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全国3位の「巨大斜張橋」が建設中!…だけど妙に低い!? 近くの「鶴見つばさ橋」より“低姿勢”となった背景は

くるまのニュース 2023年10月14日 16時10分

川崎で「川崎港 東扇島~水江町地区臨港道路整備事業」が進んでいます。京浜運河を渡る斜張橋は、完成すれば全国3位の規模となりますが、立地の都合からユニークな姿になりそうです。

■中央径間長525mは全国3位

 全国3位の大きさを誇る斜張橋の建設が、川崎市川崎区で進んでいます。どのような計画なのでしょうか。

 斜張橋の建設プロジェクトは、「川崎港 東扇島~水江町地区臨港道路整備事業」の一環として進んでいます。

 この臨港道路は、首都高速湾岸線の通る東扇島と水江町を結ぶもので、延長3km、往復4車線(片側2車線)、設計速度50km/hで整備される計画です。

 東扇島は現在、首都高や海底トンネルなどで他地区と結ばれていますが、コンテナターミナルの貨物取扱量の増加や、日本随一の冷凍冷蔵倉庫群の機能充実に伴う交通量増大を見据え、新たな物流ルートを整備するものです。

 災害時の緊急支援物資の代替輸送路や、島内労働者らの退避路の確保としての側面も持ち合わせています。

 橋は、京浜運河の航行幅400mを確保するため、中央径間長525mの斜張橋を採用。また、マスト高45mの船舶に対応するため、桁下空間を47mとしています。長さは約900m(主橋梁部)です。

 なお、斜張橋の中央径間長525mは、多々羅大橋(広島県尾道市、西瀬戸道)の890m、名港中央大橋(名古屋市港区、伊勢湾岸道)の590mに次いで全国3位となります。完成すると、すぐ近くにある現行3位の鶴見つばさ橋(横浜市鶴見区、首都高速湾岸線、510m)は、4位に繰り下がります。

 また、中央径間長が525mだと、斜張橋の主塔の高さは経済的・合理的な構造として150m以上が理想とされますが、建設中の橋は98.5mと低く抑えられています。これは、5km先にある羽田空港の空域制限によるものです。

 同じく斜張橋である横浜ベイブリッジ(横浜市中区・鶴見区、首都高速湾岸線)の172m、鶴見つばさ橋の183mと比べると、新しい橋の主塔の低さが際立ちます。

 ただし、低い主塔とは対照的に基礎は地中深くに造られます。厚い軟弱地盤が堆積していており、橋を支える強固な地盤は海面下マイナス60m以上の深い所に存在。そのため、日本最大クラスの大深度基礎(マイナス60m以深)となっています。

 川崎市が担当する、橋につながる一部区間は2023年に完成しています。それ以外は、国土交通省関東地方整備局が手掛けており、工事は2028年頃まで続く見込みです。

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