先進運転支援機能(ADAS)の普及が進むにつれ、「オートブレーキホールド」機構を備える新型車が年々増えています。慣れるととても便利ですが、その分、気を付けないといけない面もあります。
■軽からミニバンまで広く普及が進む「オートブレーキホールド」機能とは
電動パーキングブレーキシステムの普及によって、ブレーキペダルから足を離しても停止し続けることができる「オートブレーキホールド」機能が備わるクルマが増えています。
信号待ちなどの際にはとても便利な機能なのですが、実は落とし穴もあるのです。
先進運転支援機能(ADAS)の普及にともない、ここ数年登場した新型車には、今までにはなかった便利な新機能の追加が増えています。
なかでも、信号待ちのほか、有料駐車場の料金ゲートでお金を払う際など、オートブレーキホールド機能の便利さに助けられている人は多いでしょう。
オートブレーキホールドはここ数年で軽自動車からコンパクトカー、ミニバンやSUVに至るまで、一気に普及が進みました。
ブレーキホールド中は、メーター内のインジケーターで「ホールド中」であることが示されているので、ブレーキペダルから足を離しても大丈夫か、確認してから離すことができます。
多くの場合、電動パーキングブレーキの作動ボタン(レバー)の横に「HOLD」と書かれたスイッチがあり、必要に応じてこのスイッチでオートブレーキホールド機能のON・OFFを切り替えます。
常時ONでもいいのでは!? と思えるオートブレーキホールド機能ですが、実はオートブレーキホールドがかかっていると面倒になるシーンがまれにあるのです。
それは、じわじわと動く「クリープ走行」が必要なときです。
例えば交差点内で右折待ちをしているとき、クリープ走行でゆっくりと前走車へついていきたいケースなどが挙げられます。
クルマが停止するたびオートブレーキホールドが入ってしまうと、再発進する際、わずかですが出遅れてしまうことがあります。
この時に使うのが、前述のON・OFF切り替えスイッチです。
スイッチを「OFF」にすることで、発進と停止がよりスムーズにできるようになります。
ちなみにこうした右折待ちシーンでは、停車時にエンジンを自動的に止める「アイドリングストップ」機構もちょっとわずらわしく感じることがあります。
ただこちらは、ブレーキペダルから足を離したりハンドルを少し動かすとエンジンが再始動できるので、そこまで気になるほどではありません。
いっぽうオートブレーキホールドは、アクセルペダルを踏むか手動で解除しない限り、ブレーキホールドの解除はできません。
アクセルペダルを踏んでも、解除までにはコンマ数秒はかかってしまいます。
もちろん落ち着いて対応すれば、大きな問題はありません。
しかし時間がなく急いでいるときなど、その一瞬のもたつきが「焦り」を生じさせ、つい必要以上にアクセルを踏み込んでしまい、最悪のケースでは追突事故などに繋がってしまうことも考えられます。
筆者(くるまのニュースライター 河馬兎)も、大きな交差点での右折待ちの際には、極力クルマを止めないようにクリープ走行を維持して進むか、ブレーキホールドを一旦解除するかを常に考えながら運転しています。
ちなみにこうしたシチュエーションでは、アイドリングストップもオフにしています。
■駐車場での車庫入れ時も要注意!
オートブレーキホールドはほかにも、駐車場でじわじわ前後に切り替えながら動く際などでも、機能がわずらわしく感じるシチュエーションがあります。
狭い場所での動きだけに、さらに注意が必要といえます。
なおオートブレーキホールド機構を解除したあとは、再び「ON」に戻すことをお忘れなく。
オートブレーキホールドは慣れてくると「ホールドされている」と思いこみ、OFFにした際や、機能が搭載されていないクルマに乗ったときに、いつもの流れでブレーキから足を離してしまう、ということも考えられます。
したがって、便利な機能に対する「過信」はくれぐれも禁物です。
筆者もメーター内の表示だけでなく、オートブレーキホールドの「ウイーン」という作動音など、ブレーキホールドがかかった合図を確認した上で、ブレーキからそっと足を離すようにしています。
ブレーキホールドのシステムは、私たちユーザーがその使い方や特徴を十分に理解したうえで、上手に使えるようになることが必要です。
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新車販売店スタッフに聞いた話では、そもそも「ブレーキペダルから足を離すのが怖くて使っていない」という人も意外と多いのだといいます。
ここまで多くの注意点を紹介してきましたが、使い方と使うタイミングを理解すれば、オートブレーキホールドはとても便利な機能です。
もし装備されているのでしたら、ぜひとも使ってほしいアイテムといえます。