マツダが2023年10月5日に改良を発表した新型「ロードスター」の最安モデルは300万円を切る手頃な価格が魅力です。どのようなグレードなのでしょうか。
■唯一の300万円切り! 最安モデルで十分?
マツダは2023年10月5日、新型「ロードスター」「ロードスターRF」(改良モデル)を発表しました。同日より予約受付を開始し、2024年1月の発売を予定しています。
現行型(ND型)ではもっとも大きな改良となりましたが、300万円を切る安価なモデルも1グレードのみ残っています。
1989年に初代モデル(NA型・「ユーノスロードスター」)がデビューしたロードスターは、「人馬一体」のコンセプトのもと、軽量かつオープンエアーをFR(後輪駆動)で楽しめる小型スポーツカーです。
以来30年以上にわたってラインナップを続けており、通算120万台以上を販売するなどマツダを代表するモデルとして人気を博してきました。
現行モデル(ND型)は4代目で2015年5月に発売。基本コンセプトは維持しつつ、マツダのデザインテーマ「魂動(こどう)」デザインを採用。
2016年11月には電動格納ハードトップ付きの「ロードスターRF」(以下RF)が追加されています。
マツダによると今回の改良は4代目ロードスターシリーズとして最も大きなものだといい、現行型登場後初のエクステリア変更を伴っています。
前後ライトがフルLEDになり、ヘッドライトにポジションランプを装備するなど、精悍なイメージとなったことに加え、インテリアもメーターデザインの変更や、上級グレードではセンターコンソールにソフトパットを加えるなど、上質感も高められています。
さらに、新モデルではマツダレーダークルーズコントロール(MRCC)とスマートブレーキサポート(後退時検知機能SBS-RC)を採用。先進運転支援機能を高めるとともに、衝突被害軽減ブレーキ義務化の法改正に対応しています。
走行性能では、一部グレードのMT車にアシンメトリックLSDを装備し、旋回性能の向上を実現。エンジン制御のセッティングによる出力向上(ロードスターのみ)およびレスポンス向上、パワーステアリングシステムの改良も施されています。
そのほか、横滑り防止装置DSCにサーキット向けのモード「DSC-TRACK」をMT車に設定。制御による介入を極力抑え、危険なスピン挙動時のみ介入するようにセッティングしています。
マルチメディアシステム「マツダコネクト」も刷新され、8.8インチの大画面を採用。コネクテッドサービスも強化しています。
そんな改良型のロードスターおよびRFですが、ラインナップ中もっとも安いモデルがロードスターの「S」グレードで、6速MTのみの設定。価格(消費税込)は289万8500円です。
改良前は、Sのほかにも、競技向けグレード「NR-A」や装備を充実させた「S Special Package」(MT車)、軽量化を図ったスポーティグレード「990S」の3タイプが300万円を切るグレードとして設定されていた一方で、改良では990Sが廃止されたうえ、ほかのグレードが値上がりしたため、Sが唯一の300万円切りとなりました。
このSグレードでは、MRCCや標識認識システムといった先進装備やシートヒーター、フルオートエアコンなどの快適装備、スマートキーが設定されていません。
走行性能面でも、改良モデルで初設定され旋回性能の向上が期待できるアシンメトリックLSDやリアスタビライザーといったものが省略されています。
とはいえ、今回の改良で初採用されたSBSやマツダコネクトといったものは装備されており、最小限の装いでまとめられています。
新型車で選べる数少ないMTでありながらも、ほかのスポーツモデルと比較して低価格であるため、NR-Aのような競技向けの硬派なグレードは必要なく、手軽にMTでオープンスポーツを楽しみたいという人には貴重な選択肢といえそうです。