2023年10月19日、日産は「ジャパンモビリティショー2023」に出展するEVコンセプトカー第4弾となるコンパクトSUV「ニッサン ハイパーパンク」を新たに発表しました。
■前衛的すぎるデザインはどこか「ジューク」の影が!?
日産は2023年10月3日、10月28日から一般公開予定の「JAPAN MOBILITY SHOW 2023(ジャパンモビリティショー2023)」出展概要を発表し、そこで複数のEVコンセプトカーが順次登場すると予告しました。
これまでに3つのモデルが公開されてきましたが、10月19日にはEVコンセプトカー第4弾となる「ニッサン ハイパーパンク」が新たに公開されました。
第1回が1954年に始まって以来、これまで全46回にわたって開催されてきた自動車の見本市「東京モーターショー」が、ジャパンモビリティショー2023(以下、JMS2023)に生まれ変わります。
JMS2023の会期は2023年10月26日から11月5日まで(一般公開は10月28日から)で、会場は東京ビッグサイト(東京都江東区)を中心に開催されます。
これまで東京モーターショーが扱ってきた自動車業界の枠を超えて、他産業やスタートアップ企業なども参画し、東京モーターショーを上回る400社以上が出展・参加する予定です。
日産は新生JMS2023の出展概要を発表するとともに、特設のウェブサイトを公開しました。
日産の特設ウェブサイトに掲げられたテーマは「さあ、未来にもっとワクワクを」。
最新のEV(電気自動車)コンセプトカーや先進技術をインタラクティブなブースで展示するとともに、移動と社会の可能性を広げる電動化技術やさまざまな取組みをリアルとバーチャルが融合した世界で体感できるようにし、日産が目指すワクワクする未来の姿を示すといいます。
10月3日にまず第1弾のクロスオーバーEV「ニッサン ハイパーアーバン」が先行公開され、その後10月10日に第2弾の本格SUV「ニッサン ハイパーアドベンチャー」が、10月17日には第3弾としてプレミアムEVミニバンの「ニッサン ハイパーツアラー」がそれぞれ発表されました。
日産の特設サイトでは、象徴的なユーザーをイメージしたキャラクターも設定され、4人のキャラクターがそれぞれEVコンセプトカーとともに紹介されています。
そして今回新たに発表されたのが、「ニッサン ハイパーパンク」です。
第4弾はコンパクトクロスオーバーEVで、前衛的なスタイリッシュデザインを大きな特徴とします。
前衛的なデザインのコンパクトSUVといえば、2010年に発売された初代「ジューク」が思い出されますが、その躍動的で個性の強いスタイルと新型ハイパーパンクに、どこか共通する印象があるのが興味深いところです。
日産では新型ハイパーパンクについて「コンテンツクリエイターやインフルエンサー、アーティストをはじめとするスタイルとイノベーションを重視するお客さまが、自己表現と創造性を高めることができるコンパクトクロスオーバーEV」だといいます。
■「滑らかデザイン」一辺倒の時代に一石を投じたかった!
日産は新型ハイパーパンクについて次のように説明します。
「車内で過ごす時間をよりクリエイティブなものとするコネクティビティ技術が、クルマの中での制作活動やクリエイターとのコラボレーションを可能とし、バーチャルとリアルの世界や、クルマの中と外がシームレスにつながります」
普及当初の3次元CGのような、独特の立体感がある多角形(ポリゴン)を強調した外観デザインは、クルマとデジタルの融合を表現します。
近年流行している、空力性能に優れたデザインやミニマルなデザインとは逆行するかのような力強さが特徴で、これはクリエーターたちの常識にとらわれず他者と異なる自己表現をしたいとするマインドや、日産自身の挑戦を表すものだといいます。
コンパクトなボディで大きな存在感を放つタイヤは、23インチの大径ホイールをセット。異質な三角形のデザインがユニークです。
ヘッドライトやテールランプ、リアシグネチャーなども多角形を強調した形状としています。
そうした多角形のデザインのおかげで、見る角度や光の加減でボディカラーも色が変化して見えます。
内装のモチーフは和紙や折り紙。和のテイストをベースに、デジタルとアートが融合した室内空間としています。画像だけ見るとチクチクしそうですが、実車がどのような感触なのか気になります。
ドライバーを囲む3面ディスプレイには、現実とメタバースを融合した映像を反映し、例えば車載カメラによる車外の景色を漫画調にしたり、様々なグラフィックパターンの景色に変換させたりすることが可能です。
また、ドライバーの健康状態などを検知する「バイオセンシングセンサー」がヘッドレストに内蔵され、AIがドライバーの気分を解析して照明を調整したり、最適な音楽を流したりしてくれます。
これもクリエイターがコンテンツの創作意欲を高めるための機能だと日産は説明しています。
このほか、車載バッテリーから電力を供給する機能も備えています。
これらの技術や内外装デザインが、今後どのような市販モデルに反映されるかは明らかにされていませんが、そう遠くない将来に次期型ジュークとして誕生する日がやってくるのかもしれません。
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日産デザイン部門の開発者は、新型ハイパーパンクの見どころについて次のように話します。
「エクステリアもインテリアもポリゴンをモチーフとしています。
昨今のEVが“高解像度”で良くできているなかで、ハイパーパンクという存在が新たな一石を投じられないか、というのが開発陣のスタートでした。
なので、そういったポリゴンモチーフが随所にちりばめられているところをぜひ注目して欲しいです」