昭和世代のカーライフでは「鍵の閉じ込め」ぞくにインキートラブルがよくありました。実は過去の話ではなくいまも年間12万件も起きているようです。
■昭和から平成、さらに令和になっても無くならないインキー
現在ではスマートキーなどの電子キーが主流になっていることもあり、インキーのトラブルはほとんどなくなりました。
ただし油断しているとインキーになる事例もあるようです。
車内に鍵を残した状態でクルマをロックすることをインキー (インロック) といい、昭和時代ではクルマのトラブルの代表格でした。
当時はスマートキーはもちろんのこと、集中ドアロックの機能がないクルマもあり、複数人で降車する際は各々でドアを施錠することが暗黙の了解となっていました。
また施錠は、あらかじめドアを車内からロックし、ドアノブを引っ張った状態でドアを閉めるとロックが掛かる仕組みを利用していました。このときに鍵が車内に残っているとインキーが発生してしまいます。
スマートキーが一般的な近年ではイメージが湧きにくい事例ですが、当時では珍しくない光景でした。
現在では、ほとんどのクルマにスマートキーが標準装備されていることもあり、インキーは起こりにくい事例といえますが、それでも度々ロードサービスのお世話になるようです。
事実、2022年のJAFが出動した四輪車におけるロードサービス内容でも、12万1500件以上の第5位と決して少なくない数字といえるでしょう。
原因のひとつとしては、スマートキーの電池の消耗によることが挙げられます。
施錠方法のひとつに、スマートキーを携帯してクルマから離れると自動的に施錠される仕組みがあります。
このときに電池が消耗している状態でクルマから離れていると、誤認識してロックが掛かることがあるようです。
ほかにも、スマートキーでトランクだけを開錠して荷物の積み下ろしをしている際に、誤ってトランク内にスマートキーを置いたまま閉じてしまうと、場合によってはインキーの状態になる恐れがあります。
珍しいケースでは、車内に放置してあるカバンに入れたスマートキーが、不可抗力でロックをしてしまいインキーになるケースがあるようです。
一方で安全運転の知識などを発信する「安全運転補完計画ユズリアイ(@projectyuzuriai)」が、以下のコメントとともに動画をSNSに投稿し、話題を集めました。
「最近のスマートキーはインキーできないようになっていますが、とある方法でインキーができることがあります。※絶対に真似しないでください」
この投稿された動画では、まず運転席のワンタッチパワーウィンドウで窓を自動で閉めつつドアを閉めます。
そして外からロックをかけてから、スマートキーを窓が締まり切る前に室内に放り投げることでインキー状態となる様子が分かります。
このようになにかの偶然が重なることでもインキーとなることがあるようです。
■JAFの担当者が語るインキーの防止対策とは
現在のクルマは、車内にスマートキーがあると警告音を発したり、ドアロックができなかったりするなどの対策がとられている場合がありますが、インキーの防止対策としてはどのようなものがあるのでしょうか。
JAFの担当者は次のように話します。
「電子キーの閉じ込み対策は、常に肌身離さずスマートキーを携帯することが最良の方法です。
常に鍵を持ち歩くようにすること、またはクルマに乗り降りする際も目の届くところや側に常に電子キーを置いておくことを意識することです」
乗車の際にスマートキーをコンソールに置くことやカバンに入れて車内に放置しておくことはインキーのリスクが高まります。
携帯しておけば、電池の消耗や誤作動でもインキーを起こすことはなくなるので安全です。
スマートキーの携帯が難しい場合は、スマートキーに付属していることが多い物理キーを携帯しておけば、いざというときに開錠ができるのでインキーからのトラブルも回避できます。
ちなみにインキー状態になった場合、ウインドウの隙間から針金などを利用してロックを解除することはしてはいけません。
昔のクルマはインロックした際に、ウインドウの隙間に針金を利用して車外からロックスイッチに引っかけて開錠していましたが、現在のクルマではほぼ不可能といえます。
それは現在のクルマのドア内部が複雑な構造になっており、安易に針金などのドアパネルに挿入するとドア内部の断線など、さまざまなトラブルが生じる可能性があるためです。
また、ドアロック自体が物理スイッチではない場合、インキーをしてしまうと所有者では対処できない可能性もあるため注意が必要です。
※ ※ ※
もしインキーをしてしまったら素直にロードサービスを利用するといいかもしれません。
JAFや自身の自動車保険のロードサービスに、インキーに対応してくれる契約もあるので事前にチェックしておきましょう。