最近ではセルフスタンドが普及したことで給油は身近なものになっています。しかし、ガソリンは危険物です。では、どのようなルールが存在するのでしょうか。
■ペットボトルでガソリンの保管はできるの?
ガソリンは小さな火の元でも引火すると大事故を引き起こす可能性がある液体で、保管や取り扱いには十分な注意が必要です。
そんなガソリンですが、ペットボトルでの取り扱いはできるのでしょうか。
ガソリンは小さな火の元でも引火すると爆発的に燃焼する液体で、沸点は40度から220度と低く、危険性が高いです。
ガソリンは空気よりも重く、穴やくぼみなどに溜まりやすいため、離れたライターの裸火や静電気などの火源でも引火して大事故が起こる可能性があります。
そのためガソリンは、貯蔵や取り扱い、運搬方法などが消防法で規定されています。
ガソリンの保管は、直射日光が当たるような場所を避けることや高温の場所に容器を保管しないこと、喚起がよくて火の元になりうるものがない場所を選ぶなどが定められています。
それでは、ペットボトルでのガソリンの保管や運搬はできるのでしょうか。総務省消防庁危険物保安室の担当者は次のように話します。
「ペットボトルでのガソリンの運搬は法令上禁止されていますが、指定数量以下のガソリンの保管は各市町村の条例で規定されています。
例えば、東京都火災条例では危険物の貯蔵について三十条の三『危険物の容器は、当該危険物の性質に応じた安全な材質のものとし、かつ、容易に破損し、又は栓等が離脱しないものであること』と記載されています。
ペットボトルのような柔らかい素材でのガソリンの保管は、各市町村の定める条例に適さない容器になると思いますので使用は控えましょう」
また、ガソリンの危険性に関して前出の担当者は次のように話します。
「ガソリンは揮発性が高く、危険な液体です。ガソリンの匂いがしたらガソリンが揮発しています。
そのため、ガソリンの近くや匂いがする場所では火気の取り扱いは厳禁です。
特段の事情を除いて、容器でのガソリンの運搬や保管はなるべく行わず、ガソリンスタンドで車両に直接給油をすることが望ましいです」
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ガソリンは指定数量以下の少量の場合、保管に関して各市町村の条例によって規定があります。
「ペットボトルでの保管は禁止」と具体的に明記されている条例は見受けられませんが、ペットボトルは基本的に危険物を取り扱うことを目的として製造されていません。
そのため、ガソリンのような危険物を扱う際にはペットボトルは使用せず、安全性が担保された容器を使うことが重要です。
■指定数量や運搬の規格に適した素材ってなに?
そもそも指定数量とは危険性の高いガソリンや灯油、軽油などの液体に関して、ユーザーが扱うことのできる最大量のことです。
ガソリンの指定数量は200リットルで、灯油や軽油は1000リットルになります。
指定数量より多い危険物は、技術基準を満たし、消防署で許可を受けた施設でしか扱えません。
そして、指定数量未満の危険物を扱う場合は、前述したように各市町村の火災予防条例に従う必要があります。
指定数量の半量以上、つまり100リットル以上を扱ったり保管するときは、消防署へ届け出が必要です。灯油や軽油であれば500リットル以上です。
指定数量の5分の1以上、40リットル以上のガソリンを扱う場合は、決められた基準にのっとり空地を確保したり、建築設備を整えたりする必要があります。灯油や軽油なら200リットル以上です。
届出をしなくても扱えるのは、指定数量の5分の1未満の量で、ガソリンなら39.9リットルまでです。
ちなみに、ガソリンの運搬容器には、金属製容器やプラスチック容器、ジェリカン容器の3種類があります。
金属製容器は、危険物保安技術協会が行った性能試験確認を受けたものが推奨されています。
さらに、2024年3月からは国際海事機関が採択した危険物の輸送に関する規程に適合していると示す表示(UN)または容器記号「3H1」が付されたプラスチック容器が使用できるようになります。
容器の規格は、金属容器の場合は最大容量22リットル、プラスチック容器の場合で最大容量10リットルまでと定められています。
また、危険物輸送に使用する際には、容器の製造日から5年以内でなければならないと明記。
乗用に供する車両による運搬で使用する場合は、留意することとも定められています。
容器記号の「3H1」には、方形もしくは多角形の断面形状のジェリカン容器も使用可能です。
材質はプラスチックが使われており、天板が固着式であると示されている物が使用できます。
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これらのプラスチック容器は硬質なものであり、ペットボトルの素材とは大きく異なります。
指定数量以下のガソリンを自宅などで保管する場合であっても、ペットボトルは使用せず、運搬の規格に適したものであると良いかもしれません。