2023年12月からレクサスは「LC」の走りを進化させるアップグレードサービスを開始します。今回はその前にLCオーナーを招いた試乗会が富士スピードウェイで開催されました。
■「LC」がめちゃスポーティに変化!
レクサスのフラッグシップクーペ「LC」の走りを進化させる「Performance Upgrade Package(以下アップグレード)」が2023年12月に発売されます。
発売を前に、現在LCを所有するオーナーに向けて、体験試乗会が10月18日に富士スピードウェイ(静岡県小山町)で開催されました。参加したオーナーはどのような体験ができたのでしょうか。
2017年3月に登場したレクサスLCは、レクサス全モデルの乗り味を方向づけているフラッグシップモデルです。
2023年6月には改良を実施するとともに、走行性能を高めた特別仕様車「EDGE(エッジ)」を発表しました。
このエッジには、一体成型のフロントバンパーカナードやCFRP素材の軽量なリアウイングの装備や、手作業によるエンジン内部パーツのセッティングやディファレンシャルギアの調整などが施されています。
リアサスペンション取り付け部には、新開発のアルミ製中空サスペンションメンバーを採用し、従来のスチール製と比べて大幅に剛性が強化され、ハンドリング性能が高められたことも特徴です。
このうち、カナード付きバンパーやアルミサスペンションメンバーを、エッジ以外の標準モデルにも装着できるように、KINTO FACTORYからアップグレードが用意されることになりました。
このアップグレードサービスについて、レクサスコト事業主幹の吉原智樹氏は以下のように説明します。
「電動化のなかで、今お乗りのLCに少しでも長く乗っていただきたいという思いがあります。
新車の特別仕様車での採用のみならず、すでにお乗りのオーナー様に対しても、サスペンションを交換・リフレッシュして、『味変』できるように設定しました」
体験試乗会では23組のLCオーナーが招かれましたが、アルミ製サスペンションメンバーを装着したLCの試乗以外にも、ドライビングレッスンや富士スピードウェイ本コースの走行体験といった、オーナーが楽しめる特別な体験が用意されました。
「まずは、アップグレード時代が高額で規模の大きな商品なので、直接見てもらいたいということもあり開催しました。
走りは良くなりますが、実をいうとネガティブな部分もあり、ノイズや乗り心地の変化といったこともあるので、実際に乗っていただいて購入していただきたいと考えています」(吉原氏)
しかし本来であれば、アップグレードの違いを確かめることを主な目的として試乗会が開催されますが、さまざまなイベントを用意したのはなぜなのでしょうか。
「レクサスでは『コミュニティづくり』を大切にしています。普段、LCだけが20台以上も集まる機会は少なく、オーナー同士の交流の機会も少ないということがありました。
アップグレードに興味をもつお客さまは特にクルマが好きな人も多く、こういった場を設けることで、『LCっていいよね』とお互いのクルマを眺めたり、また1年・2年後に集まって、その後どうですかと話しあえるような、そんなつながりが持てることを期待しています」(吉原氏)
ドライビングレッスンでは、SUPERGT出場のプロドライバーである中山雄一選手やモータージャーナリストの藤島知子氏が登場。
ドライビング時の正しいシートポジション決めやフルブレーキングといった基礎的なものから、スラローム走行など本格的なレッスンが実施されています。
アップグレードしたLCの試乗では、ショートコースを用いて複数回の周回走行を実施。
また、ワークショップを設け、サスペンションメンバーの制作過程や構造の解説、標準装備されるスチール製のメンバーとの比較などが行われました。
エンジニアとの懇親の場では、オーナーとエンジニアが和気あいあいと話し合っている様子もみられました。
「エンジニアとしても直接お客さまとお話する機会は少なく、エンジニア自身も直接話したいという人が多かったのです。
特に、フラッグシップモデルとしてLCを買っていただけるお客さまは特別な存在といえ、直接フィードバックをいただける場として有意義だったと考えています」(吉原氏)
■「LC」現役オーナーはどのように感じた?
ショートコースでの本格的な試乗後は、国際的なレースも数多く開催された富士スピードウェイの本コースを、オーナー自身の愛車で走行するという機会も設けられました。
参加車の愛車である20数台のLCは隊列をなしてピットに集結し、レクサスのハイパフォーマンスクーペ「RC F」の先導のもと、4台程度に分けられて走行を実施。
貴重な本コースということもあり、LCオーナーたちは思い思いにドライビングを楽しんでいました。
LCを購入して半年という今回参加したLCオーナーは以下のように振り返ります。
「実はLCを買ってすぐ、中速コーナーを通過するときのリアの感触がとても気になっていて、なんとかならないかなと思っていました。
今回、すでに売ったクルマにもアップグレードできるということで、なんとしても試したいと思って参加しました プログラムとしてすごくイイと思います。なかなかスポーツ走行でもFISCO走るのもハードル高いし、装備などもまもらなくてはいけないので、とても貴重な機会でした」
このように今回の体験試乗は心待ちにしていたといいますが、アップグレードが適用されたLCを乗った感想はどうだったのでしょうか。
「乗った瞬間にわかりました。別物と感じます。
確かに、路面からの振動やノイズが直接伝わってしまうので、マイナス面もあるのですが、前から気になっている箇所が改善されたので、とても気に入りました」
この男性ユーザー以外にも、「全然リアのシッカリ感やコーナリングの安心感が違うと満足していました」といった感想が聞かれ、参加したオーナーはアップグレードの違いを体感することができたようです。
また、「初めて同じ黄色をみました!」などのオーナー同士の談笑があちらこちらで見られるなど、イベントでは新たなつながりも多く生まれていました。
今回の体験試乗会について、LCチーフエンジニアの武藤康史氏は以下のように話します。
「メーカーが直接カスタマイズするという大掛かりなことは初めてですが、既存のクルマに対して、新しいものを提供するという取り組みはまだ試しながらやっていく必要があると考えます。
レクサスは電動化を進めており、今度のジャパンモビリティショーでは電動化がもたらす新しい体験について、展示を行います。しかしLCは特別な存在であり、体験価値を継続的に高めていきたいということで、今回のような試乗会を実施しました。
メインはアップグレードですが、オーナー同士での情報交換もしていただきたいと思いますし、我々もこういう場を大切にしていきたいと思います」
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LCのアップグレードは、12月1日から30日まで予約を受け付ける予定で、2024年1月から順次施工を開始します。
なお、施工はトヨタの堤工場・元町工場(いずれも愛知県豊田市)が担当します。価格(消費税込)は200万円です。