Infoseek 楽天

なぜトラック運転手は「長いシフトノブ」使う? 見た目のカッコ良さだけじゃない!? 長距離ドライバーならではの理由とは

くるまのニュース 2023年9月23日 14時10分

最近ではAT車の「トラック」も増えましたが、依然としてMT率が高く、そんなMTのトラックではあえて長いシフトノブを装着しているドライバーをしばしば見かけます。あの長いシフトノブを選ぶ理由は何なのでしょうか。

■長いシフトノブは“トラックカスタム”の定番!?

 はたらくクルマの代表格といえば「トラック」です。最近はAT(オートマチックトランスミッション:オートマ)のトラックも増えていますが、それでもMT(マニュアルトランスミッション:マニュアル)車の比率がまだまだ高いようです。
 
 そして、そんなMT車のトラックでは、長いシフトノブを装着しているドライバーを見かけることがあります。

 昔から手軽なカスタマイズとして人気のシフトノブの交換ですが、純正品と交換された長いシフトノブでは、運転のしやすさに違いがあるのでしょうか。

 道路運送車両法が定める保安基準第10条などによると、変速装置自体は、運転時に危険な突起物とならないことや、「シフトパターンが運転席からでも容易に識別できる表示」があれば、多少シフトノブなどが長くても車検には問題ないようです。

 しかも、この「シフトパターン表示」は必ずしもシフトノブ上に表示される必要はなく、あくまで変速機周辺に数字または記号などで表示していればOK。そのため、シフトノブのカスタマイズは、トラックだけでなく普通車でも定番となっています。

 トラックドライバーが長いシフトノブに交換しがちな理由について、現役トラックドライバーのB氏に聞いてみました。

 B氏は、長いシフトノブを使う理由はおもに3つあるといいます。

 まず、ステアリングからシフトノブまでの手の移動距離が短くなることです。

「普通車に乗っている人はあまり考えないかもしれませんが、長距離を走るほど、シフトチェンジのたびにシフトまで手を伸ばすのは意外に疲れるものなのです。

 高速道路ではあまり感じませんが、山岳路などアップダウンの激しい道や、信号の多い一般道をひたすら運転するのは、同じ運転姿勢を続けていることも相まって肉体的な疲労も大きくなります。

 これを少しでも軽減させるためにも、できるだけステアリングのそばにシフトノブがあるほうが、操作しやすいと感じます」

 そして、「テコの原理」でシフトが軽くなるというメリットも存在。

「交換する理由の一番は、シフトが軽くなることです。最新モデルではかなり改善されましたが、少し古いトラックの場合、シフトチェンジのストロークが長く、また操作感も少し重めなシフトが多いのです。

 これが長距離では一度の走行で何百回もシフトチェンジするのですから、できるだけ操作に力は入れたくなく、シフトノブで全体を長くしてテコの原理を応用することで操作しやすくなるのが大きなメリットだと思っています」(現役トラックドライバー B氏)

 テコの原理は、「支点・力点・作用点」の関係を表す原理で、支点(ここでいえばシフトリンケージ)を起点として作用点(力が加わるところ、今回でいえばギア)に伝わる力は、反対側の作用点(シフトノブ)が離れるほど少ない力で同等の力が伝わるというもの。

 10cmから20cm程度の違いでも回数を重ねるごとに負担の軽い操作が実現でき、腕の疲労度が違ってくるといいます。

 つまり、あの長いシフトノブはかなり実用的なカスタマイズだったというわけです。

 そして、長いシフトノブは見た目がカッコ良いというのも理由のひとつとのこと。ちょっとしたパーツの交換でも、カスタマイズすることで自分好みのインテリアに交換できるというのは楽しいものだとB氏はいいます。

「地味で真っ黒なシフトノブより、少し細めで長いシフトノブのほうがスタイリッシュに感じられます。

 乗用車と違って遊びが少ないトラックだからこそ、ディテールにこだわっているドライバーが多いのです」(現役トラックドライバー B氏)

 長めのシフトノブに交換するメリットはいくつかあることがわかりましたが、その一方である種の弊害も存在。軽い操作でも力が伝わりすぎてしまうため、場合によってはトランスミッションを傷める可能性があります。

 また、純正でも長いシフトストローク(シフトチェンジで次のギアまで動かす距離)がさらに長くなること。せっかくステアリング近くまでシフトが来たとしても、手元に動かす量自体は増えてしまいます。

 それでも、トラックのシフトチェンジはレースマシンのようにコンマ何秒を争うわけでもないですし、軽い操作で変速できるメリットのほうが負担軽減につながると考えられているようです。

※ ※ ※

 一見、操作がしづらそうにも思える長いシフトノブですが、実はテコの原理を用いてギアの操作性を上げるなど複数のメリットがあり、長距離を走るトラックドライバーならではともいえるカスタマイズだったわけです。

この記事の関連ニュース