トヨタのコンパクトミニバン「シエンタ」が、フルモデルチェンジから1年たっても安定した売れ行きを見せています。どのような特徴があるのでしょうか。
■販売台数はヤリス、カローラに続き3位
ミニバンの新型が各社から相次いで登場する中で、トヨタ「シエンタ」が安定した人気をキープしています。どのような特徴があるのでしょうか。
日本自動車販売協会連合会がまとめた2023年1~8月の月別新車販売台数ランキング(軽を除く)を見ると、シエンタは3月のみ4位だったほかは、3位をずっとキープ。1~6月の半年間の合計も6万7344台で、トヨタ「ヤリス」「カローラ」に続く3位につけています。
ヤリスやカローラの台数はシリーズの合算であることも考えると、シエンタは少なくともミニバンのカテゴリではベスセラーモデルといえるでしょう。
シエンタは2003年に初代がデビュー。2015年に2代目、2022年8月に現行の3代目が登場しました。
コンパクトな5ナンバーのボディながら両側にスライドドアを備え、座席も2列・5人乗りから3列・7人乗りまで設定。ガソリンとハイブリッドのラインナップも用意しています。
3代目シエンタは、先代までの使い勝手の良さはキープしつつも、TNGAプラットフォームを採用し、最新のハイブリッドシステムや安全運転支援システムのトヨタセーフティセンスを装備するなど、安全性や走行性能、低燃費性能が向上しています。
ボディサイズは、全長4260mm×全幅1695mm×全高1695mm、ホイールベースは2750mmです。
全長、全幅、ホイールベースの寸法は2代目と変わらず、違いは全高が20mm高くなっています。
さらに3代目は「四角い」フォルムを採用したことで、特に乗員の上半身部分の空間にゆとりが生まれ、広さを実感できます。
荷室の床面がフラットになる5人乗り仕様は、アウトドアの趣味を持つユーザーを中心に支持を集めています。
これは、コンパクトクラスとは思えない最大2065mmの荷室長が確保されるためで、工夫次第では車中泊も可能だからです。
パワートレインは、1.5リッターガソリン車と1.5リッター+モーターのハイブリッド車が用意され、ハイブリッド車のみ「E-Four(電気式4WD)」が設定されています。
価格は、エントリーグレードのガソリン車「X」(2WD/5人乗り)の195万円から、ハイブリッド車「Z」(E-Four/7人乗り)の310万8000円です。
シエンタは、軽やコンパクトカーだと狭いけど、大きめのミニバンだと運転しづらい――といった人たちの選択肢となっています。この「使い勝手の良い」ちょうどの大きさこそがシエンタの最大の特長といえるかもしれません。