クルマのメンテナンスとして欠かせないのが、「エンジンオイル」の交換です。5000km走行ごと、または半年ごとに交換することが多いでしょうが、悩ましいのが「オイルフィルター」の交換の頻度です。オイルフィルターはどれくらいのサイクルで交換すべきなのでしょうか。
■「オイルフィルター」も交換が必要な消耗品
クルマの心臓部ともいえる「エンジン」は、その内部を「エンジンオイル」が循環しています。
このエンジンオイルには、エンジンの「潤滑」「密閉」「冷却」「防錆」「防汚」などのさまざまな役目があり、規定量より不足していたり、汚れが溜まると性能が低下してしまうことから、定期的な交換が必要です。
とくに、今年のような記録的な猛暑のなかでもエンジンは燃焼作業を繰り返しており、熱を効率的に排出する役割を担うエンジンオイルにとっては負荷が高かったことでしょう。
そこで、過酷な夏を乗り越えたクルマの疲れを取るべく、「エンジンオイル交換」といきたいところですが、悩ましいのが「オイルフィルターの交換」です。
前述のように、エンジンオイルは使ううちに汚れがたまっていきます。この汚れは溶けてなくなるのではなく、エンジン内部を循環しているエンジンオイルのなかを浮遊しているのです。
エンジンオイル内に汚れが増え過ぎると潤滑や密閉がうまくいかなくなり、冷却効果も低下。そこで、オイル内の汚れや不純物をろ過する必要があり、その役割を担うのがオイルフィルターです。そして、オイルフィルターにも最終的には汚れが溜まって交換が必要となるのです。
クルマの状態を良好に保つために、エンジンオイルと同様にオイルフィルターも交換すべき消耗パーツといえます。
巷では、「オイル交換2回に1回はフィルターも交換する」というのが通説になっているようですが、果たして本当にその交換サイクルで問題ないのでしょうか。
現役整備士のTさんに聞いてみました。
「オイルフィルターも定期的に交換すべきパーツではありますが、フィルターが目詰まりするほど不純物が発生しないこともあります。
ただ、それでもエンジンオイル自体は劣化してしまうので、あくまで目安としてエンジンオイル交換を2回するうちの1回はフィルターも交換したほうが良いです」
エンジンオイル交換が半年サイクルだとすれば、オイルフィルターは1年に1回は交換しておきたいところです。
そして改めて考えたいのが、昨今の夏の猛暑。ただでさえ高熱になるエンジン内はさらに温度が上がり、その分、エンジンオイルにかなり負担がかかっていたのではないでしょうか。
「今年の夏は例年以上に『シビアコンディション』だったと思われます。当然オイルの劣化が進んだ影響で潤滑や密閉効果が薄れ、不純物が多く混入している可能性も否定できません。
もし予算的に可能であればオイルフィルターも一緒に交換しておけば、秋から冬にかけてもクルマのコンディションを維持しやすいでしょう」(T整備士)
シビアコンディションとは、その名の通りクルマにとって過酷な使用条件を指す言葉です。どんなものが該当するかというと「アップダウンの激しい山道」や「凸凹道や雪、未舗装路などの悪路走行」「年間2万km以上の過走行」など。
それに加えて、「時速30km以下の低走行が多く、ストップ&ゴーの繰り返し」もシビアコンディションのひとつとなり、油温が上がりやすい夏場における、渋滞や信号待ちなどで止まったり進んだりを繰り返す都市部の走行も立派なシビアコンディションだといえるのです。
多くのクルマがシビアコンディションに該当するといえ、できることなら、次にエンジンオイルを交換する際は、オイルフィルターも一緒に交換したほうが良さそうです。
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ちなみにオイルフィルターの値段は、国産車なら1000円から1500円程度、輸入車なら2000円から3000円程度といったところ。とくに輸入車の場合は、クルマにきちんと適合したオイルフィルターを選びましょう。