Infoseek 楽天

大型トラックに付いていた「謎の緑3連ランプ」何のため? いまやほぼ見ないけど、無くても良いの? 国交省に聞いてみた!

くるまのニュース 2023年9月21日 9時10分

かつてのトラックにはルーフ部に緑の3連ランプが装着されていました。速度に応じて点灯する個数が異なっていましたが、どのような意味があったのでしょうか。また最近では見かけなくなった背景にはどのような事情があるのでしょうか。

■緑のランプがすべて点灯される瞬間とは?

 大型トラックのルーフ付近に緑色のランプが3つ並んで配置されている車両があります。
 
 最近ではあまり見かけなくなりましたがどのような意味があるのでしょうか。 

 日本の物流のほとんどは陸送で支えられており、そのなかでもトラックによるものがほとんどといえます。

 そんな、トラックのルーフ部分には、対向車に見えるように緑色のランプが横に3つ並んでいることもあります。

 新しいタイプの大型トラックには装着されていないようですが、どのような意味があるのでしょうか。

 緑色のランプは、「速度表示装置(速度表示灯)」と呼ばれるもので、道路運送車両の保安基準の改正に伴い、1967年からすべての大型トラックに設置が義務付けられていました。

 前方から走行してくる大型トラックのランプの点灯具合でスピードの状況が把握でき、周囲が安全に走行するための注意喚起とするためです。

 そもそも大型トラックはボディの形状や大きな車体のため、周りから見て速度がわかりにくい傾向にありました。

 それ以外にも大型トラックの接触事故が多く、また被害も甚大なため、歩行者や他のクルマからでも速度をわかりやすくするためです。

 点灯するタイミングとしては、右側のランプのみが点灯している場合は40km/h未満、右側と左側のランプが点灯している場合は40km/h以上60km/h未満、3つすべてのランプが点灯している場合は60km以上という仕組みでした。

 もちろん、手動での点灯や消灯は禁止されており、自動で点灯することが原則になっています。

 また、速度表示装置は前方100mの距離で、点灯数や点灯状況を確認できなければなりません。

 ほかにも、速度表示装置の灯火色は緑色であることや車内で点灯や消灯などの作動状態を確認できる装置も必要になってきます。 

 ちなみに緑色なのは、ポジションランプやウインカーなど、ほかのランプと誤認識しないためのようです。 

 しかし、現在の大型トラックには装着されていることがないようですが、なにか理由があるのでしょうか。

■その後はどうなった? 緑ランプについて聞いてみた!

 速度表示装置は、1999年の道路運送車両の保安基準の一部改正にともない、2001年に装着義務が廃止となりました。

 もちろん、義務の廃止ということなので、任意での装着は可能ということもあり、昔の大型トラックでは今でも装着車両を見かけることがあります。

 保安基準が改正された理由としては、導入された1967年当時と比べて道路のインフラ整備が進んだことで、点灯の効果があまり見受けられないと判断されたからです。

 1967年当時の公道は舗装の質が今ほどよくなくて、外灯整備が少ないこともあり、とくに夜間では視認性に問題がありました。

 その後、20年の歳月はクルマの進化はもちろんのこと、道路などの環境整備が飛躍的に向上したこともあって速度表示装置の必要性を感じなくなったからです。

 その他の要因としては、導入や取り付けのコストがかかるということで、運送事業者から反対の声が多かったこともあげられます。

 とくに輸入トラックは、日本にしかない速度表示装置のためのコストがかかることになり、大きな弊害となりました。

 このような意見や問題が取り上げられたことを背景にメーカーからも徐々に取り外しが進み、2004年ごろにはすべての新車トラックにおいて速度表示装置の装着がなくなりました。

 そんな速度表示装置ですが、廃止されて約20年ほど経過している現在は、どのような形へと変化しているのでしょうか。

 某商用車メーカーの販売店担当者は次のように話します。

「当時は全車両に製造の段階で取り付けられていましたが、廃止に伴って標準的な装備は終了しました。

 廃止されて以降何か新しいランプが取り付けられるということもありませんでした」

いまや緑の3連ランプを装着しているトラックをほぼ見かける機会がない

 さらに、国土交通省車両基準・国際課の担当者は廃止された背景について、次のように話します。

「廃止されたのは1999年の話ですが、輸入車に対応できないというのが理由のひとつでした。

 その後は、各トラックに速度制限装置(リミッター)がつくことになりました。

 過去はリミッターがついていなかったため、速度の表示をする必要がありましたが、現在ではリミッターにより時速90km以上は出せないようになりました。

 今残っているのはかなり珍しいものになります。

 スピードリミッターが標準的に装備されるようになったのが2003年頃なので、それ以前に制作された車両になります」

※ ※ ※

 速路表示装置は廃止されてから20年以上が経過するので、現在では見かける機会はほとんどないでしょう。

 もし見かける機会があれば非常にレアケースなので、緑色のランプが点灯しているか確認してみるのもいいかもしれません。

この記事の関連ニュース