマを預ける「バレーパーキング」などで、グローブボックスやトランクが開けられないようなサブキーが用意されているモデルもありました。

 しかし最近ではスマートキーが普及して、メカニカルキー自身を取り出さないことに加え、車上狙い対策のために車内に貴重品を置かないことが浸透しためか、グローブボックスにロックが付いているモデルがほとんどなくなりました。

 ちなみに、現在のモデルでグローブボックスにキーが付いているのは、トヨタ「クラウン」、日産「スカイライン」などの一部の高級車に限られているようです。

 グローブボックスは、単に収納スペースとなっているモデルもありますが、様々な付加機能を持たせたモデルがあります。

 ティッシュボックスを丸ごと収納できる機能、エアコンの冷風や温風をグローブボックス内に取り込んで保温、保冷庫として使える機能、芳香剤を設置してエアコン風に香りをのせることができる機能、グローブボックスのフタにカップホルダーの穴やテーブルとなるようなフラットな面を作って、簡易食事テーブルとして使える機能などを備えたモデルもあります。

 また、グローブボックス内もしくはグローブボックスを開けないと見えない位置に、助手席エアバッグの作動をキャンセルスイッチや、トランクオープナーのキャンセルスイッチが設置されており、ドライバー以外の人が誤って使ったり、目立たせたくないスイッチが設置されていたりする場合もあります。

 なお、最近のクルマではエアコンフィルターが標準装備されていることが多く、普段交換することは少ないものの、交換する時は交換しやすい場所であるという理由で、グローブボックスの奥にエアコンフィルターの交換口が設けられているモデルが増えています。

※ ※ ※

 名称の由来とは用途が変わったものの、今もほとんどのクルマにはグローブボックスが付いています。

 しかしトヨタの最新のEV(電気自動車)専用車である「bZ4X」と兄弟車のスバル「ソルテラ」には、グローブボックスが装備されていません。その理由にはEVならではの事情が隠されていました。

 同車両は熱源となるエンジンがないため、冬場に車内を暖めるためには電気を使ったヒーターが必要になります。

 冷気を電気で暖めるヒーターが定番ですが、同車両にはさらに、輻射ヒーターと呼ばれる暖房器具が備わってます。

 運転席側はハンドルポスト下付近にありますが、助手席側は本来ならグローブボックスが備わる付近に内蔵されています。

 ちなみにグローブボックスに通常収納してある取扱説明書などは、センターコンソールボックスの奥深くに収納できるようになっており、代替の収納場所が確保されています。

 今後EV化が進んで輻射ヒーター装備車が増えると、これまで当然のように装備されてきたグローブボックスの存在自体が消滅してしまうかもしれません。

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