埼玉県三芳町を通る関越自動車道の陸橋から液体の入ったペットボトルを投げ入れる事件が発生しました。どのような罪に問われるのでしょうか。
■驚き!過去にも高速道路にモノを投げ入れる事件が多数発生
2023年8月、埼玉県内の高速道路にペットボトルを投げ入れられる事件が発生しました。
一歩間違えれば人が亡くなるかもしれない危険な行為ですが、一体どのような罪に問われるのでしょうか。
この事件は、埼玉県三芳町を通る関越自動車道の陸橋から液体の入ったペットボトルを投げ入れ、走行中のトラックのフロントガラスを壊したなどとして、県内在住の30代男性が逮捕されました。
幸いこの事故で運転手にケガはなかったものの、一歩間違えればさらに大きな事故に発展していたおそれがあります。
今回の事件に対しては「大人がこんなことをするなんてあり得ない」、「個人のスリルや面白さで関係のない人を亡くすと思うとゾッとする」という声や「ひとつ間違えれば殺人事件」などの声が多数寄せられていました。
高速道路を走っている際にいきなりフロントガラスに物が落ちてきたら驚いてハンドル操作を誤る、前方が見えなくなって他のクルマに衝突してしまうなど大事故につながる危険があり、許せない行為といえるでしょう。
この事件では、ペットボトルを投げ入れた男性が「高速自動車国道法違反(自動車破壊など)」の疑いで逮捕されています。
同法第26条第1項および第27条第1項にはそれぞれ以下のように規定されています。
第26条第1項
「高速自動車国道を損壊し、若しくは高速自動車国道の附属物を移転し、若しくは損壊して高速自動車国道の効用を害し、又は高速自動車国道における交通に危険を生じさせた者は、5年以下の懲役又は200万円以下の罰金に処する」
第27条第1項
「前条第1項の罪を犯しよって自動車を転覆させ、又は破壊した者は、10年以下の懲役に処する」
ペットボトルを投げ入れる行為が交通に危険を生じさせ、さらにこの行為によってトラックのフロントガラスを破壊しているため、この法律が適用されたものとみられます。
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なお付近では、同年7月にも関越自動車道に瓶のようなものが投げ込まれたとの通報がされており、警察では関連を調べています。
■コンクリはさすがにヤバすぎるでしょ…過去にも多発してた?
さらには過去にも同様の事件は多数発生しています。
たとえば2020年、熊本県熊本市内の九州自動車道において、大型トラックにコンクリートブロックを投げ込んだ少年3人が殺人未遂の疑いで逮捕されています。
2013年には兵庫県川西市内の中国自動車道に陸橋から自転車を投げ落とした少年4人が同じく殺人未遂の疑いで逮捕。
兵庫県の事例では当初、乗用車やトラックに対する器物損壊事件として捜査されていました。
しかし、少年たちが走るトラックを狙って自転車を投げ落としていたことが判明し、死亡事故につながるおそれがあったとして殺人未遂事件に切り替わりました。
「ひとつ間違えれば殺人事件」との反響があったように、道路に物を投げ込めばこのように殺人未遂として逮捕されるケースもあるのです。
さらに2019年10月には埼玉県さいたま市において、自宅アパートの2階ベランダから国道に向けて瓶を投げ付けてガラス片を飛散させた30代の男が「往来妨害」の疑いで逮捕される事案も発生しています。
往来妨害罪とは刑法第124条に規定される犯罪で、道路・橋などの破壊や道路に障害物を置いて行き来を遮断した場合などに適用される法律です。
そのほか、道路交通法第76条第4項第4号では、道路における禁止行為などに関して以下のように規定されています。
「石、ガラスびん、金属片その他道路上の人若しくは車両等を損傷するおそれのある物件を投げ、又は発射すること」
走っているクルマに対して物を投げる行為はこの道路交通法違反に当たる可能性もあります。
その事件の具体的な状況によって適用される法律は変わりますが、いずれにせよ法に触れる行為であると認識しておくことが重要です。
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これまでに悪ふざけや軽はずみな気持ちで走行中のクルマめがけて物を投げる事件が多数発生しています。
今回逮捕された男性も警察の調べに対して「面白さとスリルを味わいたかった」と供述しており、事の重大さを理解していたのかは疑問です。