人気カテゴリーのミニバンのなかには、屋根上に「小部屋」を載せたモデルが存在していました。このスペースは停車時に、大きく姿を「変身」させるといいます。
■四角いミニバンの屋根になにかが「載ってる」!?
ミニバンは、四角いボディを生かした広い室内空間を持っていることから、ファミリーユーザーなどから絶大な人気を誇っています。
そんなミニバンのなかにあって、屋根に謎の「小部屋」を備えた変わり種モデルが存在し、一定の支持を集めたといいます。どういった仕様なのでしょうか。
ミニバンに設定された屋根の“謎の小部屋”の正体は、ポップアップ式ルーフテントです。
かつては国産メーカーでも純正でラインナップされるほど一定の支持を集めており、海外メーカーでは今もラインナップするものがあります。
そんなポップアップ式ルーフテントが設定されていたクルマのひとつに、マツダ「ボンゴフレンディ」があります。
1995年に誕生したボンゴフレンディは、個性的な「オートフリートップ」仕様を設定していました。
オートフリートップは、量産車では世界初という電動開閉のポップアップ式ルーフを屋根上に搭載したモデルです。
通常走行時は閉じていますが、停車時に展開するとその姿は大きく変身します。
ルーフ上に、大人2名が就寝可能な三角形のテントスペースが生まれるというメーカー純正の車中泊モデルとして、大いに注目を集めたのです
テント部の素材は二重構造で換気用の小窓も用意されるほか、上部には固定式のガラスルーフも備わり、室内の採光にも配慮しています。
室内は3列シートレイアウトで、2列目と3列目をつなげてフルフラットにすることが出来るので、階上と階下で最大4人の大人が就寝可能な空間が広がります。
車内の窓の内側には電動カーテンが備わり、着替えや車中泊に素早く対応できるなど、ボンゴフレンディはキャンプなどを楽しむアウトドアユーザーに対し、細部まで配慮を施していたことがわかります。
■10年に渡り支持を集めた「テント付きミニバン」のその後とは
ボンゴフレンディのエンジンラインナップは、2.5リッターディーゼルターボや、2.5リッターV型6気筒DOHC、2リッター直列4気筒の3タイプが用意され、後輪駆動(FR)に加え、ディーゼル車のみフルタイム4WD仕様も選択可能です。
なお通常の「ノーマルルーフ」車のボディサイズは5ナンバー枠に収まりますが、オートフリートップ車は全高が5ナンバー枠の範囲を超えた2m超なので、3ナンバー仕様となっていました。
そんな個性的な車中泊ミニバンのボンゴフレンディは、その後もアウトドアユーザーから愛され続け、2006年まで約10年にわたって販売されています。
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ボンゴフレンディ廃止後しばらく経った2008年に登場した後継ミニバン「ビアンテ」には、期待されたオートフリートップ仕様は未設定でした。
そしてビアンテが2018年に生産を終了したタイミングで、マツダはミニバンカテゴリー自体から撤退したままです。
国産モデルでは貴重なポップアップルーフ付きミニバンとなったボンゴフレンディはデビューから25年以上が経過した現在も、中古車市場でコアなファンから根強く支持されています。