最近、国産車でも本革シートを採用するモデルが増えています。そんな本革シートをキレイに保つには、ちょっとしたコツが必要なようです。どのようにケアしたら良いのでしょうか。
■クルマの本革シートの手入れはどうする?
近年、国産車でも本革シートを採用するモデルが増えており、上級グレードに装備されるのはもちろん、本革シート装着をウリにした「レザーパッケージ」なども設定されています。
本革シートは高級感のある内装を演出できるのですが、天然素材であり、夏の直射日光や秋冬の乾燥などによってダメージを受けやすいものです。
本革シートの素材となっている「革」は、動物の「皮膚」を用いています。そのままではすぐに腐敗するか乾燥してカチカチになってしまうのですが、腐敗を防いで柔らかさを保ち、日常での使用にも耐えられるように、「鞣し(なめし)」という処理を施すことでさまざまな物に加工することができるようになります。
クルマのシートに使用される革には樹脂が含まれた塗装加工が施されていて、樹脂による被膜を形成。乾燥や水分、汚れや擦れといったものから表面を保護しています。
クルマの車内は、夏は強い日差しで高温になり、反対に冬の寒い外気温では冷え込みます。また、乗員の衣服などで常に表面が擦られ、雨が吹き込んで濡れてしまうこともあります。
気温差や擦れ、水分などが多い厳しい環境で酷使されることを想定したコーティングを施さないと、すぐに本革が傷んでしまうため、クルマのボディをコーティングするのと同じように、本革シートにもクルマ用のコーティングを施しているのです。
一方で、ジャンパーやパンツなどの衣類、バッグ・財布などの小物に使われている革は「オイルレザー」や「ブライドルレザー」と呼ばれる種類のもので、クルマのシートとは異なる加工処理が施されています。
同じ革製品ではあるものの、クルマの本革シートに一般的な革製品用の保護クリームを使用してはいけないと内外装のクリーニング専門店のスタッフU氏はいいます。
「一般的な革製品は、なめしに染料で表面を形成していますので、革製品用クリームなどが浸透することで汚れを落とせたり表面に艶を出すことができます。
一方で、クルマの本革シートの表皮は樹脂でコーティングされているので、クリームなどが浸透せず、一般的な革製品用クリームを使用すると、コーティングがとけてしまったり変色してしまう可能性があります。
クルマの取扱説明書にも『一般的な革製品のクリームは使用不可』と明記されていることもあるくらい、使用NGなのです」
では、一般的な革製品用クリームなどが使えない本革シートは、どうやってケアをすれば良いのでしょうか。
「通常であれば表面のホコリや汚れを落とすため、柔らかい布などで表面を拭くだけで十分です。
秋や冬など乾燥が進むシーズンであれば、水で濡らしてから固く絞った柔らかい布で表面を拭きましょう。
革製品は水分がNGと言われますが、乾燥しすぎることも固くなる原因になります。
固く絞った程度の微量な潤いは、逆に柔らかい状態をキープするには欠かせない要素だと個人的には思っています」(内外装のクリーニング専門店 U氏)
また、シート表面が黒ずんでしまったり、デニムなど衣類の染色が移ってしまったときは、本革シート専用のクリーナーなどを使うのがベター。それでも取れない場合は、カークリーニング専門店などプロに任せるほうが確実だそうです。
U氏によると、通常の本革シートのお手入れは水拭きだけで十分とのことですが、ひとつ注意点があります。それは「汚れたらすぐに水拭きする」ことです。
シート表皮の樹脂被膜は完全に保護されているわけではなく、汚れが被膜を通過して本革に色移りしてしまったり、水シミのようになってしまうこともあるようです。
飲み物をこぼしたり、雨でシートが濡れてしまったときなどは、固く絞ったタオルなどでできる限り速やかに水分や汚れを拭き取りましょう。
「本革シートも呼吸していると言われます。定期的に表面を固く絞った柔らかい布で全体を拭いて、風通し良くするだけで、十分ツヤとハリを保ってくれると思います」(内外装のクリーニング専門店 U氏)
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難しい作業や専用の用品を使わなくても、水で固く絞った柔らかい布で定期的に拭くだけで、本革独特のゴージャスな座り心地が長時間楽しめます。
ただし、炎天下の直射日光が何日も当たり続けると、色褪せしてしまう恐れもあります。屋外駐車時はサンシェードなどで直射日光が当たりにくくするなど、劣化を防ぐ努力は必要だと言えるでしょう。