トラックやタンクローリーの中には「毒」「危」「高圧ガス」などの文字が書かれているクルマがありますが、何を運んでいるのでしょうか。またどのような装備が備わっているのでしょうか。解説します。
■「毒」の表示のあるクルマとは、適切な車間距離を取って走ろう
トラックやタンクローリーの中には「毒」「危」「高圧ガス」などの文字が書かれているクルマがありますが、何を運んでいるのでしょうか。
また、これらのクルマを見かけたら、どういったことに気をつければいいのでしょうか。
ナンバープレートの横などに「毒」「危」「高圧ガス」などのプレートが付いたトラックやタンクローリーを見かけることがあります。
これらのクルマはリスクの高い物質や液体を運搬していることを示しており、内容物に応じて決められたプレートを掲げています。
また、一定の危険性のある物質を運ぶため、運搬にあたっては様々なルールが設けられており、内容物や積載量などに応じて、トラックやタンクローリーは安全性を確保した機能を有している必要があるほか、専門資格を有した人物が同乗することが求められます。
このうち、「毒」の表示は毒物及び劇物取締法上の毒物や劇物を運搬するクルマにつけられるもので、一辺が30cmとなるサイズで黒地に白文字で「毒」と表示し、車両の前後、見やすい位置に掲示されています。
対象となるクルマは、最大積載量が5000kg以上のトラックやタンクローリーと、最大積載量が5000kg以上となるクルマに1000L以上の容器を積載した時です。
対象となる毒物、劇物はアンモニアや塩素などで、5000kg以上の量を運搬する時は警戒標を掲げなければならないと定められています。
危険物を積載していることから、車内には防毒マスクやゴム手袋など、緊急時の措置のための防護具を2人分以上と、積載している毒物または劇物の名称と成分、分量のほか事故の際に講じなければならない応急の措置の内容を記載した「イエローカード」という書面を載せておく必要があります。
さらに、一人のドライバーが4時間を超えて連続運転する場合や、1日あたりの運転時間が9時間を超える場合は、交代のドライバーを同乗させることが必要です。
ほかにも、「危」はガソリンや灯油、アルコールなどの可燃性の高い燃料類など、消防法上の危険物を運ぶクルマに掲示されています。
タンクローリーで移送する時や、指定された容量以上の危険物をトラックで運搬する時には「危」の警戒標を掲げる必要があるほか、「危険物取扱者」が乗務しなければなりません。
また、「高圧ガス」はその表示の通り高圧ガス類を運ぶクルマで、プロパンガス業者がガスボンベを運ぶトラックなどにもついています。
一定量以上の可燃性ガスや毒性ガスなどを運搬する際に掲示し、「高圧ガス移動監視者」の資格を有する人が乗務する必要があります。
このように、リスクの高い物質は、様々な安全策やルールをもとに安全に運搬されているため、「毒」などのプレートを掲示したクルマを見かけたら、不用意に近づくことなく、適切な車間距離を確保して走行しましょう。