トヨタは過去に幾度と、「小さな高級車」を標榜するモデルを発売し、市場に提案していました。その中の一台である「ブレイド」について、SNSなどでは現在もなお様々なコメントが投稿されています。いったいどのようなクルマだったのでしょうか。
■コンパクトボディに280馬力の「爆速モデル」
レクサスは2023年秋に、最小SUV「LBX」の日本発売を予定しており、“小さな高級車”というジャンルの開拓に注目が集まっています。
その一方で、トヨタは過去にもLBX同様の“小さな高級車”のコンセプトを提案すべく、市販車として実際に販売したクルマが存在。
その中の一台であるトヨタ「ブレイド」に、SNSなどでは元オーナーからも含めて様々なコメントが投稿されています。
ブレイドは「ショート・プレミアム」というコンセプトの元、2006年に発売されたトヨタの最上級ハッチバックです。
先に販売されていた欧州テイストのコンパクトカー「オーリス」をベースにしつつ、大型のグリルや3ナンバーサイズのワイドボディ、専用エンブレムなどによって華々しく仕立てられました。
また、伝統的な高級セダン「クラウン」にも通じるデザインを持つヘッドライトやテールライトも採用され、まさに“コンパクトカー版のクラウン”とも言われる斬新な新型モデルとして開発されました。
ボディサイズは全長4260mm×全幅1760mm×全高1505-1530mm。パワーユニットには、2.4リッター4気筒エンジンとCVTを組み合わせた通常モデルのほか、最高出力は280馬力を発揮する大排気量3.5リッターV型6気筒エンジンに6速ATを組み合わせたパワフルな仕様「ブレイドマスター」も用意。
さらにサスペンションやブレーキなどもそれぞれのグレードにあわせたハイグレードなものを設定されるなど、高い走行性能を備え、実用的な使い方から「走り」を楽しむこともできる新しいプレミアムカーとして、大きな期待のもとに誕生したのです。
しかし2000年代後半の当時は、小さな高級車というジャンルは今以上に一般的ではなく、十分な理解が得られないまま珍妙な色物クルマと捉えられた向きもあり、ブレイドの販売は苦戦。
発売から数ヶ月は月販目標販売台数を超え3000台以上の販売台数を維持していましたが、2007年以降は月間1000台を下回るなど販売数は低迷。
数回のマイナーチェンジを繰り返すものの、末期には月販100台以下となり、2012年6月には販売を終了しました。
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加速性能や走行性能の高さが評価されたものの、わずか約6年で販売終了となったブレイドに対し、SNSでは様々なコメントが寄せられています。
「マスターに乗っていましたが、キビキビ走る様な性格のクルマではなく“ゆったり余裕を持って走る”トヨタらしいクルマでしたね」「高速道路ではとても楽でした」「マスターのオーナーでしたが世間で言われる程のフロントヘビー感は無く、サーキットに持ち込んでも気持ち良く走れました」など、やはりオーナーからは走行性能についての高い評価が見られます。
一方で、「エンジンパワーはあったけど官能的なフィーリングは無かったかな」「高級車を名乗っているものの、パワーのある実用的なハッチバッグの域を出なかった」など、パワーとは違う方向性での“愉しさ”がもう一歩欲しかったというコメントも。
また、「普通にいいクルマでしたが、普通なのは高級車としてはダメだったのかな…」「専用で仕立てたと言っても見た目が地味すぎた」「ホットハッチは好きだが、エンジンがデカけりゃ良いってもんじゃない」と、大きな支持を得られなかった原因について考察する人も見られます。
そのほか、「GRヤリスみたいにMTや2ドアが用意されていれば乗りたかった」「FFじゃなくてFRだったらな~」と、希望の要素さえあれば欲しかったという声が投稿されたほか、「当時は一般的な消費者が“小さく高額なクルマ”を求めていなかった」「時代さえ違えば大ヒットの可能性もあったはず。誕生が早すぎたモデルだよ」「今のトヨタがブレイド作ったらどんなクルマになるかな。そういう意味でレクサスLBXの仕上がりには期待してしまう」などの、現代であれば十分に成功の可能性があると見る向きもあり、それゆえに前述のLBXには、かつてのブレイドオーナーからも高い期待が寄せられています。