オープンカーのオーナー間でおこなわれるという「ヤエー」という挨拶が、SNSで大きな話題となっています。はたして、この「ヤエー」とは一体どのような挨拶なのでしょうか。そして必ず交わし合うべきものなのでしょうか。
■「ヤエー」って何だ!? 独特な挨拶の正体とは
オープンカーのオーナー間でおこなわれるという「ヤエー」という挨拶が、SNSで大きな話題となっています。
はたして、この「ヤエー」とは一体どのような挨拶なのでしょうか。そして必ず交わし合うべきものなのでしょうか。
発端となった投稿は、投稿主の方がマツダのオープンカー「ロードスター」に乗ってドライブしていたところ、対向車として走ってきた別のロードスターのドライバーから「ヤエー」という挨拶をされたというもの。
しかし投稿主の方はその挨拶の存在を知らなかったため無視してしまったところ、相手がコンビニまで追いかけてきて「ロードスターは『ヤエー』をし合うのが常識だ」と注意されたということでした。
この「ヤエー」の正体は、元々バイクに乗るライダー同士が交わす挨拶を発祥としたものでした。
今ではバイクに限らず、ロードスターをはじめとしたオープンカーやスポーツカー、あるいはロードバイクなどの自転車でも交わされているといいます。
そんな「ヤエー」は、本来はただの挨拶におさまらず、相手の「安全祈願」や地元の方による「歓迎」の意味合いも含まれていました。
そして一言に「ヤエー」といってもその仕草は様々で、ピースサインや手を振ったり、親指を立てるなど特に決まった形はありません。
この独特の挨拶文化が始まった正確な時期や発案者は確認できませんが、古くは1980年代に同様のものが一部の間ですでに交わされていたとする声もあります。
そこで気になるのが、この「ヤエー」という日本語離れした不思議な名称です。
どうやらこれは、かつてインターネット上で嬉しさを表す際の英語「Yeah(イエー、イエァ)」のスペルを誰かが間違えて「Yaeh(ヤエー)」と記載した結果、それが愛称として親しまれ、そのまま広まって定着した名称だといわれています。
■「ヤエー」は義務? 挨拶する際には注意点も
先述の通り、バイクのみならずクルマや自転車でも交わされるようになった「ヤエー」ですが、運転中の行動になるだけに数多くの注意点もあります。
まず、対向車として不意に現れた相手に向けて交わされる挨拶ゆえ、基本的に“走行中”に手を使う必要があるので、その瞬間は「片手運転」になってしまいます。
安全運転という目線においては、この片手運転は決して推奨されるものではなく、それが相手の安全を祈願する挨拶で事故を起こしてしまえば本末転倒。
とくにMT車ではハンドルとともにシフトレバーの操作も必要になります。停止中ならまだしも、カーブやトンネルの中、あるいは車線変更中など、シフトやクラッチ・ブレーキ操作に追われるようなシーンであれば、決して無理に「ヤエー」は行うべきではなく、運転に集中すべきでしょう。
路面に段差があって不安定な状態であったり、強風が吹いているような場面ではとくに運転操作を優先したほうがよいといえます。
さらに注意すべきは、すべてのクルマやバイクのオーナーが「ヤエー」を認知しているわけはないという点です。
単に挨拶を知らないだけでなく、相手が気づかないときもあれば、見ず知らずの相手との挨拶を嫌がって返事を返さない人もいるでしょう。
そのため、たとえ自分が挨拶したとしてもすべての相手が返事を返してくれるとは限りません。
先述のSNS投稿では、「『ヤエー』を返すのは常識である」と注意されたということですが、挨拶をするか・しないか、そして返すか・返さないかは個人の自由。これは義務でもなければ、ルールでもないのです。
自分が「ヤエー」をしても相手が返してくれないときは、ちょっと落ち込んだり、少し不満を感じる人もいるかもしれません。
しかし、少し寂しい言い方をしてしまえば「ヤエー」には自己満足の側面もあります。
もし今後も「ヤエー」をしたいと思うのであればそこは割り切って、たとえ相手が無反応であっても気にせず、相手の安全を祈願してあげてはいかがでしょうか。