クルマには「ドアバイザー」というパーツが付けられていることがあります。バイザーと言えば「サンバイザー」が浮かびますが、これは日除けではないようです。何なのでしょうか。
■ドアについている謎のバイザー 何のためにある?
クルマのドアについている謎のバイザー。
最近では装着していないクルマも増えてきましたが、そもそも何のためにあるのでしょうか。
ドアバイザーとは、クルマのドア部分の窓ガラスの上についている、透明な屋根のようなパーツのことを指しています。
新車購入時にオプションとして取り付けられていることが多いです。
ドアバイザーは、おもに換気目的で装着されているパーツで、雨や雪の日に換気のために窓を開けたときに、水滴が車内に入るのを防ぐ役割をしてくれます。
また、夏の日に駐車場にクルマを停めるときに、バイザー部分だけを開けることによって車内に熱がこもらないように換気することもできます。
バイザーで隠れる分だけの隙間なら、外から窓が空いているかどうか分かりにくいうえに、器具などを使って外からロックを解除することも困難なので、換気時の防犯対策になってくれます。
また最近のドアバイザーは形状の工夫により空力パーツとしても機能しているものがあります。
例えばトヨタ系のクルマに装着可能な「GRパーツ」では「GRスポーツサイドバイザー」を展開。
これは空気の流れを導き、車両後方へスムーズに整流する空力デザインに加え、エアロスタビライジングフィンを設けることで後方に整った縦渦を発生させ、走行安定性・ステアリング応答性などを向上させる効果があるようです。
このように役立つ面も多いドアバイザーですが、一方でいくつか不便な点もあります。
まず、クルマを洗浄するときに邪魔になりがちです。
クルマの上から水をかけても、ドアバイザーが水を弾いてしまい、洗車効率が落ちてしまうことがあります。
また、高速道路走行時などに、ドアバイザーの内側に入りこんだ風が風切音を発生させ、それをうるさく感じてしまう場合もあります。
なお最近の純正ドアバイザーでは形状を進化させることで風切り音を低減させているものもあります。
他にも、デザイン性を重視し、ドアバイザーが外観を崩してしまうと感じる人も多いようです。
冒頭でも述べたように、ドアバイザーはフロアマットなどと同様に、あくまで新車購入時のオプションに組み込まれているパーツなので「必ず付いていなければいけない」というものではありません。
自分にとってのメリット、デメリットを十分に鑑みて、ドアバイザーを装着するかどうか判断することが大切です。
■ドアバイザーは後付けできる? どうやって取り付ければいいの?
最近ではドアバイザーを取り付けないという人が増えてきています。
理由としては、喫煙者の減少や、車内の空調機能が改善されていったことにより、窓を開ける必要がなくなってきたことや、外観を重視する傾向が増えてきたことなどが考えられます。
しかしその一方で、コロナウィルスの流行により、再び窓を開ける必要が発生するようになりました。
スムーズに換気をおこなうには、窓を開けることがベストです。
そうなると、やはりドアバイザーがあると便利です。ドアバイザーを後から取り付けたいときにはどうすればいいのでしょうか。
ドアバイザーの調達方法としては、ディーラーで純正品を購入するか、カー用品店やネット通販などで購入するなどがあります。
自分で取り付けることもできますが、不安な場合はお店に依頼しましょう。
純正品か、社外品かにも注意が必要です。
社外品の場合、純正品よりもコストを抑えることができます。
しかし、クルマと社外品のバイザーの相性が合わず、うまく取り付けられない場合もあります。
強度にこだわるのならば、純正品のほうが安心だと言えるでしょう。
また、現在ではカー用品店で販売されている社外品のバイザーも減少しているようです。
首都圏内のカー用品店担当者は次のように話します。
「以前は社外品のバイザーを取り扱っていました。
タバコを吸う人が雨の日に少しだけ窓を開けて走行ができるための装備として用意がありました。
しかし、近年では車内でタバコを吸う人が減ったこともあり、社外品の取り扱いは終了し、現在では純正品のみを取り扱っています。
純正品のバイザーの場合、車検証を準備していただいて、その車種の取り付け可能なバイザーがあった場合はお取り寄せをして販売をします」
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ドアバイザーは再注目されつつありますが、それでも全体では装着率が下がっている状況のようです。