コインパーキングで、自分のクルマとは違う駐車番号の精算をしてしまうといううっかりミスは意外にも多いようです。間違って支払ってしまった場合は、返金してもらえるのでしょうか。
■うっかり支払い間違いは意外と多い!?
クルマで外出したときにコインパーキングを利用することがありますが、精算時に間違えて自分のクルマとは違う駐車番号を入力し、別のクルマの料金を支払ってしまったことがある人もいるでしょう。
実はこの「うっかりミス」は意外に多くの人が経験しているようですが、コインパーキングで間違えて別のクルマの支払いをしてしまった場合、管理会社などに返金を請求できるのでしょうか。
2016年にJAFが実施したアンケートによると、回答者の17.9%が「間違って支払った(または知人や家族が支払った)」という経験があるそうです。そして間違って支払ってしまったあとの行動としては「改めて自分のクルマの駐車料金を精算」が77.9%、「管理会社に連絡」は10.1%、なかには「間違って支払ったクルマのオーナーを待つ」が0.5%という結果となっています。
また「支払いミス」の原因としては、「駐車番号の覚え違い・見間違い」が58.3%、「駐車番号が識別しにくい」が7.7%、「ぼーっとしていた」が9.7%という回答結果となり、ほとんどがドライバーによる「ケアレスミス」が原因で発生しているのです。
元弁護士で現在は大手企業の法務部に勤務するTさんに聞いてみました。
「代金の返還要求自体は可能ですが、債権者(この場合はコインパーキング管理会社)が債権(本来停めた人がコインパーキング代を支払うことに対する権利)を失っている場合は、民法で返還請求できません」
つまり、管理会社は(勘違いだとしても)支払ってもらった限りは「支払いが終わるまでクルマが移動できないようにできる『留置権』を放棄(解除)したカタチとなり、逆に管理会社が停めた人にそれ以上請求できない」ということのようです。
そのため「番号を間違えての支払いに関してはご返金いたしかねます」というような注意書きの表示やホームページ上の約款なども無効とはいえないのだそうです。
いくつかの大手コインパーキング管理会社に確認してみましたが、ホームページ上で「返金不可」をうたう企業も多く、利用規約に「精算の際は駐車位置番号を必ずご確認ください」と表記されており、うっかりミスに対して管理会社の責任はないことから返還要求には応えらないということになります。
ただし、管理会社によっては「正しく」間違った精算をすぐに報告した場合、返還に応じてくれるケースもなきにしもあらずのようで、「ダメで元々」でひとまずコインパーキングに表示されている連絡先に電話して聞いてみるのはアリでしょう。
■もうミスしたくない! どうしたらいい?
間違って支払ってしまったクルマの所有者に対して、駐車料金の返還請求ができるのでしょうか。
権利として返還要求自体はできるようなのですが、今度は別の意味で逆に提訴されてしまう可能性もありそうです。
というのも、別の人のミスで「留置権(駐車場に停めている間、料金を支払わなければクルマを返還しない権利)」を管理会社から勝手に放棄(解除)させてしまっている手前、管理会社が停めていた人に正規金額を請求できるかが不明瞭。
その原因はうっかり別の駐車枠の料金を支払ってしまった側にあるため、実際に停めていた人も管理会社にしても「勝手に支払った」状態になる可能性もあるのだそうです。
ということで、残念ながら「間違って支払ってしまった場合、本人の責任」ということになり、数百円から数千円の返還要求で何か月も係争しても意味がないというのが現実でしょう。
では、うっかり別の駐車枠の支払いをしないようにする方法はあるのでしょうか。
これはとにかく「駐車番号を何度も確認する」「スマホで自分のクルマの駐車状況を番号込みで撮影しておく」というのが最善策と思われます。
見間違いやすい「6」と「9」はどちらなのかを把握しておくことや、番号は1桁なのか2桁なのかということを確認する習慣を身につければ、かなりの確率で支払いミスが減らせそうです。
あと注意したいのが「4」がないケース。いわゆる語呂合わせのような感覚で、日本では「4」が忌み嫌われることがあり、「3」の隣は「5」だったということも良くあります。やはり写真で残しておくなどで自衛するのが良いでしょう。
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間違って精算してしまうというミスは、頑張れば返還請求できますが、少額のために時間と労力をかけるなら、大人しく支払わざるを得ないということになりそうです。
そんなうっかりミスをしないために、番号をしっかり記憶・記録しておきましょう。