夏は大気の状態が不安定になり、突然ひょうが降ってくるときがあります。運転中、どう対処すればよいのでしょうか。
■突然のひょう 愛車をどう守る?
夏には大気の不安定な日に「ひょう(雹)」が降ってくることがありますが、クルマを運転中にひょうが降ってきたらどのように対応すればいいのでしょうか。
特に夏場になると、ひょうが降ってきたというニュースもよく見かけるようになり、クルマへの被害も多く報告されています。
夏は地表の空気は暖められている一方で、上空には冷たい空気が入り込みやすく、これにより大気の状態が不安定となって積乱雲が発生します。
積乱雲の中では、小さな氷の粒が上昇気流と粒自体の重みで上下するうちに、周りに付着した水分が固まって氷の粒が大きくなっていき、重さに耐えられなくなったところで重力に従って地表へ落下します。
地上に近づく間に溶けて水になれば雨となりますが、溶けずに氷のまま落ちてくることがあり、このうち直径5mm以下のものが「あられ(霰)」、5mm以上のものが「ひょう」です。
大きいものではゴルフボールほどのサイズや手のひらサイズのものが落ちてきたなどの報告もあるといいます。
ひょうが落下すると、住宅の屋根などに損害を与えるほか、クルマに当たればボディやガラスがへこんだり割れたりする危険があります。
また、路面にひょうが降り積もると、クルマがとても滑りやすくなるため、粒が小さいからと言って安心はできません。
もしドライブ中に突然ひょうが降ってきたら、まずは安全確保のため、ハザードランプを点けて路肩など道路の左側の安全な場所に停車するか、クルマの損傷を防いだり、軽減するために、頑丈な屋根のある立体駐車場や地下駐車場などに避難するといいでしょう。
近くにクルマが避難できる施設がない場合でも、ひょうが降ってくることにより運転に危険を感じるようであれば安全な場所に停車して一時的に止むのを待つことが大切です。
単に落ちてくるひょうに当たるよりも、走行スピードが加わると、クルマに当たった時の衝撃が大きくなる可能性があるため、ボディを守るためにも停車するほうがいいと考えられます。
この時、避難しようとして慌てて外に出ると他のクルマとの接触事故に繋がったり、ひょうに当たってケガをしたりなどの危険があるため、車外へ出る時には周囲の状況をよく確認しましょう。
また、クルマにブランケットなどを積んでおけば、突然のひょうでもボンネットやルーフなどを覆うことができ、ある程度クルマを保護することに役立ちます。
なお、ひょうが降る前には周囲が急に暗くなったり、稲光や雷鳴が聞こえたりするなどの前兆が見られます。
雷注意報が出ている時や、気象情報で「大気の状態が不安定」などのキーワードが出てきたら、ひょうが降る恐れがあると想定して行動することも大切です。
もしクルマがひょうによって損害を受けてしまったら、ボディやフロントガラスなど広範囲の修理が必要となりますが、その修理費用は保険が適用される場合があります。
自動車保険に契約中のクルマの損害を補償する「車両保険」が付帯されていれば、「物体の落下・飛来」などの項目で、一般補償タイプとエコノミー(限定)補償タイプのいずれも支払い対象となるため、加入している保険会社に確認してみましょう。
ただし、保険を使うと等級がダウンして、翌年以降の保険料が高くなる可能性もあるため、実際の修理費用と比較しておくことも大切です。
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例年9月頃までは暑さが続きますが、それに伴うゲリラ豪雨やひょうなど、予測できない急な天気の変化には注意が必要です。
特にひょうはクルマへのダメージも大きく、ルーフやボンネットに細かい凹みが出てしまうと修理も難しく費用がかさむほか、「ひょう害車」として扱われてしまいます。
天気予報をこまめに確認するとともに、ひょうのおそれがある場合は前もってクルマを屋根の下に保管するなどの対策をしたほうがよいでしょう。