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よく見る「応談」の中古車 なぜ価格を表示しない? なかには困惑するユーザーも 価格表示の問題点とは

くるまのニュース 2023年8月22日 9時10分

中古車を探していると、価格が「応談」や「ASK」となっていることがあります。これにはどういった理由があるのでしょうか。また、商品の価格を表示しなくても問題はないのでしょうか。

■中古車「ASK」なぜ価格を表示しない?

 クルマを購入するとき中古車を選ぶという人も多く、専門のサイトや情報誌などには多くの中古車が掲載されています。
 
 しかしその中には、販売車両の価格が「応談」や「ASK」になっているものもあります。商品の価格を表示しないことは問題ないのでしょうか。

 中古車は、一度誰かの所有物となったという点を気にしないのであれば、新車より安価で購入できることが多く、納車も一般的には新車より早い場合が多いのがメリットです。

 また、すでに新車として販売されていない絶版車や旧型車を探すことも可能で、特定の車種のみを探したいというこだわりがあるなら、中古車の選択は有効です。

 しかし、中古車サイトや情報誌などで、販売価格が「ASK」や「応談」となっているケースを見かけることがあります。

 こうした場合、金額を知るためには販売店に問い合わせるしかなく、それが面倒だと感じる人や、購入の検討自体をやめるという人もいるようです。

 SNSなどでは、「中古車の応談見ると冷めるわ」「素直に売りたくないの?」「中古車のプライスがASKな時点で購入対象から即外れる」「中古車のASKにちょいちょいイラッとしている側ですが」といった、マイナスな印象を抱くという意見もあります。

 さらに、「中古車のASKって人によって値段変える感じ?」「強気な値段を開示すればいいのに」など、高価格ゆえに公開していないのかと勘繰る人や、価格が問い合わせの都度異なるのではないかと疑いを持つ人もいるようです。

 このように、中古車を探すユーザーからするとメリットを感じにくい応談表示ですが、どういった理由で価格を非公開にしているのでしょうか。

 希少車を多数扱い、金額を応談に設定している中古車販売店は以下のように話します。

「希少車や旧車では相場がない上に価値も上昇していることが多く、どうしても高価格になりがちです。

 しかし、価格を公表してしまうと、その情報を見た時点でお客さまが検討をやめてしまうことがあります。そのため、電話などでクルマの詳細も含めて問い合わせてもらうように応談にしている場合が多いです」

 さらに、これ以外にも理由があるようです。先出の中古車販売店は以下のように続けます。

「相場がないことにより、同じクルマを在庫する同業者からの価格調査が入ることもあります。さらに、業販(業者間での特別価格)で在庫を譲ってほしいとする業者からの問い合わせもあるため、在庫車を守るためでもあります。

 ほかにも、買取で仕入れた希少車であれば通常のクルマよりも利益を乗せられるので、手放したユーザーから『利益を乗せすぎだ』とクレームが入らないようにするためという事情もあるのです」

■「ASK」が問題にならない理由とは?

 このように、応談の理由はいくつかあるようですが、販売する上で問題はないのでしょうか。

 自動車公正取引協議会(自動車公取協)は、以下のようにコメントしています。

「規約では、店頭の展示車にはプライスカード等により価格表示が義務付けられていますが、広告は価格表示が義務付けられておらず、現状の『ASK』や『応談』の表示で何かトラブル等が多発している訳ではないことから、一部の旧車や希少車、大型車等で行われている『ASK』や『応談』の表示が、直ちに問題となるとは考えておりません」

 店頭で展示する場合は価格表示が義務付けられていますが、広告として掲載するのみであれば現状、価格表示にルールは設けられていないようです。

今後は価格の明記がルール化される可能性も(画像はイメージです)

 一方で、中古車を検討する上で価格は重要な情報であることから、自動車公取協では会
員事業者に対し、問い合わせへの回答や研修会など積極的に価格を表示するよう指導して
いるとのことです。

 また、前出の中古車販売店のように、問い合わせを増やすために応談表示を用いるケースに関しては、問題視しているとも話します。

「旧車や希少車などにおける、『価格を表示したくない』『問い合わせを増やすため』と
いう理由で、積極的な情報提供を阻害するような使われ方が広がるようであれば、規約の
見直しや、中古車情報誌媒体社に対する積極的な価格表示の実施に関する要請を行うこと
など、検討も必要と考えます」

※ ※ ※

 なお、自動車公取協は自動車公正競争規約・施行規則を改正し、2023年10月から、販売価格を表示する場合に車両価格に諸費用を加えた「支払総額」を表示すること、その内訳として車両価格、諸費用の額を明記するルールへと変更すると発表しています。

 この改正では、現在のところ応談価格の表示についての変更点はないようですが、今後中古車を探すユーザーから様々な声が寄せられれば、価格に関して透明性のある表示の義務化が進められそうです。

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