クルマの「タイヤ」は、使用できる消耗具合や使用期限などが定められています。では、タイヤと組み合わせて使用される「ホイール」にも寿命は存在するのでしょうか。
■「タイヤ」の寿命は5年! では「ホイール」は?
クルマの「タイヤ」は、接地面の溝の深さだけでなく“使用した期間”によっても使用できる寿命が大まかに定められています。
では、タイヤと組み合わせて使用されている「ホイール」にも寿命は存在するのでしょうか。
先述したように、クルマのタイヤには使用にあたっての期限といえる寿命が存在します。
夏タイヤの場合であれば接地面の溝が1.6mm以下になるとグリップ機能が低下し危険と見なされるほか、タイヤの使用開始から基本的に5年が経過するとゴムが劣化するためタイヤの寿命だといいます。
しかし、このようにタイヤの寿命については厳しく言及される一方で、ホイールには使用期限のようなものがあるという話は聞かれません。
はたして、ホイールには寿命のようなものが定められているのか、ホイールメーカーの担当者に聞いたところ、以下の回答がありました。
「実はホイールには、タイヤのような時間的な使用期限の目安は設けられていません。しかし、製造にあたっては『強度基準』が厳しく設定されています。
そしてこの強度基準は年々強化されているため、過去の基準で製造された古いホイールが現代の強度基準を下回っていることは考えられます」(ホイールメーカーの担当者)
このホイールの強度基準については、国土交通省が乗用車およびトラックやバス用のホイールの品質や性能について「軽合金製ディスクホイールの技術基準」を定めており、ホイールメーカーはその基準に適合していることを示すため、自ら試験を実施した上で、合格したことを示す「JWLマーク」をホイールに表示しています。
ただし、JWLマークはあくまでもメーカーによる認定の印であるため、第三者によって確認されていないという問題も。
そこで、製造者ではない第三者の目線として「自動車用軽合金製 ホイール試験協議会」が再度ホイールを厳しく検査します。
これに合格したホイールが正式に基準を満たしていると認定され、「VIAマーク」が表示されます。
このVIAマークのための検査は義務ではありませんが、より高い信頼性を示すものであるため、VIA基準を満たしたホイールを製造・販売しているホイールメーカーも珍しくありません。
また、VIAマークを取得したホイールには、多くのホイールメーカーが加盟している団体「JAWA」の品質認定証も貼付されます。
■では「使用を控えたほうが良いホイール」とは?
このように、様々な検査や認定マークによってホイールの強度や安全性は保証され、市場に流通しています。
しかしその一方でホイールに求められる強度基準は年々高くなっており、過去に製造されたホイールが現在の基準を満たしていない可能性も十分に考えられるため注意が必要です。
また、ホイールを縁石にぶつけてしまったりクルマが事故にあったなど一度でも強い衝撃が加わった場合、たとえ見た目には問題が無さそうだったとしてもホイール全体に歪みが生じていたり、細かい損傷箇所から空気が漏れてしまうことも。さらにホイール自体の耐久性が落ちてしまっている場合もあります。
ホイールは、車検などでも製造年月日を確認されることは無いため、古いものを装着していても法的に問題はありませんが、タイヤのように定められた寿命が無いとしても、永久に使用できるものではありません。
もしも前述のように衝撃を与えた経験や、キズや凹みなど僅かでも変形がある場合には、ホイールを販売店や専門店に持ち込み、安全に使用できる状態なのかをしっかり検査してもらうことをおすすめします。