メッサーシュミットと聞けば多くの人は航空機を思い浮かべるかもしれません。しかし、過去には「マイクロカー」と呼ばれるクルマも製造していました。そんなレアな1台が2300万円で販売されています。
■タンデム仕様のメッサーシュミット「Tg500 Tiger」とは
世界には珍しいクルマがたくさんあるなか、かつては「マイクロカー」と呼ばれる、小さく丸みのある超小型車が存在しました。
これらは希少性が非常に高く、現存するモデルは、世界中で高価格で取引されています。
自動車の歴史を振り返ると、多種多様で、さまざまな珍しいクルマが生産されてきています。
そのうちのひとつが「マイクロカー」と呼ばれる、超小型車です。
別名「バブルカー」とも呼ばれる小さくて丸みのあるクルマは、ドイツが第二次世界大戦に敗戦したことによって、航空機メーカーが戦闘機の生産を禁止されたことがきっかけで生まれました。
各戦闘機メーカーは、飛行機製造の技術を自動車へと移行し、超小型車の生産を開始。
世界的な自動車ブランドへと発展したBMWも、当時は「イセッタ」というバブルカーを生産していました。
他にもメッサーシュミットがバブルカーを生産しており、これらに共通するのは三輪車であったという点です。
そんなメッサーシュミットのマイクロカーですが、日本の中古車市場でも流通しており、そのなかでも今回発見された個体は非常に希少性が高い4輪モデルです。
メッサーシュミット「Tg500 Tiger」は、4輪車となっており、通常のマイクロカーと比較しても、よりクルマとしての機能性が高い1台となっています。
これに加えて、搭載されるエンジンも、通常モデルは400cc程度のところが、493ccの直列2気筒を搭載し、最高出力は19.5ps、最大トルクは33.2Nmとなっています。
当時の発表データによると最高速度は時速126km、0-100km加速は27.8秒を記録していたと言われています。
エクステリアカラーはボディのメタルに加えて、ワインカラーのような渋いレッドが採用されています。
室内は2人乗りで、ドライバーの真後ろにもう1人の乗客の座席が確保されており、一列になり座る形です。
このメッサーシュミットを取り扱う東京都の販売店「ブレス」の担当者は、次のように話します。
「一般的なメッサーシュミットは3輪ですが、これは4輪モデルになります。
エンジンも通常のモデルよりも大きく、500ccのものを積んでいます。
このモデルはメッサーシュミットがレースに参戦するために作ったもので、オースチン「ヒーレー・スプライト」などと戦うためのクルマでした。
生産台数は300台を超える程度で、現在残っているものはもっと少なくなっているため、非常に希少な個体です。
日本には2020年前頃まで1台あったのが、海外に出ているとの話なので、現在では国内におそらく1台しかないと考えられます」
非常に希少性の高いTg500 Tigerですが、どのような経緯で取り扱われることになったのでしょうか。前出の担当者は、次のように話します。
「元々のオーナーが来店し、当店で扱うようになりました。
その人はバブルカー好きのお客様で、相当修理をされて走行しても問題ない状態でした。部品もかなりある状態です。
この個体は販売を始めてからそれほど時間がたっていませんが、国内外を問わず、コレクターからお問い合わせをいただけるのではないかと思います」
コレクター魂をくすぐるメッサーシュミットは現在、2300万円という価格で販売されています。
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第二次世界大戦後に、戦闘機の製造を禁止されたことで生まれたメッサーシュミットのクルマですが、日本の軽自動車も同じ歴史から生まれました。