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関東大震災から100年目の「防災の日」 改めて考える災害時の備えとは? 仮の住まい「車中泊」の注意点

くるまのニュース 2023年9月1日 9時10分

毎年9月1日は「防災の日」ですが、2023年はその由来となった関東大震災からちょうど100年にあたります。そんな節目だからこそ「防災」について考えてみましょう。いざという時にはどのような備えをするのが良いのでしょうか。また被災時の仮住まい「車中泊」での注意点とはどのようなものなのでしょうか。

■いざという時のために、準備しておくべきこと

 9月1日は「防災の日」です。さらに、2023年はその由来となった関東大震災からちょうど100年となる節目の年ですが、万が一の災害に対してどのような備えをすれば良いのでしょうか。
 
 また、万が一に自分が被災者となった場合、仮の住まいとして「車中泊生活」が余儀なくされる可能性がありますが、どのようなことに注意をすれば良いのでしょうか。

 日本では毎年9月1日を「防災の日」として、国民全員が台風、高潮、津波、地震などの自然災害に対する認識を深め、準備することを啓発しています。

 9月1日が選ばれたのは、1923年9月1日に発生した関東大震災に由来していることに加え、台風が多いとされるいわゆる「二百十日」が9月1日前後であることにも関係しています。

 そんな防災の日だからこそ、改めて自分が災害に遭遇することを想定した備えは必要です。

 日本は世界にも類に見ない災害大国と言われています。

 いつ大規模災害が発生するかわからない状況では、ユーザー全員が高い防災意識を持ち、日頃から一定の準備をしておくことが重要です。

 たとえば、寝袋やブランケットなどの就寝用品、数日分の食料や水、携帯トイレ、懐中電灯、着替え、ポータブル充電器などがあれば、不測の事態でもある程度は安心です。

 とはいえ、日常的にクルマを使うことを考えると、多くの防災用品で車内を埋め尽くすわけにもいかず、必要最低限のものに絞る必要があります。

 その際、できる限り優先したいのは、やはり車内で寝泊まりする際の快適性です。

 まず、自身のクルマがどのようなシートアレンジができるのかを把握し、できる限り足を伸ばせるスペースを確保する方法を確認しておきましょう。

 快適な車中泊においては、凹凸をできる限り少なくすることが重要です。タオルやブランケットなどを敷き詰める方法もありますが、車中泊用のエアーマットを活用するのもおすすめです。

 車中泊用エアーマットは3000円程度から購入できるほか、空気を抜いた状態ではほとんどスペースを取らないため、車内に常備しやすいというメリットがあります。

 一方、レジャー利用を目的とした車中泊用エアーマットは、空気の注入に電源や専用の機材が必要であることも多く、災害時の使用には不向きの場合があります。

 また、耐久性に課題もある場合があるので、防災用のものを選ぶことが重要です。

 そのうえで、数日分の食料や水、携帯トイレがあれば数日間の避難生活を問題なく送ることができると考えられます。

 それ以上の防災用品については、個々人の状況や自治体の防災設備などを総合的に判断し、準備するようにしましょう。

 もし、自宅に駐車場がある場合には、自宅の中に防災用品を準備しておき、いざという時にクルマに積み込むことが可能です。

 しかし、マンションなど、自宅と駐車場が離れている場合にはある程度の防災用品をあらかじめクルマに積んでおくと安心です。

 また、クルマを利用するかどうかにかかわらず、自宅や会社付近の緊急避難場所を確認しておくことも重要です。

 いずれにせよ、日本ではどの地域でも大規模災害が発生する可能性があります。それはずっと先のことかもしれませんし、明日のことかもしれません。

 いつそうした事態になってもよいように、常日頃から準備をしておくことが、なによりも大切です。

■災害時には「車中泊」をせざるを得ない場合も…気をつけるべきことは?

 誰でも手軽に非日常感を味わえるアクティビティとして、多くのユーザーの注目を集めているのが「車中泊」です。

 近年では車中泊専用施設も登場しており、その勢いはさらに加速しています。

 一方、車中泊は必ずしもレジャー目的だけで行われるわけではありません。

 たとえば、地震や台風といった自然災害によって自宅が損壊した場合など、やむを得ず車中泊をせざるを得ない場合があります。

 大規模災害の場合では、地域の公共施設などが避難所として設定されることもありますが、プライバシーや防犯上の問題から、自家用車での寝泊まりを行うユーザーも少なくないと言います。

 実際、2011年の東日本大震災や2016年の熊本地震でも、多くのユーザーが自家用車で寝泊まりをする様子が見られました。

 ただ、ほとんどのクルマは車中泊を前提に設計されているわけではないため、自家用車を「避難所」とすることには多くの懸念点があります。

車中泊で注意すべきポイントは?(画像:トヨタ)

 最大の懸念点は、健康上のリスクです。

 一般的な乗用車の多くは、大人が余裕を持って横になることのできるスペースを確保することができません。

 そのため、車内で睡眠する際には不自然な姿勢とならざるを得ず、十分に体力を回復できない可能性が高く、そうした状況が長く続けば心身に支障をきたしてしまうことになりかねません。

 近年では多彩なシートアレンジが行なえるクルマや、荷室がフルフラットになるクルマも登場していますが、それでも自宅のベッドのような寝心地を得られることはまずありません。

 また、十分な食事や水分をとらない状態で足を曲げたままの姿勢が続くと、血行不良によって血栓ができやすくなり、痛みや腫れを引き起こすことがあります。

 さらに、その血栓が肺へと流れると、肺に詰まって呼吸困難を起こす可能性もあります。

 これは、いわゆる「エコノミークラス症候群」と呼ばれるものです。

「エコノミークラス症候群」の対策として、車中泊の専門家は次のように話しています。

「エコノミー症候群は、食事や水分を取らず長時間同じ姿勢で座っていることで発症します。

 そのため、車内の空間をできる限り広くしたり、こまめなストレッチ、適度な水分補給や食事を取る必要があります。

 また、熱中症や低体温症は、車内の適度な温度を保ったり、服装で調整したりするなど、さまざまな対策を実施することによって、対処することができます」

エコノミークラス症候群の予防法(画像:厚生労働省)

 そのほか、災害時の車中泊では、電源やトイレを確保したり、冬季には防寒対策を行なったりしなければならない点にも注意が必要です。

※ ※ ※

 2023年は、関東大震災からちょうど100年にあたります。当時はクルマはごく一部の人だけのものでしたが、いまでは多くの人にとって欠かせないものとなっています。

 だからこそ、いざという時に備えて「クルマ×防災」に関する適切な知識と準備を行っておいたほうが良いでしょう。

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