「小さな高級SUV」が近年注目されていますが、マツダが2015年より販売する「CX-3」はその先駆けといえます。ここで改めてその歴史を振り返ります。
■マツダが提案する「小さな高級車」の狙いとは
高級車ブランドのレクサスは2023年9月、「小さな高級車」を目指す新型コンパクトSUV「LBX」を日本で初披露しました。
しかしこうした「クラスレスなコンパクトSUV」というコンセプトは、マツダが2015年より発売する「CX-3」ですでに具現化されています。そんなCX-3が、ほぼ同じタイミングで商品改良を行いました。
高級車という概念は、主にフォーマルな用途に用いられる大柄なセダン車などで培われてきましたが、近年は環境意識の高まりなどもあり、燃費性能に優れたコンパクトカークラスにおいても需要が高まっています。
国内外のプレミアムブランドもこうした動向に反応し、様々なニューモデルを導入しています。
そんななかでマツダは、2015年に同社最小サイズのコンパクトSUVであるCX-3を発売しています。
ボディサイズは、全長4275mm×全幅1765mm×全高1550mmで、ミディアムクラスSUVの「CX-5」(全長4575mm×全幅1845mm×全高1690mm)に比べ、かなり小柄な車体となっています。
なかでも1550mmの全高は、機械式の立体駐車場にも収まるサイズとして、都市部のユーザーから重宝されています。
マツダでは発表当時、CX-3について次のように説明します。
「上質かつスタイリッシュなデザイン、あらゆる場面での使いやすさを追求したサイズとパッケージング、素直に運転が楽しいと感じられる走行性能を高次元で融合しています」
上位クラスにひけをとらない「意のままの走り」や内外装の「上質さ」をもとに「次の時代のスタンダードを創造するモデルだ」と当時の開発者は話しています。
乗員が常に直接触れる内装については、ディテールの造り込みにも徹底的にこだわり、グレードごとに異なる内装色など、上質なインテリアとしています。
さらに着座姿勢についても、コンパクトなサイズ内で理想的なドライビングポジションがとれるようにレイアウトしたほか、高いフィット性を発揮する振動吸収ウレタンを使用したシートや、高めのシート位置による見晴らしの良さなど、細部まで配慮が施されています。
このようにCX-3は、「小さな高級車」というメッセージこそ掲げないものの、目指すところはまさにプレミアムブランド同様の方向性を示していたのです。
その後も、1.5リッターディーゼルターボエンジンを1.8リッターに拡大し実用領域での性能を向上させたほか、ガソリンエンジンのラインナップも追加するなど、改良を重ねています。
■2023年9月のマイチェンではオシャなコーデの特別仕様車もデビュー
そして2023年9月21日、マツダはCX-3の商品改良(マイナーチェンジ)を実施しました。
ディーゼルエンジン車の出力向上やアクセルの応答性を高める制御の改良などをおこなうほか、「スタイリッシュで都市的・先進的デザイン」をコンセプトにした特別仕様車「Vivid Monotone(ビビッド モノトーン)」を新設定しました。
ビビッド モノトーンは、ブラック加飾で色彩を抑えたシックな雰囲気のなかに、内外装へビビッドな差し色を加えたオシャレなコーディネイトを特徴とします。
一方で従来のモデルに対しグレード展開を整理し、それまでのオプションパッケージを標準装備化するなど、選びやすいラインナップとしています。
新型CX-3は9月より予約受付を開始し、正式発売は2024年2月を予定します。
消費税込みの販売価格は、227万9200円から343万4200円です。
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レクサスが初披露したLBXは5月に世界初公開され、今秋頃に国内発売を予定するニューモデルです。
コンセプトに「プレミアム カジュアル」を掲げ「小さな高級車」を目指したクラスレスなコンパクトSUVだといいます。
この先ふたたび小さな高級車という概念に注目が集まるなか、CX-3の新たなライバル車種となり得る存在です。
同セグメントの先輩格であるCX-3が今後どう対抗していくのか、マツダの動向にも目が離せません。