Infoseek 楽天

青信号で発進しない前走車に「プップー!」 なぜ「催促クラクション」違反になる? いつ鳴らすのが正解?

くるまのニュース 2023年8月21日 14時10分

信号が青に変わっても進まない前走車にクラクションを鳴らす行為はついやってしまいがちですが、じつは違法とされています。では、どのように使うのが正しいのでしょうか。

■ついついクラクション鳴らしてない?

 クルマの装備として、「プッ」と音が鳴るクラクション(警音器)が備わっています。
 
 主にハンドルの中央などを押すことで音が出る仕組みとなっており、信号が青に変わったのに前のクルマが発進しないときに気づかせるために鳴らす「催促クラクション」や、道を譲ってもらったときなどにお礼代わりに鳴らす「サンキュークラクション」など、気軽に使っているかもしれません。
 
 しかし、それらは間違った使い方だというのです。一体どういうことなのでしょうか。

 クラクションに関して、道路交通法第54条の2では次のように定められています。

「車両等の運転者は、法令の規定により警音器を鳴らさなければならないこととされている場合を除き、警音器を鳴らしてはならない。ただし、危険を防止するためやむを得ないときは、この限りでない」

 青信号で発進しないクルマへの催促クラクションは、本来鳴らす必要のないシーンとなり、「警音器使用制限違反」に該当して反則金3000円が科せられる場合があります(違反点数はなし)。

 道路交通法第54条の2の後半にある「危険を防止するためやむを得ないとき」にはクラクションは鳴らして良いといいますが、どのような状況が該当するのか判断が難しいところでしょう。

 例えば追い越しの際、前方のクルマが自分のクルマに気付かず、急な進路変更をしようとし、衝突のおそれがある場合などにクラクションを鳴らすのは、危険を知らせる行為に該当し違反にはなりません。

 一方で、無理やり割り込んできたクルマに対する抗議としてや、走行スピードが遅いクルマへの威嚇といった理由でクラクションを鳴らすのは「危険を防止するためやむを得ないとき」とはいえず、違反行為となります。

「危険を防止するためやむを得ないとき」は、クラクションを鳴らすことで衝突や追突などの事故を防ぐことができるかどうかという点が判断基準となるでしょう。

催促クラクションやサンキュークラクションは危険を知らせたり、事故を防止するためのものではなく、道路交通法で定められている正しい使用方法とはいえないというわけです。

■鳴らさないと「違反」の場合もある?

 普通に運転している限り、クラクションを鳴らすシーンはそれほど多くはなさそうですが、そんななか、逆にクラクションを鳴らさなくてはいけないタイミングがあるといいます。

「警笛鳴らせ」の道路標識

 クラクションを鳴らすタイミングは、道路交通法52条1項で以下のように明示されています。

1.左右の見とおしのきかない交差点、見とおしのきかない道路のまがりかど又は見とおしのきかない上り坂の頂上で道路標識等により指定された場所を通行しようとするとき。

2.山地部の道路その他曲折が多い道路について道路標識等により指定された区間における左右の見とおしのきかない交差点、見とおしのきかない道路のまがりかど又は見とおしのきかない上り坂の頂上を通行しようとするとき。

 見通しの悪い交差点やカーブ、上り坂の頂上などでクラクションを鳴らすことは、対向車に自分の存在を知らせるために必要なことです。

 また、クラクションを鳴らさなくてはいけない区間には「警笛鳴らせ」の道路標識が設置されています。

 なかには規制区域内を示す「←→」と警笛鳴らせの標識を組み合わせた「警笛区間」が設置されているケースもあります。

 これらの標識は、主に山間部の見通しの悪いカーブや曲がり角、坂の頂上などに設置されており、危険の有無に関係なくクラクションを鳴らして自車の存在を知らせる目的があります。

 なお、使用すべき場所で鳴らさなかった場合、「警音器吹鳴義務違反」が適用され、普通車なら違反点数1点・反則金6000円が科せられることがあります。

※ ※ ※

 クラクションの使い方によっては「あおり運転」を誘発させたり、合流などで道を譲ってもらえないなど、トラブルの原因になることも考えられます。

 本来クラクションは、自分の存在や危険を知らせ、事故を防止するためにやむを得ず使うものです。必要でない場面では、不用意にクラクションを鳴らさないようにしましょう。

この記事の関連ニュース