白と黒の「パトカー」のようなボディカラーに、青い回転灯をルーフに載せたクルマを見かけることがありますが、警察車両ではないといいます。あのクルマは一体何なのでしょうか。
■通称「青パト」どんな役割がある?
パトカーに似た白と黒のボディカラーの車両に、青い回転灯を載せたクルマが走行しているのを時々見かけることがあります。
警察の「警らパトカー」と見た目がソックリですが、一体どのような役割を持ったクルマなのでしょうか。
クルマについている回転灯にはいくつかの色がありますが、それぞれどのようなクルマに用いられるかが決まっています。
例えば、赤い回転灯は「パトカー(パトロールカー)」や「消防車」、「救急車」のほか、病院に輸血などの血液製剤を運ぶ「献血運搬車」などの緊急車両に使用されています。
また、黄色の回転灯を装備する車両は国土交通省や都道府県などの道路管理の車両や、各道路会社で道路維持・修繕や道路標示の設置などに用いる車両に用いられ、高速道路などではハイウェイパトロールカーなどを見かけることがあります。
ほかにも、パトカーのような白と黒のボディカラーに青の回転灯を載せたクルマを見かけることがありますが、これは通称「青パト」といい「青色防犯パトロール」に用いられるクルマです。
この青パトは2004年12月から開始された制度で、警察庁のデータによると2022年12月末時点で全国において4万2000台以上のクルマが登録されているといいます。
青パトはパトカーに似た見た目をしていますが、実際に青パトを運用しているのは警察などではなく、地域の自主防犯ボランティア団体など。乗っているのも警察官ではなく、地域の警察OBをはじめとした一般のスタッフです。
また、誰でも自由に運用できるわけではなく、警察署へ申請して証明書や標章などの交付を受ける必要があり、青パトを使用してパトロールを行う際には回転等のほか防犯パトロール中であることを示すプレートなどを設置しなければなりません。
青パトは、徒歩や自転車で活動するよりも広範囲をカバーできるほか、回転灯があることで、人目につきやすく目立つことから、地域全体での犯罪防止や防犯意識の向上が期待できるといいます。
特に登下校時間帯の通学路などを青パトで走行して子どもたちの様子を見守ったり、日中や夜間に周辺地域を巡回して、クルマに設置されたスピーカーから防犯に関する音声アナウンスを流すなど、地域におけるパトロールや防犯意識の啓発が主な活動です。
大阪府によると、犯罪者を寄せ付けない街づくりや、子ども達や地域住民に安心感を与える効果があるといい、東京都の「青色回転灯を装備する自動車による自主防犯パトロール活動」が行われている地域では、それ以外の地域よりも犯罪減少率が高い地域が多いという検証結果が示されているなど、青パトの活躍が防犯に役立っていることがわかります。
全国の青パトの中には、上半分が白、下半分が黒のボディカラーで、警察のパトカーと似た見た目の車両もありますが、ボディカラーに決まりはないことから、一般的な乗用車や軽自動車が青い回転灯のみをつけてパトロールを行っていることもあります。
なお、緊急車両ではないためサイレンを鳴らして緊急走行することはなく、駐車違反など交通違反の取り締まりを行うこともありません。
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青い回転灯を載せた青パトは、警察署から証明を受けたボランティア団体が、スピーカーから防犯のアナウンスを流しながら地域の防犯パトロールを行っています。
青パトが走行することで空き巣やひったくりなどの犯罪の防止に繋がるだけでなく、防犯意識の啓発や、地域住民や子どもに安心感を与える効果もあります。