「ひらがな」の表記が使われるナンバープレートですが、使われない4文字が存在します。その4文字とはどのようなものなのでしょうか。
■ナンバープレート「使われない文字」存在!? なぜ「欠番」になった? 「ひらがな」「数字」にある「使用不可」な文字とは
クルマのナンバープレートには数字やひらがななど、さまざまな情報が盛り込まれています。
特に「ひらがな」の中には使われていない文字が4つ存在するのですが、一体どのような理由があるのでしょうか。
クルマのナンバープレートには地域名や数字、ひらがなが刻印されており、それらからはさまざまな情報が読み取れます。
たとえば、「八王子」や「いわき」などの地域名は、基本的にその自動車の使用の本拠地を管轄する運輸支局または自動車検査登録事務所の名称・所在地を示しています。
地域名の右側にある「500」「480」などの数字は分類番号といい、1ナンバーであれば普通貨物自動車、4ナンバーや6ナンバーであれば小型貨物自動車といったように、数字で自動車の種別が分かるようになっています。
またナンバープレートの色にも種類があり、登録自動車のうち「自家用」は白地のプレートに緑文字、「事業用」は緑地に白文字というデザインです。
軽自動車も同様に、自家用は黄色地のプレートに黒文字、事業用は黒地に黄色文字という違いがあります。
さらにナンバープレートのひらがなの部分も細かく分類されています。
具体的には、自家用の自動車には「さすせそ」、「たちつてと」、「なにぬねの」、「はひふほ」、「まみむめも」、「やゆ」、「らりるろ」という29文字のいずれかが使われます。
一方、事業用の自動車は「あいうえ」、「かきくけこ」、「を」の10文字の中からいずれかが選ばれます。
それに加えて、レンタカー用の自動車には「わ」か「れ」の文字が、駐留軍人が使用する自動車などには「よ」の他、「EHKMTY」のいずれかのアルファベットが採用される決まりです。
具体的には、日本国内で購入した個人所有のクルマの場合「Y」、非課税車両の場合「EHKM」。
本国から持ち込まれた個人所有のクルマの場合「T」、自動二輪車または軽自動車の場合「AB」、退役や除籍によって日本国籍がない軍人のクルマの場合「よ」が割り振られます。
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このように自動車の使用目的によってひらがなも分類されていますが、実は使われていないひらがなが存在します。
■ナンバープレートで使われない「4文字」ってなに?
それは「お」、「し」、「へ」、「ん」の4文字です。
では、一体なぜこれらの4文字が使われていないのでしょうか。
国土交通省が公表している「ナンバープレートの現状について」という資料によると、ナンバープレートの基本的必要条件として、「視認性」や「記憶性」などが挙げられています。
交通違反車両や無謀運転車両を特定するためには、瞬時にナンバープレートの表示内容が読み取れる高い視認性(見やすさ)。
また容易に記憶できる記憶性(覚えやすさ)が重要であり、ナンバープレートにはこの条件に合ったひらがなが使われていると推察されます。
そうしたことから、国土交通省の担当者によると、「その理由は諸説があるため、一概に理由を説明することは難しい」と言いますが、理由のひとつとして挙げられるのは「『お』は『あ』と見た目の区別がつきづらく、また『を』と同じ発音になる」という点です。
字形や発音が似ていると、警察官やオービスといった機械による交通取り締まり、事故捜査などに支障を及ぼす可能性があるほか、電話や無線での報告を混乱させるおそれも考えられます。
そのような事態を防止するため、「お」は使われなくなったといえるでしょう。
次に「し」については「死」を、「へ」は「屁」を連想させることが使用されない原因だと言われています。
日本ではホテルやマンションなどで4のついた部屋を作らないといった語呂合わせを重視する面があり、日本特有の文化が影響しています。
また「へ」は「え」と発音が似ており、混同されやすい点も理由と考えられます。
そして、4つめの「ん」に関しては発音しにくく、また電話による通報で聞き取りづらいため、採用されていないものとみられます。
なお、視認性・記憶性の観点から、歴史的仮名遣いである「ゐ」や「ゑ」も使われていません。
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ナンバープレートは外部からの見やすさ、覚えやすさなどに配慮して製造されています。
全国各地のナンバープレートの中には、地域名の漢字に特徴的な字体を採用しているケースもあるため、注目してみると面白い発見があるかもしれません。