日産は過去にショーファーカーの「プレジデント」を販売していました。その中で斬新にも屋根を切ったコンバーチブルモデルが存在したと言いますが、どのような特徴があるのでしょうか。
■日産にあったショーファーカー「プレジデント」とは
昨今、「BEVシフト」として世界中の自動車メーカーがBEV(電気自動車)の開発ならび販売に注力しています。
そうした中で日産は1947年からBEVを開発してきており、これまでも多数のモデルを披露。その中にはVIPにふさわしい「プレジデント」も存在しました。
プレジデントは、1965年に「セドリック・スペシャル(50型)」の後継として、高級乗用車「プレジデント(150型)」が発表されました。
エンジンは、ハイヤー使用を想定し経済性を考慮した3リッター直列6気筒と、静粛性が高い4リッター上V型8気筒の2種を採用しています。
2代目(250型)は1973年に登場。最上級グレードとして設定された「ソブリン」は、その大きく威厳のあるスタイルに、4.4リッターV型8気筒OHVを搭載。
公用車やハイヤーなどとして、多くのVIPの方々を広々とした後席へお迎えし、快適な移動を提供しました。
3代目(JHG50型)は1990年に登場。17年ぶりにフルモデルチェンジされました。
エクステリアは格調高い縦格子のフロントグリルデザインに代表される風格が特徴で、インテリアは180mm延長されたホイールベースにより居住性が格段に向上。
エンジンは、270馬力を誇る4.5リッターV型8気筒を搭載し、4輪マルチリンク式油圧アクティディブサスペンションやビスカスLSD付トラクションコントロール、エンジンとオートマチック統合制御など、日産の最新技術が結集されていたのも特徴です。
そんなプレジデントですが、3代目ををベースに、オープンボディ化と電動化の大幅な改造を施したのが「プレジデントEVコンバーチブル」となります。
ボディサイズは全長5225mm×全幅1830mm×全高1425mm、ホイールベース3030mm。
サスペンションは前にマルチリンク、後にマルチリンク。ブレーキは前にベンチレーテッドディスク、後にディスクを採用していました。
なおプレジデントEVは、市販化されませんでしたが、主にパレード用として使用され、大型なプレジデントのボディサイズをいかして、大相撲の力士を後席に乗せての祝勝パレードのような場面に多く登場しました。
なおプレジデントEVには鉛バッテリーが採用され、最高時速は40km/hです。
なおプレジデントは、2003年に4代目へとフルモデルチェンジ。
商品コンセプトは「やすらぎの移動空間を備えた、モダンかつフォーマルな最高級サルーン」として開発。
前方格納タイプ助手席を採用することにより、広々とした後席足元スペースを確保するとともに、最高級車にふさわしい静粛性を実現することで、最上のやすらぎとくつろぎをもたらす後席を実現しました。
また用途にあわせて、4人乗(後席2名乗車)と5人乗(後席3名乗車)が設定されています。
その後、2010年に45年の歴史に幕を下ろしています。
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なお日産はその後、2010年に世界初の量産BEVとして日産「リーフ」を発売しました。
世界に先駆けて量産BEVした日産ですが、そのDNAは1947年に登場した「たま電気自動車」から受け継がれているようです。