道路標識に「安全速度」というものがあります。制限速度とはどう違うのでしょうか。また、絶対に守らなくてはならないものなのでしょうか。
■「安全速度」の標識 制限速度とは違う?
クルマを運転する時には道路標識を確認して制限速度を守ることが大切ですが、それとは別に「安全速度」という標識があるといいます。
この安全速度とはどのような意味なのでしょうか。また、必ず守らなければならないものなのでしょうか。
速度に関する制限には「制限速度」や「法定速度」などがありますが、これらは「最高速度」として規制された速度や法令で定められた速度を意味し、いずれも「それ以上のスピードを出して走行することはできない」という意味です。
こうした速度規制に関する標識といえば、赤い縁取りに「50」や「30」などの数字が書かれた丸い標識をイメージする人も多いかもしれません。
実はこれ以外にも、四角い標識で白地に「安全速度30」などと書かれた補助標識があります。
安全速度の標識は、カーブや傾斜を示す黄色い警戒標識とともに設置されていることがあり、急なカーブや下り坂などに警戒が必要であることから、安全速度に表示された速度で走行する必要があるということを示すものです。
この安全速度とは、個別の地点において最高速度を規制する速度とは別に定められた速度で、道路状況に合わせた「安全に運転できる速度」であるため、拘束力はありません。
標識で明示された場所以外にも、例えば悪天候で視界が悪くなっている時や、夕暮れ時や夜間など周囲が暗くなってきた時、狭い道路やカーブが多く見通しの悪い道路などでは、速度を落として、周囲により注意を払いながら運転する必要があります。
他にも、登下校時間帯の通学路や、人通りの多い商店街など歩行者が多い場所、路上に駐停車しているクルマがある時などにも、やはり速度を落として周囲の歩行者や自転車、その他のクルマの動きなどに注意して慎重に運転しなければなりません。
このため制限速度や法定速度とは異なり、規制ではないものの、守るほうが好ましいものだといえます。
これについて警察では、安全運転を推進するために「高速安全運転5則」と「安全運転5則」を定め、交通マナーの向上や交通事故の抑止を推進。
それぞれ高速道路と一般道に合わせた項目になっていますが、そのうち一つ目の項目は高速安全運転5則が「安全速度を守る」、安全運転5則でも「安全速度を必ず守る」であり、どちらも安全速度に関するものです。
高速道路ではスピードの出しすぎによって重大事故が発生する危険があること、一般道では歩行者や自転車と近い距離を走行することも多いため、周囲の状況に合わせて走行することが大切です。
なお、道路交通法第70条では「道路、交通及び当該車両等の状況に応じ、他人に危害を及ぼさないような速度と方法で運転しなければならない」と定められています。
これにより、安全速度を守らなかったことにより重大な事故を起こしてしまった場合には、安全運転義務違反として、普通車では違反点数2点と反則金9000円が科されることがあります。
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ドライバーは交通量、歩行者の量、周囲の明るさなど状況に応じて「安全に運転できる速度」で走行することが大切です。
そのひとつの指標として補助標識の安全速度が設けられている場合があり、事故を起こさないためにも、これを守って運転するよう心がけましょう。