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昔のクルマに付いてた「謎のタバコマーク」何の意味? 今の若者は知らない?面影残る装備とは

くるまのニュース 2023年8月25日 11時10分

さまざまな機器に電力を供給できる「アクセサリーソケット」は、現在ではほとんどすべてのクルマに備わっています。一方、一部のユーザーはこれを「シガーソケット」と呼ぶことがあります。そこにはどんな違いがあるのでしょうか。

■「アクセサリーソケット」と「シガーソケット」、その違いは?

 現在新車で販売されているクルマのほとんどには、「アクセサリーソケット」と呼ばれる装備が備わっています。
 
 一方で一部ユーザーからはこれを「シガーソケット」と呼ぶことがあります。そこにはどんな違いがあるのでしょうか。

 アクセサリーソケットは、対応する機器のプラグを挿入することで電力を得られる給電のための装備で、乗用車の場合、12Vの電圧と10Aの最大消費電流を持っていることが一般的です。

 給電のための装備という意味では、USBソケットも同じ役割を持っています。

 一方、アクセサリーソケットはUSBソケットよりも大きな電力を供給することができるため、クルマ用の掃除機や扇風機、冷蔵庫などといった機器へも給電することが可能であるという違いがあります。

 そんなアクセサリーソケットは、一部のユーザーから「シガーソケット」と呼ばれることがあります。

「シガー」とは「タバコ」を意味する言葉ですが、特に若いユーザーには、なぜアクセサリーソケットがタバコを指す言葉で呼ばれるのか、明確に説明できない場合があるようです。

 両者の大きな違いは、シガーソケットにはタバコに火を付けるためのシガーライターが備わっている点です。

 シガーライターは、通常時はソケットに挿入された状態となっています。

 ソケットに深く押し込むとその数秒後に「ポン」という音とともに取り外せる状態となり、内部にある温められた電熱線によってタバコに火を付けることができます。

 一方、アクセサリーソケットと呼ばれるものには、ホコリなどの侵入を避けるカバーなどをのぞけば、特に付属しているものはありません。

 しかし、シガーライターを取り外したシガーソケットは、アクセサリーソケットとほぼ同じ機能を持っているため、多くの場合、両者は同じ意味で用いられています。

 厳密に言えば、シガーソケットはシガーライターの熱に対する耐熱性を備えているなどの違いはありますが、電圧や内径に違いはありません。

 ちなみに、アクセサリーソケットの内径は日本産業規格(JIS)によって21mmと定められています。

 輸入車などではやや異なる場合もありますが、ほとんどの機器のプラグは多少の差に対応できるよう設計されているため、基本的には問題なく使用することが可能です。

■シガーライターはなぜ見なくなった?

 現在、日本国内で販売されている乗用車で、シガーライターを標準装備、もしくはオプションで装着可能なモデルは皆無です。

 言うまでもなく、その理由は喫煙者が減少していることにあります。

 厚生労働省の調査によれば、2019年時点での喫煙率は16.7%ですが、2009年時点では23.4%となっており、この10年で7.7ポイントの減少していることがわかります。

 一方、1990年頃までは男性の大多数が喫煙者であったと言われています。

 そのため、シガーライターが標準装備となっていたクルマも多く、また車内で喫煙することも一般的な光景でした。

 しかし、1990年代後半ころからいたるところで分煙化が進み、現在では自由に喫煙できる場所は少なくなっています。

 また、タバコの価格も定期的に上昇しており、値上げを期に禁煙を志す人は少なくありません。

 こうした背景もあり、2000年代後半にはシガーライターを標準装備としないクルマも増えつつありました。

かつてはインパネ中央に位置していた灰皿だが…最近ではその装備ですら姿を消している

 その一方で、スマートフォンやタブレット、カーナビやドライブレコーダーなど、車内で給電が必要な製品は年々増えていたことから、給電設備としてのシガーソケットの需要はむしろ高まっていました。

 その結果、シガーライターを取り除いたシガーソケット部分だけが標準装備として残され、「アクセサリーソケット」という名前で呼ばれることになりました。

 シガーライターが消えるのとほぼ同じタイミングで、灰皿も車内から姿を消してしまいました。

 かつて灰皿が占めていた場所は、いまではスマートフォンなどを置く小物入れなどに置き換えられています。

※ ※ ※

 いまのクルマではほとんど見られなくなったシガーライターですが、意外なことに、一部の空港の喫煙所でその姿を見ることができます。

 これは、一般的なガスライターは機内持ち込みが禁止されているため、手荷物検査後のエリア内では火を得ることが難しいことと関係しているようです。

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