ガソリンスタンドなどでは「雨の日洗車キャンペーン」や「雨の日は洗車がオトク!」といった宣伝をしていますが、なぜ雨の日に洗車を勧めてくるのでしょうか。
■ガソリンスタンドで雨の日に洗車を勧めるのは、なぜ?
雨が降ってくると「クルマが汚れているからちょうどいい」と言う人がいます。
一方でガソリンスタンドなどでは「雨の日洗車キャンペーン」や「雨の日は洗車がオトク!」といった宣伝をしていますが、なぜ雨の日に洗車を勧めてくるのでしょうか。
クルマの洗車は、こだわる人であれば自らの手で洗車することもあり、様々な洗車グッズも展開されています。
一方で、自分でやるのが面倒と考える人もおり、その場合は汚れが目立った際に洗車機で洗うという人も一定数存在します。
どちらの場合でも、雨の日にであれば「雨水が汚れを洗い流してくれるので洗車は必要ない」と考える人もいるかもしれません。
クルマは新車時であれば、塗装やワックスなどがボディを守ってくれています。
しかし時間が経つにつれ、ボディを守る力が弱まり、ホコリやゴミが付着しやすくなってしまいます。
そして、そのホコリやゴミなどが酸化することで頑固な汚れの原因となるのです。
また、小さな虫の死骸もボディにとって害となり、虫の死骸にはタンパク質やリン酸が含まれており、塗装面に悪影響を及ぼし「酸化クレーター」と呼ばれる凸凹が生じることも。
さらに雨には大気中のチリやゴミといった汚れが含まれており、そのまま放置した場合、水垢やウォータースポットになります。
ほかにも、ボディに付着した砂や鉄は、雨に濡れると泥団子状の塊となり、濡れている間は柔らかいものの、雨がやんで乾くと硬くなり、ボディを傷付ける原因となるようです。
こうしたことをふまえてクルマの洗車について洗車専門店では次のように話しています。
「基本的には、1、2か月程度の頻度で洗車をおこなっていただくことをおすすめしています。
また雨にあたることでクルマのボディに傷がつきやすい状態になってしまいます。
そのため『雨で汚れが落ちるだろう』という考えから洗車を怠っていた場合、塗装や埃などのごみの付着など、ボディの状態の悪化に繋がるおそれがあります」
では、なぜガソリンスタンドなどでは雨の日に洗車を勧めるのでしょうか。首都圏のガソリンスタンドのスタッフは次のように話します。
「雨の日に洗車をお勧めする理由には、スタンド側の意図が大きいです。
単純に晴天時よりも『汚れを落としやすい』『拭き上げ/吹き残しの心配がいらない』という作業面の効率により『洗車時間を短縮出来る』ということが挙げられます。
さらに、店舗としては雨天時の利用を促進するひとつとして、『雨の日洗車回数券』など雨の日限定でリピートして頂けるようなサービスも存在します」
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雨の日に洗車をするということは、「雨でクルマの汚れを落としてくれるだろう」というよりも、「雨で新たに汚れたり、さらに頑固な汚れになるのを防ぐ」というものと、ガソリンスタンド側の営業戦略という両方の考えが存在していると言えます。
■クルマの雨対策にはどのような方法がある?
雨で汚れが付着したり頑固な汚れになったりするなら、あらかじめ雨対策をおこなっておきたいと考えるかもしれません。
雨対策としては、ガラスコーティングやカバーなどの対策が挙げられます。
ガラスコーティングとは、ボディの塗装の上にガラス繊維の皮膜を形成することで、クルマを汚れや傷、紫外線などから守るものです。
ガラスコーティングによってできた皮膜は通常の塗装面に比べて凹凸が少なく、固着を防ぐため、雨や洗車時の水洗いで汚れを取りやすくなります。
さらに、ガラスコーティングは、ワックスやポリマーコーティングに比べて、高い性能を持ち、効果が長続きしやすい特徴もあります。
なお、ポリマーコーティングとは、フッ素やシリコンなどの高分子化合物で形成されたコーティング剤のことです。
そのほかの対策に、クルマカバーも雨で汚れが付いたり頑固な汚れになったりするのを防ぐアイテムを使用することがあります。
カバーの表面は、はっ水加工が施されているものがほとんどで、雨水をはじいてくれます。
屋根のない駐車場で、雨にさらされ続けたクルマのボディは、数年後通常よりもひどい傷みを負ってしまうことがあります。その傷みから保護する役割をカバーは担ってくれます。
しかし、カバー自体が劣化していると、カバー上の水たまりがクルマに侵食し、かえってクルマのボディーを傷つけてしまう可能性もあります。そのため、カバーの状態には注意が必要です。
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また、環境省の「越境大気汚染・酸性雨モニタリング計画」によると、日本では年々雨の酸性化が進んでいると報告されており、よりクルマへのダメージが気になる状況になっているため、愛車の雨ケアも行っておきましょう。