ETCが普及したことにより、係員へ料金を支払う機会が減りました。しかし、有人料金所はまだ存在しています。では、実際に有人料金所ではどのような作業が行われているのでしょうか。
■最近素通りな人が多い料金所の内部とは
普段、高速道路などを利用すると通行する料金所ですが、ETCの普及により素通りすることが多くなっています。
そんな料金所ですが、内部はどうなっているのでしょうか。
ETCが普及したことにより、係員へ料金を支払う機会が減りましたが、有人対応の料金所はまだ存在しています。
しかし数は減ったとはいえ、料金所では1名以上の係員を24時間体制で配備しています。
料金所内には椅子などがなく、係員は立ったままで作業にあたっています。
では、あの細長い料金所のブース内はどうなっているのでしょうか。NEXCO東日本の担当者は次のように話します。
「料金所ブースの中には、料金収受を行う機器が整備されております。
また、トイレ等はブース内にはなく、隣接している建物(料金所)にトイレや休憩室・浴室等を整備しております」
そもそも、料金所の通行レーンには、クルマの車軸にかかる重さ(軸重)を測る機器やカメラが備えつけられており、重量オーバー車、不正通行車などを監視するようになっています。
そして料金所で係員が対応するブースの中には、カメラ映像を映すモニターや軸重計のプリンター。
そのほか、料金を収受する機器、ETC状態の表示機器、さらには料金所前面にある表示版の操作盤などがコンパクトに収められています。
料金を収受する機器は操作しやすく、ワンタッチで車種別の料金が表示できます。
また、首都高の料金所には、ブースの隣に小さなバックヤードもついていることもあります。
例えば首都高豊洲の料金所は、水道が通っており、トイレや仮眠のためのベッドも完備しています。
ガス設備はありませんが、電子レンジで飲食物を温められ、しっかり休憩ができるようです。首都高の料金所は、ほぼ全てが同じような造りといいます。
では、係員はどうやって料金所の中に入るのでしょうか。前出の担当者は 「料金所の構造に応じて安全にブースへの行き来ができるよう、職員用の通路を整備しております」と話します。
通行レーンを横断するわけではなく、専用の歩道橋があり、通行レーンの上空を渡って料金所に行くというわけです。
一方で、1人で料金ブースに立っている時にトイレに行きたくなったらどうするのか気になるところです。
基本的には勤務前に用を足すのでそのようなことはないようですが、万一の際はほかの係員に一時的に交代してもらうといいます。
料金所の業務は、料金の収受や釣銭補充だけではありません。
ETCなどの機器を監視したり、ETCレーンで起きたトラブルにも対応したりします。
例えば、ETCを搭載しないクルマがレーンに入っていないかをモニターで監視し、異常があれば現場に行って対応します。
また、交通情報の問い合わせ対応も仕事のひとつです。
機器設備は高速道路会社や料金所により異なりますが、大まかな業務内容は変わりません。
それでは、こういった業務をどのようにこなしているのでしょうか。
多くの料金所では、1日おきに勤務する隔日勤務形態をとっています。1回の勤務で24時間近く働き、次の日を休日にするかたちです。
具体的には、8時45分に出社して翌朝の9時15分に退社する、24時間30分の勤務時間が基本のようです。
首都高では8時から翌朝9時までの25時間勤務ですが、24時間以上の長きに渡って業務につくという点では同じです。
また、24時間以上も料金ブースに立ち続けるというわけではなく、数名の係員が交代で、1回2時間程度で料金収受業務を行うようです。
■実際に係員はどのような働き方をしているの?
ここで、西日本高速道路のとある例を参考にして、勤務の様子をみてみましょう。
8時45分に出社し、朝礼と引き継ぎを行い、9時に料金ブースで料金収受業務を開始します。
11時から13時はETCレーンをモニターで監視し、その後、昼休憩をとります。
チーフ職などであれば、午後の時間帯に進行している種工事の進捗をみたり、点検業者とやり取りしたり、レーンを切り替えるために事務作業を進めたりと管理業務などにあたることもあります。
17時には午後の休憩があり、ここで夕食をとります。18時から再びETCレーンの監視業務にあたり、20時に夜休憩に入ります。
その後、21時に夜間の緊急事態に備えて待機し、問い合わせにも対応します。深夜24時からは4時間以上の連続休憩で、シャワーを浴びたり仮眠をとったりします。
翌朝4時に起床し早朝から料金収受業務を行い、6時から30分の休憩時間を挟んで、ETC監視業務にあたります。
9時になったら、出社してきた係員に業務を引き継ぎ、9時15分で業務終了で。
以上のことから、ひとりの係員が1日の中で料金所運営に関わるさまざまな業務にあたっていることがわかります。ETCは普及しましたが、料金所はまだまだ人が支えていると言えそうです。
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かつては年配男性が立っている印象のあった料金所ですが、現在では係員は一般募集され、自宅から通える範囲が勤務地であることがほとんどです。
何気なく通る料金所では、付近のことをよく知る係員が対応してくれているかもしれません。