ホンダは2023年10月28日から開催される「JAPAN MOBILITY SHOW 2023」に、新型の軽商用バンのコンセプトカー「MEV-VAN Concept」を出展すると発表しています。一体どのようなモデルなのでしょうか
■充電待ち時間が発生しない「画期的なシステム」とは
ホンダは、2023年10月28日から11月5日にかけて開催される「JAPAN MOBILITY SHOW 2023(以下、JMS2023)」に、新型の軽商用バンのコンセプトカー「MEV-VAN Concept」を出展すると公式ホームページ上で発表しています。
このMEV-VAN Conceptは、軽商用バンの「N-VAN」ベースに開発されたEV(電気自動車)ということですが、同じくN-VANベースに開発されたEV「N-VAN e:」とは何が違うのでしょうか。
MEV-VAN Conceptは、前述の通りN-VANをベースに改造したコンバートEVですが、とくに着脱式のバッテリー「MPP(ホンダモバイルパワーパック)」を使用しているところが大きな特徴です。
このMPPとは、様々な電動モビリティや機器の動力源として活用することを目的にホンダが開発したリチウムイオンバッテリー。
MPP1個につき1.3kWh以上という大容量の電力を貯蔵する事が可能で、すでに同社のビジネスバイク「BENLY e:」や「GYRO e:」などにも採用され市販されています。
そしてJMS2023に出展されるMEV-VAN Conceptは、MMPをホンダ四輪車として初めて搭載しており、着脱式バッテリーによって軽バンを走らせることを示すスタディモデル。
N-VANからエンジンを下ろしたスペースにモーターを搭載し、元々は燃料タンクがあった床下部分はバッテリーユニットの置き場としてMPPを8個格納しました。
8個のMPPすべてを満充電した状態でのEV-VAN Conceptの航続可能距離は75kmで、ドライブユニットの出力は14kW、最高速度は70km/h、最大積載量は250kg。また、8個のMPPを充電するには約5時間を必要とするということです。
同じくJMS2023に出展される予定のN-VAN e:も、N-VANを基本とするEVですが、こちらは完全にEV専用として新設計された全く異なるモデルで、MEV-VAN Conceptのようなガソリン車を元に改造したコンバートEVではありません。
そのためMPPは使用せず、バッテリーは固定搭載されているためバッテリーの積み替えなどはできませんが、一方で「長い航続可能距離」などの異なる魅力を備えています。
このように比較するとMEV-VAN Conceptのメリットについて気になるところですが、この2台は全く異なる使用環境を想定して開発されており、N-VAN e:が「ガソリン軽商用バンの代替となるモデル」であるのに対し、MEV-VAN Conceptはいわゆる「ラストワンマイル」需要に応えることが目的。
つまり使用イメージとしては、「朝にフル充電で配送を開始し、昼には営業所に戻ってバッテリーを交換。休憩を挟んだ午後の配送には再びフル充電で出発する」というような、1日100km程度の配送環境が想定されているのです。
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MEV-VAN Conceptはコンセプトモデルのため、現在のところ発売予定は無いということですが、着脱式バッテリーの採用によって充電待ちの時間が発生しないというメリットや、既存の市販車をEVへとコンバート可能という点など、今後の展開が期待できそうなアイデアと言えるのではないでしょうか。
また、MEV-VAN Conceptは2023年3月に開催された「第13回国際スマートグリッドEXPO」のホンダブースにも出展されており、まもなくJMS2023に登場するモデルも同じものと思われます。