絶好のドライブシーズンを迎えましたが、せっかくならキレイな愛車で行きたいもの。しかし不慣れな洗車の結果、かえってクルマを傷つけることもあるといいます。
■準備段階から決まる「洗車の成否」!?
汚れたクルマをピカピカに洗車をすることは気持ちが良く、クルマへの愛着も増すものです。
しかしながら、順序や道具を少し間違ってしまうだけで、キレイにならないばかりか、かえって大切なクルマを傷つけてしまう、ということにも。やりがちな洗車のNG行為を、洗車のプロに聞きました。
まずやってはいけない最初の行為が「予洗いなしの洗車」です。
予洗いとは、スポンジや洗車機でごしごしやる前に、高圧洗浄機やシャワーノズルで、ボディ全体やガラス、ミラー、タイヤ回りなどに付いた砂やホコリ、虫、鳥フンなどを落とす作業のことをいいます。
また流し落とせないような場合でも、汚れをふやかして、次の工程で落としやすくする効果もあります。
首都圏近郊で洗車やコーティングなどの専門店を経営するAさんは次のように説明します。
「最初にクルマへ水をさっとかけて、すぐにシャンプー洗車をすればOKと思っている方が多いようですが、これは勘違いです。
予洗いが足りていないと、その後のシャンプー洗車の段階で、スポンジや洗車タオルが汚れを巻き込み、そのスポンジや洗車タオルでゴシゴシすることで、ザリザリとボディを引っかいてしまう、という恐ろしい事態になります」
予洗いは念入りに、たっぷりと水をかけると良いそうです。
そして洗車用品についても、気を付けないといけないことがあります。
吸水性が高く、泡立ちのいい洗車用のムートングローブは、カー用品などでもオススメされており、人気の商品です。
洗車スポンジよりも一度に広い面積を洗うことができ、手のひらや指先で洗う感触があるので、細かな部分まで力加減が調整しやすく、愛用している人は多いはず。
ですが実はこのムートングローブは、毛の間に汚れが絡みやすい特徴があるといいます。
前出のAさんはこう語ります。
「白いムートングローブが黒くなり始めていたら、それは汚れが堆積しているサインです。
そのまま洗車に使用し続けると、洗車キズの原因になる可能性もあります。
使用後は念入りに水で流すか、毛が硬くなったら交換するようにすると良いです」
特に、ボディとホイールを同じの洗車グローブで洗っている人は要注意だといいます。
タイヤ周りは汚れの質が異なるので、色違いのグローブを用意し使い分けるようにしたいものです。
■当たり前に語られている「常識」も疑ってみたほうがいい!?
洗車のノウハウとして良く聞かれるのが「洗車は上から下へ」という話です。
大きな立体物であるクルマに対し、そのように説明されると、誰もが納得しそうですが、本当に最初に洗うところは「足周り」だとAさんは話します。
足周りはクルマの中でも最も汚れる部分であり、砂やホコリの他にも、ブレーキダストなど、落ちにくい汚れが堆積しています。
そんな足回りを最後に洗うと、水で跳ねた汚れが周囲に付着し、余計な手間がかかってしまうそうです。
Aさんはそのやり方について次のように説明します。
「予洗いをしたうえで、ボディ用とは別のブラシやグローブで、先に洗ってしまうのが良いでしょう。
足回りを洗う際に使ったバケツをボディ洗いにも使うならば、忘れずにバケツ内の汚れをしっかりと流しましょう」
そして最後は、仕上げに関するNG行為です。
きれいに洗ったあとに拭き上げをせず、「走行風で乾かす」とする人もいますが、これは、せっかくきれいに洗ったボディに水シミを残す、NG行為。
「拭き上げのポイントは、セームタオルと、マイクロファイバークロスのような2種類のタオルを用意することです。
カーシャンプーを水で流したあと、まずは吸水性に優れたセームタオルでボディ全体の水気を切ります。
その際、タオルを広げた状態で一方向に向かって引くように動かすと、広い面積でもムラなく拭き取ることができるでしょう」
屋根、ガラス、ボンネット、ボディサイド、トランク、など、上から下へ拭いていき、概ねの水分を拭き取れたら、マイクロファイバークロスで、細部に入った水分を吸水します。
一枚のタオルで拭き上げるよりも、2枚のタオルを用意するほうが、スピードも早く、水分除去も効率的にできるといいます。
タオルが水分を吸いにくくなったと感じたら、早めに新品タオルへ交換し、古くなったタオルは足回りの拭き上げ用に使うようにするのがオススメです。
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このほかにも洗車は、季節によって、場所や時間帯、天候などを考慮する必要があります。
Aさんは長年の経験から、秋ならば、風がない日の夕方に行うのがベストだと話します。
せっかく洗車をするならば、ボディへキズを付けないよう、正しく行いたいものです。