今でも高い人気を誇る3世代目のトヨタ「ノア」には、エアロパーツ仕様やスポーツコンバージョンモデルの「G’s」など多くのバリエーションが存在していました。そして残念ながら市販化には至らなかったものの、クロスオーバーSUVテイストをプラスした「ノア アクティブ クロス」も提案されていました。
■トヨタ「ノア」のSUV仕様!?
使い勝手のよい5ナンバーサイズがベースのボディにしっかり座れる3列シートを備えたモデルとして今でも高い人気を誇る3世代目のトヨタ「ノア」は、2014年にデビューし、新型が登場する2021年末まで比較的長いモデルライフを誇った1台です。
そんな3代目ノアには、通常モデルのほか、エアロパーツでカスタマイズしたドレスアップ仕様や、スポーツコンバージョンモデルの「G’s」(のちにGR SPORTに変更)など多くのバリエーションが存在していました。
そして残念ながら市販化には至らなかったものの、クロスオーバーSUVテイストをプラスしたモデルが参考出展されたこともあったのです。それが2015年の東京モーターショーに展示された「ノア アクティブ クロス」です。
ノア アクティブ クロスは、ノアの生産を担当するトヨタ車体のブースに出展されたものです。
都会での洗練されたアーバンライフと、自然の中での開放されたアクティブライフに対応した 乗り込んだ瞬間からトキメキと笑顔が広がる7シータークロスと銘打たれていました。
エクステリアは、クリーンな印象を持たせるホワイトを基調としながらも、前後バンパー下部はサイドシル、ドアパネルなどにプロテクターを備えるほか、フェンダーにもクラッディングパネルを採用しSUVテイストをプラス。
ただ、この加飾部分を、クロスオーバーモデルにありがちなつや消しブラック仕上げにせず、上品なサテンシルバー塗装とすることで、都会的で軽快な印象をプラスしています。
さらにグリルやエンブレム、前後バンパーにフェンダー、ボンネットなどにオレンジの差し色を入れることで、アクティブかつファッショナブルなイメージをアクセントとして取り入れている点も注目です。
ルーフ部分はノーマルのノアには設定されなかったハイルーフ化がなされており、さらにガラスルーフとすることでルーミーな室内空間を実現。
リアゲートにはキャリア機能を持たせて、スキーやスノーボード、サーフボードなどの長尺物の積載を容易にしているだけでなく、福祉車両などにも使用されているリアスロープを装着することで大きなアウトドアギアなどもラクに車載することを可能としたほか、スロープに足を設置することで簡易的なテーブルとしても使うことができるというアイデアが採用されていました。
足元はアクティブに使用することを想定してか、ヨコハマのジオランダーがセットされましたが、サイズは225/55R18と純正よりも大径なサイズがチョイスされており、タイヤの大径化によって最低地上高の確保と走破性を高めていたようです。
室内に目を移すと外装と同じくホワイトを基調とし、オレンジの差し色を施したシートやインパネ、ドアトリムなどが目を惹きますが、注目はダイブダウン式になった助手席&2列目シートです。
座面が沈み込みながら倒れるダイブダウン式を採用したことで、3列目シートを跳ね上げることでほぼ全面フラットな床面を実現することができ、助手席部分までフラットにできるため、かなりの長尺物も余裕で積載できるというものでした。
市販車では2018年に登場したN-VANが同様のレイアウトを持っていますが、それよりも先にノア アクティブ クロスが形にしていたというワケですね。
残念ながら現在までノアにクロスオーバーSUVテイストを盛り込んだモデルは市販されていませんが(その前身のタウンエース/ライトエースノア時代には「アクティブツアラー」というRV風グレードが存在)、クロスオーバーSUV全盛の今、派生モデルとしてこのような仕様が追加されても面白いかもしれません。