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トヨタ新型「スポーツセダン」実車展示! 漆黒ボディがカッコイイ「ミライスポーツ」が走った! “初回展示”からの進化点とは

くるまのニュース 2023年9月22日 7時10分

開発中のFCEV(燃料電池車)であるトヨタ「MIRAI SPORT CONCEPT(ミライ スポーツ コンセプト)」が2023年9月8日から3日間開催された世界耐久選手権 富士6時間耐久レースで走行しました。どのようなクルマなのでしょうか。

■新型「ミライ スポーツ コンセプト」が走った!

 2023年5月に開催されたスーパー耐久シリーズ第2戦・富士24時間耐久レースでトヨタは、「クラウン セダン(FCEV)」とともに「MIRAI SPORT CONCEPT(ミライ スポーツ コンセプト)」を初公開しました。
 
 今後はクラウン セダンがフォーマル需要を賄う事から、同じFCEV(燃料電池自動車)の「MIRAI」はよりパーソナルな方向にシフトさせる必要があり、このMIRAI SPORT CONCEPTはその提案の一つと言うわけです。

初披露時から改良された「MIRAI SPORT CONCEPT」

 開発メンバーは「2代目は『クルマとしていいね』を目指して開発したものの、残念ながら“給電のクルマ”と言うイメージが強いです。そこでエコなのは当たり前、“その先”を目指したのが、このMIRAI SPORTになります」と語っています。

 とはいえ、現時点では正式な開発のGOサインは出ていませんが、「ユーザーにモノを見せて、反応を知りたい」という考えで展示を行なったと言います。

 ちなみに車両の横には、MIRAI SPORT CONCEPTの「CONCEPT文字をユーザーがシールで隠すと市販化出来る!?」という市販化応援パネルが置かれていましたが、連日「CONCEPT」の文字はすぐに消えたと言います。

 このMIRAI SPORT CONCEPTは富士24時間耐久レースが終わった直後にフランスに空輸され、ル・マン24時間耐久レースのHYDROGEN VILLAGE(水素村)に展示。

 フランスでは日本以上にMIRAIが走っているため、多くのクルマファンが車両を興味深くチェックしていたことに加えて、開発者にも様々な質問をしていたのを筆者(山本シンヤ)も現場で確認しています。

 そんなMIRAI SPORT CONCEPTが、2023年9月8日から10日にかけて行われたWEC富士6時間耐久レースで再び展示されました。

 筆者はてっきりル・マンから凱旋帰国した車両の再展示だと思っていたのですが、開発者に話を聞くと「ル・マンに持っていったクルマではなく、様々なアップデートが行なわれた2号車です」とのことでした。早速チェックしてみると、当初見たものとは結構違います。

 エクステリアでは、専用デザインの前後バンパーは更なる作り込みが行なわれ、面の精度が上がりより表情が豊かになっています。

 ちなみにノーマルモデルより好評なフロントグリル周りの意匠はそのままに、冷却性を高めるために開口面積を拡大。冷却は空気を入れる側だけでなく抜く側も重要なので、合わせてカーボン製ボンネットにはダクトが追加されました。

 リアがカーボントランク&リアスポイラー、ダーククロムエンブレムに加えてSARD製のウイングが追加されています。本体は「GR86」用(ウイングの中でも落ち着いたデザインを探したらコレだった)ですが、ステーはMIRAI用のワンオフで製作したそうです。

 マッド・スティール(「GRカローラ・モリゾウエディション」で採用)のボディカラーは変更ありませんが、ボディサイドに貼られたステッカーが艶ありの黒から艶消し黒へと変更。より現実的なディテールになっています。

 インテリアはドアの開閉がNGだったので窓越しに見ただけですが、前作と同じスポーツシートに変更されている以外は大きな違いはありません。個人的にはエクステリアとの繋がりを感じる専用のステアリング/メーター表示などがあると、よりクルマとしてのバランスは上がるような気がしました。

■強化されたパワートレインの仕上がりは?

 実はこのモデルはメカニズムにも手が加えられています。

 パワートレインは燃料電池システムの発電能力の引き上げによって、最高出力を128kW(174ps)から132kW(180ps)に向上。開発者は「ノーマルとは高速域での加速力や伸びが違いますね」と自信を見せます。

 フットワークもアップデートが施されています。タイヤサイズ245/40ZR21のミシュラン「パイロットスポーツS 5」やマットブラックの鍛造アルミホイール、レッドのブレーキキャリパーはそのままですが、サスペンションは専用品へと交換され、車高は以前よりわずかに下げられています。現時点は社外品をベースにトヨタ流の味付けにセットされているそうですが、「走りのレベルはかなり高い(開発者)」との事です。

市販モデル登場なるか…?

 走りの進化は実際に乗って試したい所ですが、まだおあずけです。ただ、今回MIRAI SPORT CONCEPTはデモ走行を行なっています。

 そのドライバーはなんと、ル・マン24時間レースの主催であるフランス西部自動車クラブ(ACO)ピエール・フィヨン会長でした。

 実はフィヨン会長はリアルなMIRAIユーザーなのですが、走行後の表情は満面の笑みを見せており、このクルマの仕上がりの良さが解るでしょう。

 ちなみにフィヨン会長のインプレッションは「加速力が私のMIRAIとかなり違う」との事でした。

 そんなMIRAI SPORT CONCEPTの話をトヨタ副社長兼CTO(チーフ・テクニカル・オフィサー)の中嶋裕樹氏にすると、「アイツら、本当に勝手に色々な事してますね。でも、自分もエンジニアだった頃に同じような事をしていたので何も言えませんが、自分の時はもう少しコソコソやってましたよ」と語ってくれましたが、その表情はどこか嬉しそうでした。つまり、そんな挑戦が“堂々”できるのが今のトヨタです。

 半年の間でより完成度が高められたMIRAI SPORT CONCEPT。筆者はそのネーミングから「CONCEPT」が外れるタイミングはそう遠くないと信じています。

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