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最安グレードが540万円! トヨタ新型「アルファード」高額すぎて“廉価モデル待ち”の人も!? なぜ全グレード同時に発売しないのか?

くるまのニュース 2023年10月2日 19時10分

トヨタ「アルファード/ヴェルファイア」が2023年6月に全面刷新しましたが、新型モデルでは価格が高額化しました。今後廉価モデルが登場することが予想されますが、なぜ全グレードを一斉に発売しないのでしょうか。

■先代よりもかなり値上げされた新型アルファード/ヴェルファイア

 2023年に発売された新型車のなかで、特に注目度の高い車種がトヨタ「アルファード」と「ヴェルファイア」です。
 
 両車はラージサイズの高級ミニバンで、基本部分を共通化しながら、アルファードは豪華さを強め、ヴェルファイアにはスポーティな性格を与えました。

 気になるのは価格で、先代モデルに比べると大幅に高額化。先代アルファードは、2.5リッターガソリンでもっとも安価な「X」が359万7000円でしたが、新型アルファードは一番安い2.5リッターガソリンの「Z」が540万円です。

 ヴェルファイアはさらに高価で、最廉価グレードの2.4リッターターボ「Zプレミア」は655万円に達します。

 新型アルファード/ヴェルファイアの価格が高い理由は、内装や装備を見れば分かります。

 アルファードZとヴェルファイアZプレミアは、両方ともに固定式アームレストを備えたエグゼクティブパワーシートを標準装着。さらに上級グレードの「エグゼクティブラウンジ」ともなると、よりいっそう豪華なエグゼクティブラウンジシートを備えます。

 先代モデルのアルファードとヴェルファイアが用意していたベーシックなリラックスキャプテンシート、あるいはアルファードに採用されていた8人乗りのベンチシート(6:4分割チップアップシート)は設定されておらず、現時点では、アルファード、ヴェルファイアともに、各種の装備も充実している上級グレードのみを販売している状況です。

 今後、先代モデルで選べたような、買い得な中級グレードや低価格のベーシックグレードが追加されることが期待されます。

 お買い得グレードが設定されるであろうことは、福祉車両のウェルキャブに、「G」というグレードが用意されることからも予想できます。Gグレードは、ウェルキャブで先行発売され、今後、通常の仕様にも追加されることになるのではないでしょうか。

 このように、グレードによって発売時期をずらす理由は、納期遅延に向けた対策です。

 メーカーの開発者からは「半導体などの供給状況が好転してきた」という話も聞かれますが、今までの納期遅れで大量な受注を抱えています。

 まずは既に受注した車両の生産に追われるため、スグに納期が短くなるわけではありません。

 しかもアルファードとヴェルファイアは、先代モデルも人気が高く、納期が延びて2022年6月には受注を停止しました。その後、新型にフルモデルチェンジされ、受注を再開したのは1年後の2023年6月です。

 新型の登場を待ち望んでいたユーザーがきわめて多く、販売店では「新型の受注を再開すると、数日間で販売会社の割り当て台数が埋まり、受注を停止しました」と述べています。

 このような状態ですから、すべてのグレードを一斉に発売すると、さらに注文が増えて収拾が付かなくなります。そこで最初は上級グレードに特化して受注を行い、生産効率を高め、需要が落ち着いたら、販売の対象を中級や低価格のグレードまで広げるわけです。

※ ※ ※

 同様の発売方法がほかの車種にも見られます。例えばレクサス「RX」が2022年11月の発売時点で用意したパワーユニットは、2.4リッターターボ、2.4リッターターボハイブリッド、2.5リッタープラグインハイブリッドのみでしたが、2023年7月に、買い得な2.5リッターハイブリッドを加えました。

 しかしそれでもRXのグレードは全般的に少なく、追加された「RX350h」も「バージョンL」のみで、スポーティな「Fスポーツ」などは選べません。今でも納期の遅延を抑えるため、選択肢を絞っています。

 このほかトヨタ「クラウンクロスオーバー」や「シエンタ」も、発売時点では生産開始の早いグレードと遅いグレードを分けていました。これも全グレードを一斉に販売すると、納期がますます遅延するからです。

■サブスクだったら比較的早く手に入るがいろいろな制約が…

 新型アルファードとヴェルファイアに話を戻すと、今は大半の販売店で「納期が遅延した結果、受注を停止しており、再開時期は未定」と述べています。

 それでも新型を手に入れたい場合、定額制カーリース(サブスクリプション)のKINTOを使う方法があります。KINTOであれば、アルファードは7か月から9か月、ヴェルファイアは7か月から8か月で納車できます。

トヨタ新型「ヴェルファイア」

 ただしKINTOはあくまでもカーリースですから、3年/5年/7年の契約期間が終了すると、車両を必ず返却しなければなりません。ユーザーが所有権を手に入れる「購入」はできないのです。

 しかもKINTOを使った場合、使用条件にも様々な制約が加わります。

 例えばペットの同乗は、盲導犬を含めてできません。走行可能な距離にも制約があり、規定の距離を超えると車両の返却時に精算が生じます。購入ではなくカーリースですから、クルマを借りていることを自覚して大切に使う必要があります。

 これはユーザーにとって悩ましいところで、トヨタはさらに親切なシステムを実施すべきです。今のように販売を停止してもKINTOでの利用を可能にするなら、最終的にユーザーが買い取れるプランも用意して欲しいです。

 この点については、KINTOで使われた程度の良い車両を「KINTO ONE 中古車」として再リースする計画が控えているため、ユーザーの買い取りプランを用意しにくい事情があるでしょう。

 それならKINTOで7年契約したユーザーには、7年後に返却した車両をそのままKINTO ONE 中古車として乗り続けられるプランを用意するのが良いのではないでしょうか。

 KINTO ONE 中古車は2年契約ですが、新車時の7年契約と合計すれば、9年間にわたって使えますから、実質的に所有に近い形態になります。

 また最近はペットを同乗させるユーザーが増えているため、クリーニングを前提にしたプランがあると喜ばれるでしょう。

 通常通りに注文できる車種なら、ペットを乗せるユーザーはクルマを購入すれば良いですが、新型アルファード/ヴェルファイアでは今は前述の通り購入ができず、KINTOのサブスクを勧めるのであれば、購入に近い感覚で使えるプランも用意すべきです。

 今後の展開で気になるのは、新型アルファードとヴェルファイアが通常の受注を再開する時期です。販売店では「2024年9月までの受注枠はすでに埋まっています。受注を再開するとしても、2024年10月以降の納車枠からです」とコメントしており、そうなると受注の再開は、2024年6月頃になるでしょう。

 ただし新型アルファード/ヴェルファイアは、先に述べた通り人気が高く、受注を再開しても、注文が殺到して再び停止する可能性があります。

 そうなると中級グレードのGなどを追加するのは、2025年以降に実施される一部改良の時かも知れません。

 販売店では「新型アルファードの一番安いグレードでも価格が540万円なので、購入予算は600万円を超えます。予算がオーバーするお客さまは、今後登場するであろう割安なグレードを待っています」と言います。

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 新型アルファード/ヴェルファイアには、納期の短縮や割安なグレードの追加、KINTOのリース終了後の中古車としての継続使用などが求められます。トヨタは顧客サービスでも人気の高いメーカーですから、まさにここが腕の見せどころでしょう。

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