モーターショーなどで公開されるコンセプトカーや、新型車、カスタムカーはその斬新さで大きな話題とることがあります。なかでも、2021年に登場した「ハイゼット ジャンボ スポルツァVer.」もそのうちの1台です。どのようなモデルだったのでしょうか。
■まさに“スーパーカー”な「軽トラ」? 「ハイゼット ジャンボ スポルツァVer.」とは
モーターショーを始め、世界各国で開かれる自動車イベントなどで自動車メーカー各社から公開されるコンセプトカーや、新型車、カスタムカーはその斬新さで大きな話題とることがあります。
なかでも、ダイハツの軽トラック「ハイゼット」の誕生から60周年を記念して、2021年に登場した「ハイゼット ジャンボ スポルツァVer.」もそのうちの1台です。どのようなモデルだったのでしょうか。
ハイゼットは、高度経済成長期の真っただなかに、当時大ヒットしていた軽三輪自動車「ミゼット」に続き、ダイハツ初の軽四輪自動車(360cc)として登場したモデル。当時は、ボンネットトラック、ライトバン(ボンネットバン)、キャブバン(現在の軽バン)の3タイプを展開していました。
現行モデルは、2021年に17年ぶりのフルモデルチェンジを果たした11代目となる軽バン「ハイゼットカーゴ」。一方で軽トラックのハイゼットトラックは2014年にフルモデルチェンジした10代目。ハイゼットカーゴの刷新と同時期にマイナーチェンジし、2023年10月現在も販売されています。
そんな長い歴史を持つハイゼットシリーズですが、ダイハツは2021年に開催された「バーチャルオートサロン2021」への出展に併せて、同車のカスタムカーを作成しました。
それが、ハイゼットトラックをベースとした、「ハイゼット ジャンボ スポルツァVer.」です。
果樹園で実際に改造して使われている“屋根を切った”軽トラックから着想を得たというハイゼット ジャンボ スポルツァVer.は、ハイゼットトラックを屋根のない“オープンカー”としただけでなく“レース仕様”にカスタマイズされています。
フロント部分では、バンパー下部に大きな開口部を設けるなどエアロパーツとして作り直すほか、左右ドアは屋根やピラーが無くなった分を樹脂パーツで覆い隠し、小さなフロントウィンドウを備えます。
サイドビューでは、助手席側の荷台下に3本出しのマフラーが装着されており、エキゾーストパイプの構造自体にも手が加わっています。
ドアには、「60・ラグナ青果」というデカールが貼られていますが、これは60周年を記念する数字に加えて、アメリカのサーキットである「ラグナ・セカサーキット」と青果を掛け合わせた遊び心あふれる造語だといいます。
さらに、あおりも高く作り直され、空力性能が高められているようなデザインとなっているほか、ディフューザー風のデザインがあしらわれたリアバンパーを装備するなど、とてもスポーティな印象にこだわられています。
インテリアは、レースカーなどに採用されるクイックリリース式のステアリングボスやモモ製の小径ステアリング、アルミペダル、D-SPORT製シフトノブ、フルバケットシートと4点式シートベルトなどが装備され、本格的にサーキットでも戦えるような仕様となっています。
内外装の“見た目”だけでなく、しっかり“中身”も鍛え上げられています。
足回り部分ではサーキット走行を想定した仕様に変更、KTV Ultimate製の車高調、レイズ製のTE-37鍛造ホイール、横浜ゴム製アドバンA050のセミスリックタイヤといった様々な社外パーツを装着しする他、軽スポーツ「コペン」のブレーキを流用し、ベンチレーテッドディスクブレーキや大きめのキャリパーが採用されています。
このハイゼット ジャンボ スポルツァVer.について、ダイハツの第一デザイン室・米山知良氏は当時以下のように話していました。
「ハイゼットというと身近な軽トラなのですが、ハイゼット ジャンボ スポルツァVer.は、見方をかえればマニュアルで、ミッドシップで、オープンという、スーパーカーと同じような一面を持っています。
ハイゼットは、レースのためのクルマではありませんが、身近なクルマで楽しんだらどうかなと思い作成しました。
また、コロナ禍でも見て楽しめるクルマを作りたい、実車を見られなくてもSNSや映像で見て笑ってもらえるような、クルマで人を笑顔にしたいという想いで思い切った仕様を作ったというところです」
※ ※ ※
今年2023年、4年ぶりの開催となる東京モーターショーは、「JAPAN MOBILITY SHOW 2023」と名前を変え、2023年10月26日から11月5日まで開催される予定です。
今回のショーで、ハイゼット ジャンボ スポルツァVer.のようなユニークなクルマを生み出したダイハツがどのような車両を出展するのか、注目です。