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ひっ迫する“119番通報” なかには「タクシーがつかまりません。救急車をお願いします」信じられない通報内容も 東京消防庁が語る“深刻な現状”とは

くるまのニュース 2023年10月24日 9時10分

最近では119番通報のひっ迫した状況が続いているといいます。今回は、その深刻な現状について、東京消防庁へ話を聞いてみました。

■ひっ迫する「119番通報」の現状とは

 緊急時に消防や救急へ助けを求める際、欠かせないのが「119番通報」です。
 
 幼い頃に“緊急時の電話番号”として覚えたという人も多いこの番号ですが、実は最近、119番通報がひっ迫状況にあるといいます。一体どういうことなのでしょうか。

 そもそも119番通報とはどういう仕組みなのでしょうか。

 緊急事態が発生した際に119番通報を行うと、消防署に出動司令などを行う災害緊急情報センターへ電話がつながります。

 例えば東京都内(稲城市、島しょ地区を除く)では、23区内は千代田区大手町、多摩地区は立川市にある災害救急情報センターにつながります。

 その後、消防署に出動命令が入り、隊員が現場へ駆けつけるという流れです。

 このように、119番通報は火災や意識を失った人がいるなど、緊急時に助けを呼ぶために利用するものです。

 そんななか、最近ではこの119番通報が相次いでいるといい、東京消防庁の公式X(旧:ツイッター)では以下のような呼びかけを行っています。

「【119番通報が大変混みあっています】
 119番は緊急通報です。

 問合せや相談などを119番通報すると本当に必要な緊急通報に対応できなくなる恐れがあります。

 不要不急の電話については最後までお話を聞かずに切断する場合があります。

 他の緊急通報を優先するための措置ですので、ご理解をお願いします」

 こうした119番通報に関する投稿は定期的に行われており、2023年9月11日の投稿には1万件を超えるほどのいいねが集まるなどの反響を呼んでいます。

 ではなぜ119番通報がひっ迫するのでしょうか。上記のような呼びかけを行っている経緯について、東京消防庁の担当者は以下のように話します。

「現在、救急需要の増加に伴い119番通報がひっ迫しており、対応するまでに時間がかかっている状況です。

 この状況に対応するため、119番通報のうち2割を占める不要不急の電話については、ほかの緊急通報を優先するため、最後まで話を聞かずに切断する場合がありますと広報しています」

 では実際に119番通報はどれほどの件数があるのでしょうか。

「2022年中の119番通報は103万6645件で、今の統計方式に変わってから過去最高を記録しました。1日あたり約2840件、約30秒に1件入電している計算になります。

 2023年に関しては、速報値で昨年同時期と比較して、5万3000件も増加しています」(東京消防庁の担当者)

 数値だけを見ても119番通報がひっ迫している様子が伝わります。

■「タクシーがつかまりません」信じられない119番通報の内容とは?

 また119番通報での通報内容について、驚くべき事例があるといいます。東京消防庁の公式Xでは、以下のような事例を投稿しています。

「『タクシーで通院しようと思っていましたが、タクシーがつかまりません。救急車をお願いします。』

 これは、実際にあった『緊急性のない』通報です」

 これは実際に届いた通報内容とのことですが、上記のような事例のほか以下のようなケースがあるといいます。

・エアコンの設置をお願いしたい
・部屋の電気が消えないので何とかしてほしい
・部屋の鍵を失くしたので何とかしてほしい
・トイレの水が止まらない
・通帳を失くした
・サイレンが鳴っているが何かあったのか
・37.5°Cの熱があるがどうしたらいいか
・不審者がいるので見に来てほしい

 信じがたい通報内容といえますが、これらはすべて緊急とは程遠く、本来の119番通報の利用がなされていない現状といえるでしょう。

通帳を失くした!? 信じられない緊急通報も

 最後に改めて、適切な119番通報の利用方法について、先出の担当者は以下のように呼びかけます。

「救急通報をする時は、119番通報がつながらないからと電話を切ってかけなおしたり、複数の電話機でかけるのはやめてください。

 119番通報は順番に対応しておりますので、電話を切ってかけなおすと一番最後の順番に回ってしまいますし、複数の電話でかけても対応順は同じです。

 逆に複数の電話を別の勤務員が対応することとなり、同じ件での通報かどうかを確認するのに時間を要します。

 東京消防庁のホームページやX(旧 Twitter)でも広報していますが、不要不急の電話については、ほかの緊急通報を優先するため、最後まで話を聞かずに切断する場合があります。

 このほかにも、かばんやポケットに入れた携帯電話を触った時に、119番通報がかかってしまい、無言電話やこちらが電話に出た時に切られるケースもあります。画面操作には十分注意してください。

 消防に関する問い合わせは、最寄りの消防署へ問い合わせてください。

 症状の相談や救急車を呼ぶか迷った時は、東京消防庁の救急相談センター#7119やネットで確認できる東京版救急受診ガイドを活用してください。

 家電のことや水のトラブルなどについては、それぞれの業者へ問合せてください。

 警察関係の通報は、110番や#9110へ連絡してください。真の緊急通報に対応するために、皆さまのご協力をよろしくお願いします」

※ ※ ※

 緊急時に利用するための119番通報について、認識を改めて適正な利用を心がけたいものです。

 自分自身だけでなく家族や周囲の人と改めて119番通報の利用を見直してみても良いかもしれません。

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