標識にはさまざまな種類がありますが、住んでいる地域によっては見かけることのないものも多いです。とくに「線路の上を車が走る」絵柄の標識は教習所で習いましたが、馴染みのない人にとっては忘れているかもしれません。
■線路の上をクルマが走る様子が描かれた「謎の標識」とは
免許取得のために教習所で習ったものの、日常で目にしないと何を表しているのか忘れてしまう「標識」がいくつか存在します。
そのひとつに線路の上をクルマが走る様子が描かれた「謎の標識」が挙げられますが、これはどのような意味を表しているのでしょうか。
この線路の上をクルマが走る標識は、日本各地に点在していますが、その場所は限られた地域に集中しています。
その理由は、この標識が路面電車が通っていない地域では接する機会がないためです。
標識の名は「軌道敷内通行可」と言い、軌道敷内とは路面電車が道路を通行できるように設けられた部分を指しています。
その部分は敷石や線で示されており、なにもない部分に関しては左右それぞれ0.61m加えた部分です。
軌道敷内は、右折や横断以外のクルマの通行は原則禁止されています。
ただし、軌道敷内通行可の標識が設置されている場合は軌道敷内をクルマで通行可能です。
二輪車は通行可、原動機付自転車、軽車両は通行不可となっています。
軌道敷内通行可の標識は、正方形の青地の標識に白地でクルマと路面電車の線路が描かれているもので、あまり見かけない珍しい標識です。
なお、路面電車の運行地域は、北は北海道札幌市から南は鹿児島県鹿児島市まで点在し、長い路線距離だと「とさでん交通」の25.3km、短い路線距離だと「京福電気鉄道」北野線の3.8kmです。
■都市部ではクルマと路面電車がスレスレ!? どんな感じ?
例えば、「東京さくらトラム」の愛称で親しまれている都電荒川線の王子駅前から飛鳥山間で複数個所設置されています。
この区間は交通量の多い片側2車線以上ある国道122号線上にあるため、軌道敷内でも通行が可能になっています。
ただし、この区間は坂道とカーブが多い路線なので、道路状況によっては滑りやすいので注意が必要です。
ほかにも、さくらトラムの熊野前から小台間でも併用軌道区間となっています。
しかしここは軌道敷両脇に縁石を利用して完全に分離した車線の「センターリザベーション方式」を採用しているので、クルマが通行できません。
普段、軌道敷がある場所を通行しないと、なかなかルールの把握をすることが難しいです。
なお軌道敷内で路面電車の通行を妨げた場合は、違反点数1点、反則金4000円が科せられるため、路面電車と併走する際には注意が必要です。