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対向車が「謎のライト点灯」何のため? ピカッと「パッシング行為」する意図は?

くるまのニュース 2023年8月22日 13時10分

ヘッドライトを点滅させる「パッシング」と聞くと、昨今は「あおり運転」などの凶暴性が強調されるところですが、かつてはドライバーがコミュニケーション手段として用いていた時代もありました。どのような使い方があったのでしょうか。

■「あおり運転」ではありません! 謎の「パッシング」ルールの数々とは

「移れば変わる世の習い」ということわざがあるように、時代が変われば世の中のルールやマナー、風習も徐々に変化していきます。
 
 対向車による「パッシング」もそのひとつです。

 パッシングとは、クルマのヘッドライトを素早く点滅させて、対向車や先行車に合図を送ることです。

 ヘッドライトをチカチカさせることで周囲のクルマに合図を送り、コミュニケーションをとるというのは、かつては多く見られた光景でした。

 このパッシングには、シチュエーションに応じていろいろな意味がありました。

 右折待ちをしている対向車に「お先にどうぞ」という合図を送るために使われたり、逆に直進車に対して「先に行かせて」と伝えたいとき、また、譲ってくれた対向車に「ありがとう」を伝えるためなど、状況によってドライバーがその意味を読み取っていたのです。

 今でも、対向車が道を譲ってくれるシーンでは、パッシングで合図を送ることはよくありますが、昨今は、あおり運転と勘違いされるといった懸念などもあってか、パッシングは以前ほど見かけなくなりました。

 なかでも「この先で警察がネズミ捕り(移動式速度計測器による速度違反の取締り)をやってるよ」という意味のパッシングは、ほとんど見かけなくなったように思います。

 この「ネズミ捕りパッシング」は、かつては郊外の一般道などで頻繁に見られたもので、走行中に対向車がすれ違いざまにパッシングすることで、ネズミ捕りをやっていることをよく教えてくれたものです。

 なかでも、プロのトラックドライバーの人たちは相互扶助(助け合い)の精神が強く、よく教えてくれたことを記憶しています。

 すっかり廃れてしまった今では、その意味を知らないドライバーも多く、対向車からパッシングをされると、「嫌がらせだ」と受け取るドライバーもいるようです。

 もちろん、知らせてもらわなくても、公道では法定速度を守って安全に走行するべきです。また今の時代に、パッシングを推奨するものでもありません。

 ただ、勘違いを防ぐためにも、かつてネズミ捕りを知らせるパッシングのルールがあったことについて、ドライバーならば知っておいたほうが良いことのひとつだと筆者(河馬兎)は思います。

※ ※ ※

 対向車によるパッシングにはほかにも、「この先で落下物があるので注意したほうがいいよ」というものや、バスなどの場合は、車内の異変を知らせたいとき、また対向車のヘッドライトがまぶしいと伝えたいとき、などもあります。

 パッシングは、クラクションよりは威嚇や攻撃的な印象にはならず、ある程度、こちらの意図をソフトに伝えることができますが、本文中でも触れたように、あおり運転と勘違いされる懸念のほか、意図が伝わりにくいケースもあるため、やはり執拗に繰り返すことは禁物といえます。

 実際、パッシングが原因でトラブルになったケースも聞かれます。

 例えば対向車が渋滞し停止しているなか、右折しようと待っていたらパッシングされたので進んだところ、後方からすり抜けてきたバイクと衝突した、という事故がありました。

 対向車が「危ない!」という意図で行ったパッシングを、右折車は「どうぞお先に」とくみ取ってしまった訳です。

 合流車線などで合図代わりによく用られる、いわゆる「サンキューハザード」もそうですが、パッシングも、ドライバー同士のアイコンタクトや手を挙げるなどのしぐさとともに、慎重に使いたいものです。

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