トヨタ「センチュリー」にSUVタイプの新モデルが設定され、世界初公開されました。同車初のSUVとはどのようなモデルなのでしょうか。
■トヨタVIPカー初のSUVモデル登場
トヨタは2023年9月6日、最高級セダン「センチュリー」の新仕様として、SUVタイプのモデルを世界初公開しました。
新たなセンチュリーとはどのようなものなのでしょうか。
センチュリーは、皇室や政府関係者、大企業の社長、役員といったVIP達が安全で快適に移動することを目的とした「ショーファードリブンカー」です。
初代モデルは1967年に発売。トヨタグループの創始者である豊田佐吉氏生誕100年を記念して発売され、「100年=1世紀(センチュリー)」が車名の由来だといいます。
初代からの30年後の1997年に2代目、さらにそこから21年後の2018年に現行モデルの3代目へとフルモデルチェンジしました。
現行センチュリーは、「匠の技」と「高品質のモノづくり」を継承し、伝統と品格を守りながらエレガントな外観デザインとしつつ、手彫りの金型から作り出す鳳凰のエンブレムと七宝文様のフロントグリルで構成されるフロントマスクや7層にもおよぶ塗装。
柾目(まさめ)の本杢パネルなど、「匠」と呼ばれる熟練の専任作業者たちが手作業で組み立て、最終検査までを担当するなど、丁寧な工程を経て製造されます。
また、歴代初のハイブリッドシステムを搭載。5リッターV型8気筒エンジンと電気モーターによるハイブリッドシステムによるシステム最高出力431馬力を発揮。VIPカーらしい出力を誇るとともに、現代のクルマに求められる高い環境性能も実現しました。
そして、今回、センチュリーのSUVモデルが新たに追加されます。
なお、従来のセダンと新たなSUVは「センチュリー」という車名になるとトヨタは説明するのですが、その意図について次のように話しています。
「これからもセンチュリーがお客様に『もてなし』をお届けするにはどうすればいいかを考えてきました。
そこで車内での休憩やオンライン会議など『移動の時間』をより有効に使えるように考え、多様化するニーズに応えていく。
そのためにはどのようなパッケージが良いかを考えた結果としてこのカタチとなりました」
新型センチュリー(以下、新型センチュリーSUV)は、56年にわたる長いセンチュリーの歴史のなかで、初のSUVタイプのモデルとして日本市場に投入されます。
新型センチュリーSUVは、センチュリーとしてこれからの時代も期待に応えし続ける、新しいショーファーカーを目指し、「The Chauffeur」をコンセプトに開発。
センチュリーならではの「継承と進化」を考え抜き、品格と快適性、機能性を兼ね備えたセンチュリーが誕生しました。
日本の美意識を織り込み、堂々とした品格と優美なシルエットをあわせ持ったデザインとしながら、「人中心」の思想に基づき、後席の乗員はもちろんのこと、ドライバーにとっても、より安心で快適な移動を実現できるよう工夫を凝らした室内空間を実現しています。
なお、乗車定員は4人乗りとしました。
■3.5リッターPHEVを搭載!
センチュリーならではの静粛性を受け継ぎながら、これからのショーファーカーにふさわしい環境性能と力強く爽快な走りを両立した、新開発のプラグインハイブリッドシステムを搭載。
3.5リッターV型6気筒エンジンと組み合わせ、日常はBEV、長距離の移動時はハイブリッドとして活躍するショーファーカーのニーズに最適なパワートレーンを採用します。
新型センチュリーSUVの世界初公開に際して、トヨタ自動車 取締役・執行役員 デザイン領域統括部長のサイモン・ハンフリーズ氏は次のようにコメントしました。
「センチュリーは、日本人の感性の高さを象徴する唯一無二のクルマです。トヨタの誇りとして生まれ、日本の誇りになったといっても過言ではないでしょう。
そして、その日本は変わりつつあります。
(現会長の)豊田章男氏は、センチュリーが変わらなければならないことを知っており、一方で、センチュリーの象徴を犠牲にすることなく、時代とともに進化できると信じていました。
新たなセンチュリーをはじめて見た章男氏は、ただただ『Wow!』と驚いてくれたことを覚えています。
まったく新しい方向性でありながら、センチュリーであることにかわりはなく、セダンとともにトヨタの頂点に立つのにふさわしい新型車となり、世界のどこにもない日本独自のフラッグシップが誕生しました」
※ ※ ※
新型センチュリーSUVは2023年9月6日から注文予約が開始され、2023年中の発売を予定しています。価格(消費税込)は2500万円です。
販売は、センチュリーを熟知した「センチュリーマイスター」が在籍する一部のトヨタ車両販売店を通じておこなわれます。
また、ユーザーの好みに合ったカスタマイズを可能とし、世界で一台のセンチュリーを作り上げるプランも今後用意され、ボディカラーはもちろん、素材やシートのほか、後席のスライドドア仕様も選択可能になる予定です。
なお、セダンタイプのセンチュリーも引き続き販売されます。