中国自動車道は、大阪府の吹田JCTと山口県の下関ICまでを結ぶ道路ですが、急カーブやアップダウンが連続することでも有名です。なぜクネクネの道が続くのでしょうか。
■中国自動車道には日本一の急カーブが存在!
大阪府の吹田JCTと山口県の下関ICまでを結ぶ中国自動車道は、急カーブやアップダウンが連続する高速道路です。
では、一体なぜこのような高速道路ができたのでしょうか。
季節も秋に入り、気持ちの良い天気が続いています。
紅葉を見るためにクルマで旅行に出かけるという人もいるかもしれません。
遠方への旅行では高速道路がよく利用されますが、全国には東名高速道路や中央自動車道など地域ごとにさまざまな高速道路が張り巡らされています。
その中でも大阪府の吹田JCTから兵庫県と岡山県、広島県、島根県を経由して山口県の下関ICをつなぐ中国自動車道(正式名称:高速自動車国道中国縦貫自動車道)は、急カーブやアップダウンの多い高速道路として知られています。
SNS上でも、実際に中国自動車道を通行したドライバーから「他の高速道路と比べてカーブ多すぎ」や「深いカーブが多いし、アップダウン激しいから疲れる」といった声が多数寄せられています。
そのほか、「カーブがキツすぎて時速60km規制になっている区間があった」という声も聞かれました。
高速道路というと、平坦な道が続いて眠くなるというイメージを持つ人も多いですが、なぜこのような急カーブやアップダウンの多い高速道路が誕生したのでしょうか。
中国自動車道は1970年に吹田JCTから中国豊中IC、中国豊中ICから宝塚ICが部分開通。
その後1983年に下関ICまで全線開通しました。
その全長は約540kmにもおよび、東北自動車道の約680kmに次いで日本で2番目に長い高速道路となっています。
急カーブやアップダウンが多いのは、中国地方の山間部を東西に縫うように道路が建設されていることが原因です。
また当時、事業費を抑えるために建設費用の高いトンネルを作らなかったことも影響し、結果的に曲がりくねった道や傾斜の激しい道が多くなりました。
急カーブの手前には曲がった矢印の描かれた警戒標識や、「この先急カーブ R=500m」などと掲載された標識が設置されており、Rはカーブの半径(Radius)の長さをあらわしています。
数字が小さくなればなるほど半径は短くカーブもきつくなりますが、実は全国の高速道路の中で最も急なカーブ「R=200m」は中国自動車道内に存在します。
そのカーブは岡山県真庭市の北房JCTから岡山県新見市の新見ICへ下る途中の「呰部(あざえ)トンネル」付近にあり、日本一急なカーブだけあって前方の見通しも悪くなっています。
中国自動車道ではこのほかに「R=300m」や「R=250m」などの急カーブも連続しており、事故防止のため制限速度が時速80kmから時速60kmへと遅めに設定されている区間があるのも特徴的です。
中国四国管区警察局や高速道路交通警察隊、NEXCO西日本などがまとめた「中国地方高速道路の交通事故危険箇所マップ」では、岡山県の作東ICから美作IC、北房JCTから新見IC、そして広島県の東城ICから庄原ICを「カーブ連続区間」として注意喚起しています。
このように中国自動車道はスイスイと気楽に運転できるわけではないものの、ドライバーの中には「カーブが多いから眠くならない」「ホリデードライバーやトラックが少なくて良い」「山陽道と比べて渋滞が少ないのでよく利用する」といったポジティブな意見も多く寄せられています。
運転が好きなドライバーにとっては意外と楽しい高速道路といえるかもしれません。
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中国自動車道は山肌を縫うように走っているため、急カーブや傾斜などが多くなっています。
その一方で、並行する山陽自動車道と比べて交通量が少なく、自分のペースでのんびりと走行できる魅力もあります。
時間に余裕があれば中国自動車道の景色を堪能してみても良いでしょう。